【ホンダ シビックハッチバック 試乗】セダンより剛性感も値段も高い理由…中村孝仁
セダンに続いてハッチバックのシビックにも試乗した。こちらはセダンと違い、トランスミッションによってグレードが分かれている。
セダンと同じCVT搭載車と、何とマニュアルトランスミッションの設定がある。しかも予注開始から1万2000台販売されたモデルのうち、ハッチバックはほぼその半数、つまり6000台ほどで、このうち35%がMT車だというから、MT比率はかなり高いということになる。
それだけではない。CVT仕様とMT仕様ではエンジンのチューニングも異なるし、そもそもセダンとハッチバックでもエンジンの仕様は異なるのだ。
具体的にはセダンの仕様が173ps/5500rpm、220Nm/1700~5500rpmであったのに対し、ハッチバックのCVT仕様は182ps/6000rpm、220Nm/1700~5500rpmと、セダンより良く回るし、パワーも若干高めの設定になっている。これがMT仕様になると、パワーこそ一緒の182ps/5500rpmだが、よく見るとその発生回転数は500rpm引き下げられ、最大トルクの方は240Nm/1900~5000rpmと、こちらも若干最大トルクが引き上げられた仕様となっているのである。
◆ワインディングで真価を発揮した
というわけで、もちろん試乗車はこのMT仕様である。最初にセダンに乗って、その後でこのMT仕様に乗った。試乗ルートはセダンと全く同じで、東名を御殿場からひと区間乗り、復路は一般道というルートである。
CVTは無段変速だから、アクセルの任せるまま。勿論スピードモードが付いて7速の疑似シフト体験は可能だが、個人的には何の意味もなさないと思うので滅多には使わない。一方でMTの方は6速である。少しストロークは大きいが、十分にシフト感覚を楽しめる優れモノのマニュアルだ。スピードの乗りも良く、あっという間に100km/hに到達してしまう。東名全線が早く最高スピードを引き上げてくれることを、こういうクルマに乗るといつも思う。
ところで、このクルマの良さを発見したのは復路の一般道ワインディングロード。セダンではここで乗り心地が悪いと感じたのだが、ハッチバックの方ではそれを全然感じない。それどころか、いなし感が絶妙で実に快適。結構素早い転舵に対しても、ノーズはスパッとついて来るし、緩やかな転舵に対してもまさしくミリ単位で意のままに動いてくれる。タイヤはグッドイヤー・イーグルF1の18インチである。
それだけではない。セダンで感じたエンジン透過音の高さも、3000~4000rpmで感じられたフロア振動もこのハッチバック車では皆無で、剛性感はセダンより高く感じられたのである。
◆ハッチバックがセダンより値段もお高い理由
この違いについて、試乗の後懇親したホンダ第11技術開発室、第7ブロック主任研究員で、タイプRの開発を担当した柿沼秀樹氏は次のように答えてくれた。
曰く、今回はタイプRを同時開発することで、そのベースとなるハッチバック車はタイプRが成立するように、あらかじめ骨格各部に補強が入れられているから、骨格の強さはセダンより明らかに上だというのである。
ハッチバックがセダンよりお高い理由は実はここにあった!というわけだ。実際開口部が多いハッチバックは、セダンより剛性が取りにくいはずだが、それでもハッチバックの方が、逆に剛性感が高いのは、この補強効果である。さらに振動の抑制などもセダンよりも上で、僕の試乗印象が間違っていなかったことを裏付けてくれた。
だから、セダンよりも走っていて安心感もあるし、何より痛快。久々にホンダらしい、活気溢れる走りのハッチバック車が誕生したと感じた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
セダンと同じCVT搭載車と、何とマニュアルトランスミッションの設定がある。しかも予注開始から1万2000台販売されたモデルのうち、ハッチバックはほぼその半数、つまり6000台ほどで、このうち35%がMT車だというから、MT比率はかなり高いということになる。
それだけではない。CVT仕様とMT仕様ではエンジンのチューニングも異なるし、そもそもセダンとハッチバックでもエンジンの仕様は異なるのだ。
具体的にはセダンの仕様が173ps/5500rpm、220Nm/1700~5500rpmであったのに対し、ハッチバックのCVT仕様は182ps/6000rpm、220Nm/1700~5500rpmと、セダンより良く回るし、パワーも若干高めの設定になっている。これがMT仕様になると、パワーこそ一緒の182ps/5500rpmだが、よく見るとその発生回転数は500rpm引き下げられ、最大トルクの方は240Nm/1900~5000rpmと、こちらも若干最大トルクが引き上げられた仕様となっているのである。
◆ワインディングで真価を発揮した
というわけで、もちろん試乗車はこのMT仕様である。最初にセダンに乗って、その後でこのMT仕様に乗った。試乗ルートはセダンと全く同じで、東名を御殿場からひと区間乗り、復路は一般道というルートである。
CVTは無段変速だから、アクセルの任せるまま。勿論スピードモードが付いて7速の疑似シフト体験は可能だが、個人的には何の意味もなさないと思うので滅多には使わない。一方でMTの方は6速である。少しストロークは大きいが、十分にシフト感覚を楽しめる優れモノのマニュアルだ。スピードの乗りも良く、あっという間に100km/hに到達してしまう。東名全線が早く最高スピードを引き上げてくれることを、こういうクルマに乗るといつも思う。
ところで、このクルマの良さを発見したのは復路の一般道ワインディングロード。セダンではここで乗り心地が悪いと感じたのだが、ハッチバックの方ではそれを全然感じない。それどころか、いなし感が絶妙で実に快適。結構素早い転舵に対しても、ノーズはスパッとついて来るし、緩やかな転舵に対してもまさしくミリ単位で意のままに動いてくれる。タイヤはグッドイヤー・イーグルF1の18インチである。
それだけではない。セダンで感じたエンジン透過音の高さも、3000~4000rpmで感じられたフロア振動もこのハッチバック車では皆無で、剛性感はセダンより高く感じられたのである。
◆ハッチバックがセダンより値段もお高い理由
この違いについて、試乗の後懇親したホンダ第11技術開発室、第7ブロック主任研究員で、タイプRの開発を担当した柿沼秀樹氏は次のように答えてくれた。
曰く、今回はタイプRを同時開発することで、そのベースとなるハッチバック車はタイプRが成立するように、あらかじめ骨格各部に補強が入れられているから、骨格の強さはセダンより明らかに上だというのである。
ハッチバックがセダンよりお高い理由は実はここにあった!というわけだ。実際開口部が多いハッチバックは、セダンより剛性が取りにくいはずだが、それでもハッチバックの方が、逆に剛性感が高いのは、この補強効果である。さらに振動の抑制などもセダンよりも上で、僕の試乗印象が間違っていなかったことを裏付けてくれた。
だから、セダンよりも走っていて安心感もあるし、何より痛快。久々にホンダらしい、活気溢れる走りのハッチバック車が誕生したと感じた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
MORIZO on the Road