【VW up! 試乗】利便性をより高めた日常使いコンパクト…島崎七生人

VW high up!
撮影車は新色のティールブルー。前身でもあった『ルポ』に似た色の限定車(コスタ=2003年のアドリアブルー)があったが、濁りのない爽やかなブルーが『up!』の軽快なキャラに合っていると思うが、いかがだろうか?

最新モデルでは、専用アプリの利用でスマホと連携させて使えるインフォテイメントシステムが売りのひとつ。ただシンプルなだけでなく、今どきのこともちゃんとできますよ…のアピールでもあるこの機能、ナビを始め、クルマの走行データやメーター表示(タコメーター、水温計)など確かに便利。わかりやすいメニュー画面(ボタン)も好感がもてた。眼前のアナログメーターは、左右のタコメーター/ガソリン計がサイズアップしている。

クルマ本体は、バンパー、テールランプ類など外観が小変更され、全長が65mm伸びた。まあ、ひと目見て『up!』だとわかる。一方で内装はインパネまわりに手が入った。前述のインフォテイメントで使うスマホの専用ホルダーが装着されるセンターパネルまわり、その左右の新しい仕上げの柄入りのパネル、ステアリングなどが新しい。このプチ豪華な変更は、室内全体がプレーンな雰囲気で統一されていた従来モデルとどちらがいいか、好みが分かれるところかもしれない。

走りは1tを切る軽量ボディらしいストレスのないもの。搭載エンジンは従来どおりの3気筒の999ccで、アイドリングストップ、ブレーキエネルギー回生システムなどを搭載する。これにシングルクラッチの5速ASGが組み合わせられ、街中の発進&停止から高速走行まで無理なく走る。

今回ASGについて改めて感じたのは、シフトパターンがわかりやすいということ。とくに十字を基本とし、中立位置の前/後でシフト「+/ー」、左が「D/M」切り替え、右に倒すと「N」でそこから手前に引くと「R」と、人の生理に自然で、とくに“後ろに引くとR”というのは、誤操作を誘発しにくいと思う。

サイドシルがやや高めだが、乗り込めば前後席とのスペースは十分。さらにトランクも床板の高さが2段階に使い分けられ、低くした場合は深さが稼げることから、日常の買い物でもレジ袋を安定させて載せやすく(再度にフックもある)、トノカバーはハネ上げた状態でワンタッチで固定もできるため、非常に使い勝手がいい。最小回転半径が4.6mと日本の軽自動車並の小ささなのも嬉しいところだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

(レスポンス 島崎七生人)

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