【ルノー トゥインゴ 試乗】1リットルMTと0.9リットルターボを乗り比べ、軍配は?…中村孝仁
ルノー『トゥインゴ』がデビューした時試乗したのは、0.9リットル3気筒ターボと6速DCT(ルノーはEDCと呼ぶ)の組み合わせ。そのキビキビとした走りには驚かされたものだ。
それから少しして、5速MTと1リットル3気筒NAエンジンの組み合わせとなる「ゼン」が導入されたのだが、乗る機会を失して今日まで来てしまった。そこで、改めてこの1リットルモデルを借り出すとともに、0.9リットルターボとの比較試乗を断行してみた。
◆手足のように使い倒せる
今でこそ0.9リットルモデルにも下級グレードのゼンが追加されているが、デビュー当初は「インテンス」という上級グレードのモデルのみだった。今回の比較でも0.9リットルはトゥインゴラインナップの最上級となる「インテンス・キャンバストップ」という最上級グレード。つまり最高級と最下級での乗り比べである。その最下級モデルのゼンの場合、インテンスとは異なり、外観ではホイールがテッチン+ホイールキャップとなり、インテリアではエアコンがオートからマニュアルに変わる。他に大きな差異は見つけられなかった。
久しぶりに路上に乗り出したトゥインゴだったが、相変わらず目線が高く、ボディが非常にコンパクトだから、まあ自分の手足のように使い倒すことが出来る。何と、サイドミラーも自動的には畳んでくれない。でも、左のサイドウィンドーを開け、手を伸ばせばミラーを畳めるほどコンパクトだから心配はいらない。
1リットルMTは同じエンジンで6DCTとの組み合わせだったスマート『フォーフォー』で体験済みだったので、これがマニュアルになるとやっぱり快活に走るんだと初めのうちは感じていた。事実、街中では相当に活気溢れる走りを披露する。しかし、あとになって0.9リットルターボとの比較になると、その快活さはまあ普通。やはりターボ車とはだいぶ違うことを思い知った。ただ、マニュアルはやはりDCTとの組み合わせよりは快活に走らせることが出来るということは確認できた。
◆軽自動車にも欲しい剛性感の高さ
しかしこのクルマの決定的かつ唯一無二ともいえる大きな欠点は、右ハンドルで、クラッチを踏む左足を休めるスペースが皆無だということ。センターコンソールに邪魔されて、クラッチの左横には全くスペースがない。このため左足は常に軽くクラッチの上に載せておくか、さもなければクラッチペダルの手前の床に置くしかない。DCTの場合はクラッチペダルがない分、そのスペースに足を置けた。マニュアルで、しかもフットスペースの欠如はかなり大きなダメージである。
音の違いも予想外であった。はじめに1リットル車に乗った際は、3気筒らしい軽快なハミング…なんて思っていたが、これが0.9リットルに乗り換えると、あれ?エンジン音違うじゃない…となる。簡単に言うと1リットルは如何にも3気筒らしいサウンドが比較的明快に室内に侵入するのに対し、0.9リットルは3気筒らしさが影を潜め、ボリュームも小さくなるのだ。つまり、ズバリ言ってしまうと軽自動車的1リットルに対し、ちょっとしたスポーツモデル風0.9リットルということになる。
乗り心地はどちらも手放しで褒めるわけにはいかないレベルで、それなりの突き上げ感とぴょこぴょこした動きに終始する。まあ、サイズを考えると致し方ないと思うが、剛性感の高さだけは是非とも日本のメーカーの軽自動車が真似をして欲しい部分である。
◆軍配はどちらに
まずはお値段。ゼンの1リットルは171万円。対するインテンスキャンバスは199万円。どちらも200万円を切って軽自動車が比較対象に入るレベルである。パフォーマンスだけの話になったら、そりぁ軽自動車の勝てるレベルではない。ただ、トゥインゴ同士で比べると、これも圧倒的にインテンスの勝ち。だから、パワー指向の強いドライバーにはインテンスをお勧めする。
と言うより、実はゼンにも0.9リットルターボ+6DCTの組み合わせがあって、そちらだと180万円で、9万円アップで購入できる。MTは、フットレストの用意が出来ないという個人的には決定的なネガがあるので、買うなら0.9リットルと6DCTの組み合わせ。あとは装備差ということになる。因みに1リットルは5MTの組み合わせしかない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度 :★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
それから少しして、5速MTと1リットル3気筒NAエンジンの組み合わせとなる「ゼン」が導入されたのだが、乗る機会を失して今日まで来てしまった。そこで、改めてこの1リットルモデルを借り出すとともに、0.9リットルターボとの比較試乗を断行してみた。
◆手足のように使い倒せる
今でこそ0.9リットルモデルにも下級グレードのゼンが追加されているが、デビュー当初は「インテンス」という上級グレードのモデルのみだった。今回の比較でも0.9リットルはトゥインゴラインナップの最上級となる「インテンス・キャンバストップ」という最上級グレード。つまり最高級と最下級での乗り比べである。その最下級モデルのゼンの場合、インテンスとは異なり、外観ではホイールがテッチン+ホイールキャップとなり、インテリアではエアコンがオートからマニュアルに変わる。他に大きな差異は見つけられなかった。
久しぶりに路上に乗り出したトゥインゴだったが、相変わらず目線が高く、ボディが非常にコンパクトだから、まあ自分の手足のように使い倒すことが出来る。何と、サイドミラーも自動的には畳んでくれない。でも、左のサイドウィンドーを開け、手を伸ばせばミラーを畳めるほどコンパクトだから心配はいらない。
1リットルMTは同じエンジンで6DCTとの組み合わせだったスマート『フォーフォー』で体験済みだったので、これがマニュアルになるとやっぱり快活に走るんだと初めのうちは感じていた。事実、街中では相当に活気溢れる走りを披露する。しかし、あとになって0.9リットルターボとの比較になると、その快活さはまあ普通。やはりターボ車とはだいぶ違うことを思い知った。ただ、マニュアルはやはりDCTとの組み合わせよりは快活に走らせることが出来るということは確認できた。
◆軽自動車にも欲しい剛性感の高さ
しかしこのクルマの決定的かつ唯一無二ともいえる大きな欠点は、右ハンドルで、クラッチを踏む左足を休めるスペースが皆無だということ。センターコンソールに邪魔されて、クラッチの左横には全くスペースがない。このため左足は常に軽くクラッチの上に載せておくか、さもなければクラッチペダルの手前の床に置くしかない。DCTの場合はクラッチペダルがない分、そのスペースに足を置けた。マニュアルで、しかもフットスペースの欠如はかなり大きなダメージである。
音の違いも予想外であった。はじめに1リットル車に乗った際は、3気筒らしい軽快なハミング…なんて思っていたが、これが0.9リットルに乗り換えると、あれ?エンジン音違うじゃない…となる。簡単に言うと1リットルは如何にも3気筒らしいサウンドが比較的明快に室内に侵入するのに対し、0.9リットルは3気筒らしさが影を潜め、ボリュームも小さくなるのだ。つまり、ズバリ言ってしまうと軽自動車的1リットルに対し、ちょっとしたスポーツモデル風0.9リットルということになる。
乗り心地はどちらも手放しで褒めるわけにはいかないレベルで、それなりの突き上げ感とぴょこぴょこした動きに終始する。まあ、サイズを考えると致し方ないと思うが、剛性感の高さだけは是非とも日本のメーカーの軽自動車が真似をして欲しい部分である。
◆軍配はどちらに
まずはお値段。ゼンの1リットルは171万円。対するインテンスキャンバスは199万円。どちらも200万円を切って軽自動車が比較対象に入るレベルである。パフォーマンスだけの話になったら、そりぁ軽自動車の勝てるレベルではない。ただ、トゥインゴ同士で比べると、これも圧倒的にインテンスの勝ち。だから、パワー指向の強いドライバーにはインテンスをお勧めする。
と言うより、実はゼンにも0.9リットルターボ+6DCTの組み合わせがあって、そちらだと180万円で、9万円アップで購入できる。MTは、フットレストの用意が出来ないという個人的には決定的なネガがあるので、買うなら0.9リットルと6DCTの組み合わせ。あとは装備差ということになる。因みに1リットルは5MTの組み合わせしかない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度 :★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
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