【ランドローバー ディスカバリー 試乗】ノイズと振動を一切感じさせないお買い得ディーゼル…丸山誠

ランドローバー ディスカバリー
5代目『ディスカバリー』は、これまでのイメージをがらりと変えスタイリッシュに変身して現れた。弟分の『ディスカバリースポーツ』とよく似たデザインだが、ディスカバリーのボディはひとまわり大きくされている。

ランドローバーのモデルらしくアルミを贅沢に使い大幅な軽量化を実現。車体の85%にアルミを使うことで最大360kgも軽くなったという。

新型の特徴は、3リットルV6エンジンのディーゼルとガソリンを搭載すること。特にディーゼルの出来がいいのに驚いた。ガソリンと基本的に共通仕様だが、ディーゼルは圧倒的なトルク感がいい。最高出力は258馬力だが、1750回転以上で600Nmもの大トルクを発揮するため動力性能が高い。

アクセルを踏み込むとスムーズにエンジン回転が上昇し、トルク感のある強力な加速を開始する。何しろ600Nmものトルクだからボディの重さを感じさせないし、ワインディングロードでノーズの重さを感じることはなかった。

このディーゼルのよさはノイズとバイブレーションを一切感じさせないこと。試乗説明会で担当者がガソリン車とディーゼル車を間違えてしまったといっていたが、なるほど試乗してみるとディーゼルのネガティブな面を車内で感じることはない。SUVのなかだけでなく、乗用ディーゼルも含めてトップクラスの静粛性だ。

ガソリン仕様はスーパーチャージャー付きの340馬力で、レスポンスがいいのが特徴。スーパーチャージャーらしいビート感のある音とともにスピードを乗せていくが、エンジン音以外の加速感はターボのディーゼルのほうがいい。

ディーゼルはガソリン仕様より20万円高い設定だが、燃費や燃料代、減税を考えると買い得感がある。

ラフロードでの走りで使い勝手がよかったのが、オールテレインプログレスコントロール(ATPC)機能。1.8km/hから30km/hまで任意のスピードに設定できるラフロード用の低速クルーズコントロールだ。今回の試乗コースはフラットなラフロードだったが、それでもギャップでボディが大きく揺さぶられることもあった。

こうした状況に慣れていないドライバーは、揺れに同調してアクセルコントロールがガクガクしてしまいがち。そこでATCPオンにするとアクセル操作から解放され、ステアリング操作に集中できる。そのためコース取りを考えたり障害物を避ける余裕が生まれる。

また、オプションだが2列目と3列目席の折り畳みと復帰をリモコン操作できるインテリジェントシートホールド機能を設定。ラゲッジルームのスイッチやインパネ画面で操作でき、アプリを使えばスマートフォンでも操作が可能。

キャンピングトレーラーなどをトーイング(けん引)するのに便利な機能がオプションのアドバンストウアシストとレインレスポンス2オート。トレーラーを引っ張っているとバックが難しいが、これがあれば簡単。

センターコンソールのテレインレスポンスの操作ダイヤルを回せば、システムがステリングを操舵してトレーラーに折れ角を作る。もちろんトレーラーの進行方向はインパネのモニターに表示されるから安心だ。

ランドローバーらしくトーイング用のトウバーやヒッチボールのトウシステムは、何と3種類も用意されている。どのシステムでも最大けん引重量は3500kgだから大きなトレーラーもトーイング可能。

なかでも電動タイプとマルチハイトはノーズウエイトが350kgまで許容荷重なのでアメリカントレーラーにも対応できる。トーイング用にも低速トルクが大きいディーゼル仕様がおススメだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。

(レスポンス 丸山 誠)

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