【メルセデス GLCクーペ 試乗】「もうこんなに走ったの?」と驚くほど疲れ知らず…岩貞るみこ

メルセデス GLCクーペ(写真は欧州仕様)
SUVでありながらクーペ。贅沢なスタイルである。天井はボディ後部に向けてクーペらしくなだらかに下がっていて、後部座席はたしかに、このボディの塊感からすれば多少の窮屈さはあるかもしれない。

ただ、後部座席は身長170cmの私が座っても頭がつかえるということはない。荷物スペースも、奥行が十分にあるため、大人4人の旅行もしっかりと平置きができる。

スタイルの流麗さと、視線の位置が高い運転のしやすさ、そしてきちんと確保された実用性。けれど、一番うなったのはその乗り心地のよさである。最大トルクが400Nmというディーゼルエンジンは、とにかくパワフル。いや、トルクフル。それをつないでいく9速(!)の変速機のなめらかのこと。

ATのギアが6枚、8枚と増えたとき、重さやスペースのバランスもあるから8速が限界だろうと言われたのもどこ吹く風、ついに9速である。これがすばらしい仕事ぶりで、加速していくときにギアが上がっていくのをほとんど感じさせないうえ、常に適切なギアを選ぶので、トルクのかかり方が最適なのだ。

商品として世に出すからにはこんなことは当たり前なのだが、改めてその当たり前っぷりに感激する。高速道路を走らせていて、周囲の状況に合わせて速度調整をするときなど、本当にストレスがないのである。

しかも、ボディ剛性の高さといったらない。長時間、乗っていても乗員の疲れがおどろくほど少なくてすむのだ。その距離を本当に走ったのかと地図をまじまじと見てしまうくらいだ。

高速走行で欠かせないのが、車線を維持しようと補助してくれる、アクティブ・レーンキーピング・アシストだが、わずかに横にそれて白線を踏むと、ハンドルに微振動を与えて、ちょちょっと車線内にもどしてくれる。こうした機能は、いかに運転者に伝え、挙動を制御するかのHMI(Human Machine Interface)が肝になるけれど、同乗者にほとんど気づかれずに元の状態にもどれるメルセデスの味付けは、本当にうまいと思う。こういう部分も、疲れを軽減させる要素なのだと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

(レスポンス 岩貞るみこ)

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