【スバル WRX STI 試乗】こんな高性能が簡単に手に入ってしまう日本はスゴい…諸星陽一

スバル WRX STI 改良新型
『WRX』シリーズは元々は『インプレッサ』のスポーツグレードとして存在していたWRX系を独立させ2014年に登場したモデル。なかでもSTIは思いっきりスポーティに振ったグレードだ。今回「WRX S4」とともにマイナーチェンジを受けた。

エクステリア面ではフロントバンパーの開口部が拡大されたこと、ホイール&タイヤが19インチになったことが変更点。インテリアではインパネの加飾パネル、ドアスイッチのハイグロスブラック化、フロント新レカロシートのオプション設定、レッドのシートベルト、ディスプレイの変更などが行われている。

走りに関する部分では、前後トルク配分を司るDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)に一部採用されていた機械式制御方式をフル電子制御方式に変更、前述のようにタイヤを19インチ(245/35R19 アドバンスポーツV105S)の採用、サスペンションのチューニング変更に加え、ブレンボブレーキのグレードアップが行われた。

ブレンボブレーキは従来、17インチ対応サイズの2ピース構造で、フロント4ポット、リヤ2ポットだったものを18インチサイズ対応のモノブロック6ポット&4ポットに変更。ローターもベンチレーテッドから、ドリルドベンチレーテッドに変更となった。

今回はマイナーチェンジ前、マイナーチェンジ後の比較試乗という機会が与えられた。新型はタイヤのグレードアップが行われているにも関わらず、走りの軽快さは変わっていない。タイヤをグレードアップし限界性能が向上したことによって、走りが重くなることはよくあることで、こうしたネガティブな部分を伴わずに軽快な走りを継承したことは大きなことと言える。

この軽快な走りを実現している大きな要因がDCCDの働き。試乗では基本的にオート、もしくはオートー(マイナス)、オート+(プラス)で走ってみた。気持ちいいのはオートマイナスでの走り。ステアリング操作に対してノーズがグングンインを向いていくハンドリングは、まるでFR車に乗っているような感覚。しかもフルタイム4WDなのだから、コーナリング後の再加速も効率的。

エンジンのスペックはマイナーチェンジ前と変わっていないが、308馬力/422Nmはかなり強力だ。6速MTのミッションはクラッチの踏力も合わせて使い勝手のいいレベル。どのギヤでもスッと選んだポジションに入ってくれる。

強化されたブレーキも以前と変わらないタッチで使うことができる。高速からフルブレーキングしていけば、マイチェン前との差が感じられるだろうが今回の試乗コースではそれはかなわない。サイズが大型されているにもかかわらず、低速での使い勝手もよく、実用性、限界性能ともに高いものとなっているといえるだろう。

4WDであることを最大限に生かしたWRX STIは、誰もが手に入れられる気軽な高性能を持ったクルマだ。ここまで高性能なクルマを簡単に入手できてしまう日本という国のすごさを感じる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

(レスポンス 諸星陽一)

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