【ダイハツ ムーヴ 試乗】ワゴンR や N-BOX に対する優位性はあるか…丸山誠
軽自動車のハイトワゴンは、スズキの『ワゴンR』とダイハツの『ムーヴ』が激しい戦いを繰り広げている。ライバルが燃費や装備を変更すると、それを追うように変更を加える。いいライバル関係で常に商品力を高めている。
ムーヴの天敵のワゴンRは、今年2月にフルモデルチェンジして安全装備を充実。単眼カメラと赤外線レーザーレーダーで前方のクルマや歩行者を検知して、衝突回避または被害を軽減するデュアルセンサーブレーキサポートを採用。
これをダイハツが黙って見ているはずがなかった。ムーヴは8月にマイナーチェンジし、先進安全装備の「スマートアシストIII」を採用。『ミライース』や『タント』に採用された、世界最小クラスのステレオカメラを使うシステムだ。
フロントウインドウの上側に付けられたコンパクトなステレオカメラは、形がコンチネンタル製によく似ているがじつはデンソー製。スマアシはIIIまで進化したが、歴代デンソー製のシステムを使い続けていることになる。
従来のスマアシIIは、今回のようなステレオカメラを使うシステムではなく、レーザーレーダーに単眼カメラの組み合わせだった。そのため歩行者を検知できても警報のみで、自動ブレーキの作動はなし。
新採用のスマアシIIIは歩行者に対しても自動ブレーキが作動するのがポイント。歩行者に対し約4km/hから約50km/hまでなら衝突を回避、または被害軽減の可能が高い。ワゴンRは上限が約60km/hなので多少の差はあるが、ムーヴもほぼ同等の安全性能を手に入れたわけだ。
エクステリアがスポーティになったのもうれしい点だ。特にカスタムはフロントまわりのイメージをガラリと変更。ヘッドライトを多灯薄型LEDヘッドライトにしたことでミニバンのような迫力が備わり、ナイトドライビングでの安全性も高められた。
ムーヴで走り出すと路面からのショックをサスペンションが優しく吸収していることがわかる。じつに当たり前のことのようだが、軽自動車は比較的車重が軽く、ホイールベースも短いためフラットな乗り心地を実現するのは意外に難しい。
ムーヴは前回のマイナーチェンジでボディやサスペンションを大幅改良して乗り心地が向上していたが、さらにサスペンションがよく動くように感じた。荒れた路面を走っても上体が揺られるような感覚がないためリラックスして走ることができ、コンパクトカーを運転しているような落ち着き感がある。
今回のマイナーチェンジでサスペンションやパワートレーン系の変更のアナウンスはないが、乗り心地はさらによくなった。
では軽自動車トップかといえば、この後フルモデルチェンジしたホンダ『N-BOX』に試乗したら乗り心地や走り、先進安全装備の充実度が高すぎて、出来のいいムーヴが霞んでしまった。ハイトワゴンとスーパーハイトワゴンという違いはあるが、N-BOXは別次元に突入した感じだ。
スーパーハイトワゴンを含めて軽自動車選びをしているユーザーは、N-BOXに試乗してみることをおススメしたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
ムーヴの天敵のワゴンRは、今年2月にフルモデルチェンジして安全装備を充実。単眼カメラと赤外線レーザーレーダーで前方のクルマや歩行者を検知して、衝突回避または被害を軽減するデュアルセンサーブレーキサポートを採用。
これをダイハツが黙って見ているはずがなかった。ムーヴは8月にマイナーチェンジし、先進安全装備の「スマートアシストIII」を採用。『ミライース』や『タント』に採用された、世界最小クラスのステレオカメラを使うシステムだ。
フロントウインドウの上側に付けられたコンパクトなステレオカメラは、形がコンチネンタル製によく似ているがじつはデンソー製。スマアシはIIIまで進化したが、歴代デンソー製のシステムを使い続けていることになる。
従来のスマアシIIは、今回のようなステレオカメラを使うシステムではなく、レーザーレーダーに単眼カメラの組み合わせだった。そのため歩行者を検知できても警報のみで、自動ブレーキの作動はなし。
新採用のスマアシIIIは歩行者に対しても自動ブレーキが作動するのがポイント。歩行者に対し約4km/hから約50km/hまでなら衝突を回避、または被害軽減の可能が高い。ワゴンRは上限が約60km/hなので多少の差はあるが、ムーヴもほぼ同等の安全性能を手に入れたわけだ。
エクステリアがスポーティになったのもうれしい点だ。特にカスタムはフロントまわりのイメージをガラリと変更。ヘッドライトを多灯薄型LEDヘッドライトにしたことでミニバンのような迫力が備わり、ナイトドライビングでの安全性も高められた。
ムーヴで走り出すと路面からのショックをサスペンションが優しく吸収していることがわかる。じつに当たり前のことのようだが、軽自動車は比較的車重が軽く、ホイールベースも短いためフラットな乗り心地を実現するのは意外に難しい。
ムーヴは前回のマイナーチェンジでボディやサスペンションを大幅改良して乗り心地が向上していたが、さらにサスペンションがよく動くように感じた。荒れた路面を走っても上体が揺られるような感覚がないためリラックスして走ることができ、コンパクトカーを運転しているような落ち着き感がある。
今回のマイナーチェンジでサスペンションやパワートレーン系の変更のアナウンスはないが、乗り心地はさらによくなった。
では軽自動車トップかといえば、この後フルモデルチェンジしたホンダ『N-BOX』に試乗したら乗り心地や走り、先進安全装備の充実度が高すぎて、出来のいいムーヴが霞んでしまった。ハイトワゴンとスーパーハイトワゴンという違いはあるが、N-BOXは別次元に突入した感じだ。
スーパーハイトワゴンを含めて軽自動車選びをしているユーザーは、N-BOXに試乗してみることをおススメしたい。
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丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
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