【トヨタ ハリアーターボ 試乗】これならセッカチな御仁も文句はあるまい…吉田匠
トヨタのミドルサイズSUV、『ハリアー』がマイナーチェンジした。国内専用モデルとして2013年に登場した3代目ハリアーのMMC版で、“ハリアーネスのさらなる進化”をそのテーマとしたというが、そこには内外装の洗練や高級化も当然施されている。
一方、メカニカルな部分では、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」などの先進安全装備の充実を図ると同時に、これまでラインナップに存在しなかったターボモデルを追加してスポーティさを追求したことも、重要なファクターのひとつになっている。
上総方面で開かれた試乗会では、ターボの4WDという、SUVとして鉄板のモデルに乗ってみた。エンジンは2リットル直4直噴ターボで、231psのパワーと35.7kgmのトルクを発生する。2リットル直4NAは151psと19.7kgmだからかなりの強化で、特にトルクの増強が目につく。
それと同時にトランスミッションも、NAモデルのCVTから6ATに変わった。車重はターボの4WD仕様で1700kg前後だから、NAモデルに対する増加は70kgというところだ。
実際に走ってみると、パフォーマンスは満足いくものという印象を得た。普通に踏み込めば滑らかに、必要にして充分な加速を披露するのに加えて、深く踏み込むとそれなりに迫力のある加速を振る舞ってくれる。これならセッカチな御仁も文句はあるまい。その代わり、燃費はあまり期待しない方がいいかもしれないが。
しかも新型ハリアーターボ、動力性能だけでなく、乗り心地とハンドリングの分野でもなかなかの実力を感じさせてくれた。おそらくFADという可変減衰力ダンパーや、ボディ剛性を上がるパフォーマンスダンパーが効果を発揮しているのだろう、18インチタイヤを標準で履くにもかかわらず、乗り心地がいいのだ。
サスペンションは適度にソフトな印象で、ゴツゴツとした突き上げを感じさせず、脚がスムーズに上下動している感じである。したがって、コーナーではそれなりにロールを感じさせるが、それもすこぶる自然な感触で、狙ったラインを外すこともない。
前輪駆動状態と四輪駆動状態を自動的に電子制御する4WDシステムや、ステアリング、ブレーキ、駆動力を協調制御するS-VSCなどが巧妙に介在しているのだと思うが、その介入を明確に意識させないところが巧い。直進時とコーナリング時のメリハリがはっきりしたステアフィールも好ましいと思った。
エクステリアやインテリアのデザインに関しては読者諸兄の好みにお任せするが、その内側にあるハードウェアにはなかなか好ましいものを感じた新型ハリアーターボだった。試乗したのは上級の「プログレス」という仕様で、標準価格は424万4400円と安くはないが。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★
吉田匠│モータージャーナリスト
1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。『僕の恋人がカニ目になってから』(ニ玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。
(レスポンス 吉田匠)
一方、メカニカルな部分では、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」などの先進安全装備の充実を図ると同時に、これまでラインナップに存在しなかったターボモデルを追加してスポーティさを追求したことも、重要なファクターのひとつになっている。
上総方面で開かれた試乗会では、ターボの4WDという、SUVとして鉄板のモデルに乗ってみた。エンジンは2リットル直4直噴ターボで、231psのパワーと35.7kgmのトルクを発生する。2リットル直4NAは151psと19.7kgmだからかなりの強化で、特にトルクの増強が目につく。
それと同時にトランスミッションも、NAモデルのCVTから6ATに変わった。車重はターボの4WD仕様で1700kg前後だから、NAモデルに対する増加は70kgというところだ。
実際に走ってみると、パフォーマンスは満足いくものという印象を得た。普通に踏み込めば滑らかに、必要にして充分な加速を披露するのに加えて、深く踏み込むとそれなりに迫力のある加速を振る舞ってくれる。これならセッカチな御仁も文句はあるまい。その代わり、燃費はあまり期待しない方がいいかもしれないが。
しかも新型ハリアーターボ、動力性能だけでなく、乗り心地とハンドリングの分野でもなかなかの実力を感じさせてくれた。おそらくFADという可変減衰力ダンパーや、ボディ剛性を上がるパフォーマンスダンパーが効果を発揮しているのだろう、18インチタイヤを標準で履くにもかかわらず、乗り心地がいいのだ。
サスペンションは適度にソフトな印象で、ゴツゴツとした突き上げを感じさせず、脚がスムーズに上下動している感じである。したがって、コーナーではそれなりにロールを感じさせるが、それもすこぶる自然な感触で、狙ったラインを外すこともない。
前輪駆動状態と四輪駆動状態を自動的に電子制御する4WDシステムや、ステアリング、ブレーキ、駆動力を協調制御するS-VSCなどが巧妙に介在しているのだと思うが、その介入を明確に意識させないところが巧い。直進時とコーナリング時のメリハリがはっきりしたステアフィールも好ましいと思った。
エクステリアやインテリアのデザインに関しては読者諸兄の好みにお任せするが、その内側にあるハードウェアにはなかなか好ましいものを感じた新型ハリアーターボだった。試乗したのは上級の「プログレス」という仕様で、標準価格は424万4400円と安くはないが。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★
吉田匠│モータージャーナリスト
1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。『僕の恋人がカニ目になってから』(ニ玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。
(レスポンス 吉田匠)
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