【スズキ スイフトハイブリッド 試乗】「AGS、論外」そう思っていたけれど…岩貞るみこ

スズキ スイフトハイブリッド
AGS。この言葉を投げかけたら、「コーヒーギフトはエイ、ジー、エ…♪」と、脳内に音楽が流れるのではないだろうか。違う。それは、味の素さまが新しくした社名(味の素AGF)だ。

最後の一文字がSである「AGS」は、Auto Gear Shift。スズキが開発した変速機である。マニュアルミッションをベースにして、クラッチなしで操作できるこのシステム。長所はコンパクトで安上がりで、燃費もよろしいと三拍子そろったものだ。しかし、それらを合わせても上回る欠点もある。加速中のへたれ感だ。

アクセルを踏み続けていると、一速、二速と自動的にシフトアップしてくれるのだが、そのときに息継ぎをするかのように、加速が止まる。スズキでは先に『アルト』に搭載し(軽トラの『キャリイ』も)、たしかに欧州車のコレ系に比べたらスムーズに走るかもしれない。だけど、ATや、CVTの滑らかさに慣れ切った身には本当に使いにくいのである。

「AGS、論外」ずーっとそう思ってきた。しかし、ハイブリッドと出会ったAGSは、見違えるほどの大変身を遂げていたのである。

搭載されたのは、『スイフト』。ほどよい大きさで取り回しのしやすさは文句ない。アクセルをそっと踏んでみる。息継ぎを覚悟しながら身構えるも、ぎくしゃく感がほとんどない! 一速から二速にいくときの逆噴射したかのような違和感がまったくなく、するすると加速を続けるのである。理由はハイブリッドだから。息継ぎ部分をモーターが補って、なめらかにつないでいるのだ。なんて乗りやすいんでしょう。

しかも、AGSはマニュアルミッションがベース。ハンドルについているパドルシフトを操作すれば、さくさくとギアチェンジができ、コーナリングの楽しいことといったら。さらに、燃費のいいAGSとハイブリッドの組み合わせとあって、カタログ値はリッターあたり32.0km。すばらしい。『スイフトスポーツ』にばかり脚光が当たる。たしかにサスも含めてスイフトスポーツのほうがスポーティ感は高い。けれど、燃費と走りの面白さを両立させた、こちらのハイブリッド+5AGSも試してみる価値ありである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

(レスポンス 岩貞るみこ)

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