【ボルボ V90 T8ツインエンジン 試乗】XC90 よりも迫力のある加速感を味わえる…丸山誠
今年春に導入された新型「90シリーズ」の販売が好調だという。早くも7月には一部仕様を変更した90シリーズの2018年モデルを導入することがアナウンスされた。
2018年モデルになって設定されたのが、待望のプラグインハイブリッド「T8ツインエンジン」。SUVの『XC90』ではT8はすでに投入済みだが、ワゴンの『V90』はこれが初だ。それも広報試乗車の登録から数日というタイミングで試乗することができた。
ボルボが搭載する新世代パワートレーン「Drive-E」のなかで、トップに位置づけられるのがT8ツインエンジン。ツインエンジンと称しているがエンジンが2つあるわけではなく、モーター駆動を行うためこのようなネーミングになっている。
エンジンはT6と同じ2リットル直4スーパーチャージャー付き直噴ターボをフロントに搭載し、電気モーターをリヤに配置している。フロントタイヤはエンジンで駆動するが、リヤはモーターのみで駆動というe4WD的なプラグインハイブリッド。
基本はXC90のT8と同じで、そのメカをV90に移植したわけだ。セダンのS90にはT8は設定されず、セダンはT6 AWDがトップグレードのままとなる。T8の電池容量は30AhでEVでの最大走行距離は約45km。電池はフロアのセンタートンネル内に置かれるため、後席中央に座ると大きなトンネルをまたぐことになる。
新世代ボルボの特徴でもある、センターコンソールに付けられているキラキラと輝くスタートノブを回す。すでに暖機がすんでいたようで当然だがエンジン音はしない。これもキラキラと輝くドライブモードセレクターをクルクル回して、ハイブリッドモードを選択してスタート。
スタート時はモーターによってスルスルと動き出し、すぐにエンジンが始動。バッテリー残量があまりないためか、ハイブリッドモードではすぐにエンジンも使って走ってしまう。そこでプラグインハイブリッドらしさを存分に味わえるピアモードに切り替えると、モーター駆動のみとなりEVらしく静かな走りを堪能できる。
キャビンの静粛性が高く、ハイブリッドモードでエンジンが始動してもノイズが気にならないのは、こうしたプレミアムワゴンで大切なこと。音楽を聴いていればエンジンが始動したことに気づかないほど静かだ。
首都高速に入りパワーモードでアクセルを深く踏み込んでみると、エンジンとモーター駆動によってレスポンスのいい加速が体感できる。とくにGの立ち上がりが高いため、モーターのトルクの力強さを感じる。同じXC90 T8より迫力のある加速感だ。
この加速性能の違いは車両重量の違いが大きいと思う。XC90 T8の2340kgに対しV90 T8は2100kgと240kgも軽量だからだ。8速ATのシフトはスムーズで、パワーモードでの加速でも変速ショックをほとんど感じさせない。
ちなみにエンジンパワーはXC90 T8の318馬力に対しV90 T8は2馬力アップの320馬力となっているが、パワートレーンそのものに大きな違いはない。
90シリーズに標準の先進安全・運転支援機能のインテリセーフに2つの新機能を追加。「オンカミング・レーン・ミティゲーション」は、対向車が接近しているときに対向車線へはみ出するとステアリングを自動で操作して走行車線に戻す。
「ステアリングアシスト付きブラインドスポット・インフォメーションシステム」は、隣の車線を走る後続車との衝突を回避支援してくれる。この特徴はウインカーを操作していても衝突の危険性が高まるとステアリングを自動で操作する。
他車はウインカーを操作すると機能を停止するものもあるが、ボルボは危険が高まると強制的に介入する。こうした機能は実際の交通環境下では試せないが、パイロット・アシストIIは首都高での渋滞で使ってみた。
進化したパイロット・アシストIIは、ミリ波レーダーがグリルからウインドーの高解像度カメラ一体式に変更。レーダーは射程が150mから200mに延び、解像度は従来の4倍だという。
追従は前走車の動きによく連動して作動するが、ブレーキは3段階ある車間距離設定を一番短くしているとやや急ブレーキ気味になることがあった。車間距離設定を最大にするとスムーズなブレーキで止まるため、渋滞時は最大設定にするほうがいいようだ。
139km/hまで前走車に追従し、前走車がなくても車線維持するが、ボルボのパイロット・アシストIIは積極的にセンターをキープしない。個体差かもしれないが、どうも左側の車線にそって走ってしまう。
もちろん車線を逸脱するようだとステアリングに介入して戻すが、メルセデス・ベンツの『Eクラス』やBMW『5シリーズ』のように車線のセンターをどこまでも走り続けるという感じではないのが残念だ。
V90 T8は車庫の事情でXC90のような車高が高いSUVを所有できない人にお薦めのプラグインハイブリッド。電池はセンタートンネル内にあるため荷室容量に大きな影響はない。駆動モードには4WDモードもあるため、ウインターシーズンのスノーボードやスキーなどで雪道でのドライブも楽しそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
2018年モデルになって設定されたのが、待望のプラグインハイブリッド「T8ツインエンジン」。SUVの『XC90』ではT8はすでに投入済みだが、ワゴンの『V90』はこれが初だ。それも広報試乗車の登録から数日というタイミングで試乗することができた。
ボルボが搭載する新世代パワートレーン「Drive-E」のなかで、トップに位置づけられるのがT8ツインエンジン。ツインエンジンと称しているがエンジンが2つあるわけではなく、モーター駆動を行うためこのようなネーミングになっている。
エンジンはT6と同じ2リットル直4スーパーチャージャー付き直噴ターボをフロントに搭載し、電気モーターをリヤに配置している。フロントタイヤはエンジンで駆動するが、リヤはモーターのみで駆動というe4WD的なプラグインハイブリッド。
基本はXC90のT8と同じで、そのメカをV90に移植したわけだ。セダンのS90にはT8は設定されず、セダンはT6 AWDがトップグレードのままとなる。T8の電池容量は30AhでEVでの最大走行距離は約45km。電池はフロアのセンタートンネル内に置かれるため、後席中央に座ると大きなトンネルをまたぐことになる。
新世代ボルボの特徴でもある、センターコンソールに付けられているキラキラと輝くスタートノブを回す。すでに暖機がすんでいたようで当然だがエンジン音はしない。これもキラキラと輝くドライブモードセレクターをクルクル回して、ハイブリッドモードを選択してスタート。
スタート時はモーターによってスルスルと動き出し、すぐにエンジンが始動。バッテリー残量があまりないためか、ハイブリッドモードではすぐにエンジンも使って走ってしまう。そこでプラグインハイブリッドらしさを存分に味わえるピアモードに切り替えると、モーター駆動のみとなりEVらしく静かな走りを堪能できる。
キャビンの静粛性が高く、ハイブリッドモードでエンジンが始動してもノイズが気にならないのは、こうしたプレミアムワゴンで大切なこと。音楽を聴いていればエンジンが始動したことに気づかないほど静かだ。
首都高速に入りパワーモードでアクセルを深く踏み込んでみると、エンジンとモーター駆動によってレスポンスのいい加速が体感できる。とくにGの立ち上がりが高いため、モーターのトルクの力強さを感じる。同じXC90 T8より迫力のある加速感だ。
この加速性能の違いは車両重量の違いが大きいと思う。XC90 T8の2340kgに対しV90 T8は2100kgと240kgも軽量だからだ。8速ATのシフトはスムーズで、パワーモードでの加速でも変速ショックをほとんど感じさせない。
ちなみにエンジンパワーはXC90 T8の318馬力に対しV90 T8は2馬力アップの320馬力となっているが、パワートレーンそのものに大きな違いはない。
90シリーズに標準の先進安全・運転支援機能のインテリセーフに2つの新機能を追加。「オンカミング・レーン・ミティゲーション」は、対向車が接近しているときに対向車線へはみ出するとステアリングを自動で操作して走行車線に戻す。
「ステアリングアシスト付きブラインドスポット・インフォメーションシステム」は、隣の車線を走る後続車との衝突を回避支援してくれる。この特徴はウインカーを操作していても衝突の危険性が高まるとステアリングを自動で操作する。
他車はウインカーを操作すると機能を停止するものもあるが、ボルボは危険が高まると強制的に介入する。こうした機能は実際の交通環境下では試せないが、パイロット・アシストIIは首都高での渋滞で使ってみた。
進化したパイロット・アシストIIは、ミリ波レーダーがグリルからウインドーの高解像度カメラ一体式に変更。レーダーは射程が150mから200mに延び、解像度は従来の4倍だという。
追従は前走車の動きによく連動して作動するが、ブレーキは3段階ある車間距離設定を一番短くしているとやや急ブレーキ気味になることがあった。車間距離設定を最大にするとスムーズなブレーキで止まるため、渋滞時は最大設定にするほうがいいようだ。
139km/hまで前走車に追従し、前走車がなくても車線維持するが、ボルボのパイロット・アシストIIは積極的にセンターをキープしない。個体差かもしれないが、どうも左側の車線にそって走ってしまう。
もちろん車線を逸脱するようだとステアリングに介入して戻すが、メルセデス・ベンツの『Eクラス』やBMW『5シリーズ』のように車線のセンターをどこまでも走り続けるという感じではないのが残念だ。
V90 T8は車庫の事情でXC90のような車高が高いSUVを所有できない人にお薦めのプラグインハイブリッド。電池はセンタートンネル内にあるため荷室容量に大きな影響はない。駆動モードには4WDモードもあるため、ウインターシーズンのスノーボードやスキーなどで雪道でのドライブも楽しそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
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