【アルファロメオ ジュリア 試乗】新たなアルファロメオの世界観がジワジワと…島崎七生人
メーカーのホームページでスペックを確認するつもりが、危うくドロアーで現れた“お見積もり依頼ボタン”をクリックしそうになった。まだ1グレード、3日間だけの味見ではあったが、魅力がジワジワと身体に染み入りそうな…そんな気配濃厚ではある。
借り出したのは「ジュリア ヴェローチェ」。4気筒の2リットル・インタークーラー付きツインスクロールターボのハイチューン版(280ps/40.8kgm)を搭載。さらに駆動方式がFRではなく4WDというモデル。『155』や『164』の頃なら、ははーっとひれ伏した“Q4”バッジがトランクリッドにさり気なく付くものの、カタログのグレード名でそれは謳われていない。また「ジュリア スーパー」は前後異サイズのタイヤを装着するが、この「ヴェローチェ」は前後同サイズの225/45R18だ。
まだ下ろして間もない試乗車ゆえ、走り出し直後には駆動力の伝わり方にメカニズム、システム、プログラム上のぎこちなさを感じる場面もあった。が、走らせるにつれ、なじみが出始め、メキメキとスムースさが増してきた…そんな印象だった。
レポーターは『164』『156』『166』(乗り継ぎで2台!)の自己所有の経験があるが、FFではない新世代のアルファロメオのセダンはどうか?は大きな関心事のひとつ。ザックリとした第一印象では「新たなアルファロメオの世界観をカタチにしてきたんだな」だった。とくにダイヤルでモードを選ぶ“dnaスイッチ”で“d”を選ぶと、ステアリングは切り始めからクイックで、エンジン性能もダイレクトに駆使しての走り。これはたとえばBMWなどを意識しているような感触。とはいえ“n”であれば、ステアリングも“d”より穏やかで、そのキャラクターを基準にしたしなやかな身のこなしは「ああ、アルファロメオだ」と思える仕上がりになっている。
エンジンは性能、レスポンスとも十分。8速ATの制御、変速もスムースだ。ただし遮音、振動の遮断などの性能が上がっていることもあり、アクセルワークに呼応した音の盛り上がりは控えめ。このあたりはV6エンジンの「クワドリフォリオ」でも試してみたい。
乗り味も試乗中の僅かな距離でもなじみが進んだようで、高速走行時のフラット感は上等であり、タウンスピードでもまったく問題なし、ファミリーセダンとしても通用する。『166』を手放し、ここ何年かはチンクェチェントでシンプルなクルマ生活を送っている身には、フロント:ダブルウイッシュボーン/リヤ:マルチリンクの繊細で上質な乗り味は(かつての『166』の世界観を思い出させる)極上に思えた。
なお自動緊急ブレーキ、レーン逸脱警告などの機能も充実。アイドリングストップも備わる。ACCも前車の追従、加・減速が実に自然にきくのだが、まさかアクセルを踏まずにアルファロメオを走らせる時代が来るとは!? とも、ふと思った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
借り出したのは「ジュリア ヴェローチェ」。4気筒の2リットル・インタークーラー付きツインスクロールターボのハイチューン版(280ps/40.8kgm)を搭載。さらに駆動方式がFRではなく4WDというモデル。『155』や『164』の頃なら、ははーっとひれ伏した“Q4”バッジがトランクリッドにさり気なく付くものの、カタログのグレード名でそれは謳われていない。また「ジュリア スーパー」は前後異サイズのタイヤを装着するが、この「ヴェローチェ」は前後同サイズの225/45R18だ。
まだ下ろして間もない試乗車ゆえ、走り出し直後には駆動力の伝わり方にメカニズム、システム、プログラム上のぎこちなさを感じる場面もあった。が、走らせるにつれ、なじみが出始め、メキメキとスムースさが増してきた…そんな印象だった。
レポーターは『164』『156』『166』(乗り継ぎで2台!)の自己所有の経験があるが、FFではない新世代のアルファロメオのセダンはどうか?は大きな関心事のひとつ。ザックリとした第一印象では「新たなアルファロメオの世界観をカタチにしてきたんだな」だった。とくにダイヤルでモードを選ぶ“dnaスイッチ”で“d”を選ぶと、ステアリングは切り始めからクイックで、エンジン性能もダイレクトに駆使しての走り。これはたとえばBMWなどを意識しているような感触。とはいえ“n”であれば、ステアリングも“d”より穏やかで、そのキャラクターを基準にしたしなやかな身のこなしは「ああ、アルファロメオだ」と思える仕上がりになっている。
エンジンは性能、レスポンスとも十分。8速ATの制御、変速もスムースだ。ただし遮音、振動の遮断などの性能が上がっていることもあり、アクセルワークに呼応した音の盛り上がりは控えめ。このあたりはV6エンジンの「クワドリフォリオ」でも試してみたい。
乗り味も試乗中の僅かな距離でもなじみが進んだようで、高速走行時のフラット感は上等であり、タウンスピードでもまったく問題なし、ファミリーセダンとしても通用する。『166』を手放し、ここ何年かはチンクェチェントでシンプルなクルマ生活を送っている身には、フロント:ダブルウイッシュボーン/リヤ:マルチリンクの繊細で上質な乗り味は(かつての『166』の世界観を思い出させる)極上に思えた。
なお自動緊急ブレーキ、レーン逸脱警告などの機能も充実。アイドリングストップも備わる。ACCも前車の追従、加・減速が実に自然にきくのだが、まさかアクセルを踏まずにアルファロメオを走らせる時代が来るとは!? とも、ふと思った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
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