【ルノー カングー 6MT 試乗】あれ?年次改良でもやりました?静粛性に驚き…中村孝仁
いかにしてこのクルマで遊ぶか。日本ではルノー『カングー』を自分のライフスタイルに取り込んで、それをどう活かすかをまるで競うようで、それがこのクルマの販売を押し上げている。
それはヨーロッパのTVにも取り上げられるほど。まさにカングー現象とでも言いたくなる状況だ。とはいえ、2代目の現行モデルが誕生したのは2007年だから、もう10年選手。決して新しさはない。使われているプラットフォームもCプラットフォームという、日産との共同開発で誕生したもの。日産側は『ラフェスタ』にこのプラットフォームを用いているのだが、言っちゃ悪いが何でこんなに違うの?乗り心地と安定感…と言いたくなるほど。それに、カングーの生まれは元々は商用車として。もちろんピープルムーバーとしての機能も持たせてはいるのだが、生まれたフランスではどちらが主流派かと言われたら、そりゃ、商用車!である。
そんなわけだから、およそ豪華さなんかとは無縁。剥き出して平気でビス止めしたパネルなんかがあちこちに散見される。でも、そんなことは端っから織り込み済みというのが、日本のユーザーだということらしい。
昨年EDC、即ちDCTの6速と1.2リットルターボの組み合わせが誕生して、今では1.6リットル+4ATが退役し、カングーはすべてこのエンジンに統一された。そしてマニュアルの組み合わせは依然として残されていて、今回は1.2リットルターボと6MTの組み合わせに試乗した。
だから、カングーの試乗は1年ぶりである。ただし、試乗車は一応限定車ということで、ホイールはOZ製のアルミが奢られ、室内には見たことの無いスピーカーがダッシュ上面に取り付けられていた。それにナビもついている。まあ、ノーマル車両から変わっているところは恐らくそれだけ。
ところがである。乗り出してすぐに、あれっ?となった。まるでインシュレーターでも奢ったのかと思うほど静かである。それに猫足は以前からだが、その乗り心地にも間違いなく進化した跡があった。フットワークは相変わらずで、非力なエンジンをMTで極限まで使い倒しても、クルマの方はニヤッと笑っている印象である。
乗り込むとフロントウィンドーは遠いし、屋根は遠いし、まあそれ以前に乗っていたクルマにもよるものなのかもしれないが、カングーユーザーにとってはこの空間は当たり前の広さなのだろう。とにかくどこもかしこも遠い。僕の場合、カングーに乗る直前は、ルノー『トゥインゴ』だったから余計そう感じたのかもしれないが、乗り出して既に3日経っているのに依然としてだだっ広い空間と感じてしまう。
折角のデカい空間だから、ゴルフバックを積んで練習に出かけてみた。リアラゲッジルームには、ダッシュ上にあったスピーカーと一体なのか、サブウーファー的なスピーカーが無造作に床面に取り付けられている。少々邪魔だが、お構いなしにその上にゴルフバッグを仕舞う。斜めにすればすっぽり収まる。やはり広い。リアシートを畳むとフラットで広大な空間が誕生するのも大いなる魅力なのだろう。確かに、どう使おうか…とあれこれ思いめぐらすのも楽しそうだ。
気になる静粛性と乗り心地を確認するために、広報に電話して、「年次改良でもありましたか?」と尋ねてみた。しかし、返ってきた答えは「いいえ」で、しかも「やっぱり感じました?」であった。
確かにホイールがアルミになっているから、多少はバネ下重量も低減されているだろうが、そんなことによる変化ではないし、何でこんなに静かなの?という問いにも「わからないけど我々もそれを感じているんです」と。ヨーロッパのメーカーは細かくここを変えましたと言わずに、少しいじって大きな成果を上げるような改良が昔から行われる。だから特にドイツ車などは、○○年製という区切りをつけていない。アメリカなどは明確に9月からの生産分を翌年の年式で呼ぶ慣習があるが、ヨーロッパはそうではないし、細かい改良は発表しないので、ひょっとすると、少しいじられているのかもしれないが、困ったのは広報で感じているのも、今のところこの個体だけだという。
マニュアルの使い心地は、まあそれなりである。少し1速がローギアすぎるきらいがあって、やはり重い荷物を積んだ時を想定している印象があるが、それ以外はスムーズ。ストロークはやはり大きめで、シフトチェンジは正確にやった方が繋がりはスムーズであった。カングー…イイネ…である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
それはヨーロッパのTVにも取り上げられるほど。まさにカングー現象とでも言いたくなる状況だ。とはいえ、2代目の現行モデルが誕生したのは2007年だから、もう10年選手。決して新しさはない。使われているプラットフォームもCプラットフォームという、日産との共同開発で誕生したもの。日産側は『ラフェスタ』にこのプラットフォームを用いているのだが、言っちゃ悪いが何でこんなに違うの?乗り心地と安定感…と言いたくなるほど。それに、カングーの生まれは元々は商用車として。もちろんピープルムーバーとしての機能も持たせてはいるのだが、生まれたフランスではどちらが主流派かと言われたら、そりゃ、商用車!である。
そんなわけだから、およそ豪華さなんかとは無縁。剥き出して平気でビス止めしたパネルなんかがあちこちに散見される。でも、そんなことは端っから織り込み済みというのが、日本のユーザーだということらしい。
昨年EDC、即ちDCTの6速と1.2リットルターボの組み合わせが誕生して、今では1.6リットル+4ATが退役し、カングーはすべてこのエンジンに統一された。そしてマニュアルの組み合わせは依然として残されていて、今回は1.2リットルターボと6MTの組み合わせに試乗した。
だから、カングーの試乗は1年ぶりである。ただし、試乗車は一応限定車ということで、ホイールはOZ製のアルミが奢られ、室内には見たことの無いスピーカーがダッシュ上面に取り付けられていた。それにナビもついている。まあ、ノーマル車両から変わっているところは恐らくそれだけ。
ところがである。乗り出してすぐに、あれっ?となった。まるでインシュレーターでも奢ったのかと思うほど静かである。それに猫足は以前からだが、その乗り心地にも間違いなく進化した跡があった。フットワークは相変わらずで、非力なエンジンをMTで極限まで使い倒しても、クルマの方はニヤッと笑っている印象である。
乗り込むとフロントウィンドーは遠いし、屋根は遠いし、まあそれ以前に乗っていたクルマにもよるものなのかもしれないが、カングーユーザーにとってはこの空間は当たり前の広さなのだろう。とにかくどこもかしこも遠い。僕の場合、カングーに乗る直前は、ルノー『トゥインゴ』だったから余計そう感じたのかもしれないが、乗り出して既に3日経っているのに依然としてだだっ広い空間と感じてしまう。
折角のデカい空間だから、ゴルフバックを積んで練習に出かけてみた。リアラゲッジルームには、ダッシュ上にあったスピーカーと一体なのか、サブウーファー的なスピーカーが無造作に床面に取り付けられている。少々邪魔だが、お構いなしにその上にゴルフバッグを仕舞う。斜めにすればすっぽり収まる。やはり広い。リアシートを畳むとフラットで広大な空間が誕生するのも大いなる魅力なのだろう。確かに、どう使おうか…とあれこれ思いめぐらすのも楽しそうだ。
気になる静粛性と乗り心地を確認するために、広報に電話して、「年次改良でもありましたか?」と尋ねてみた。しかし、返ってきた答えは「いいえ」で、しかも「やっぱり感じました?」であった。
確かにホイールがアルミになっているから、多少はバネ下重量も低減されているだろうが、そんなことによる変化ではないし、何でこんなに静かなの?という問いにも「わからないけど我々もそれを感じているんです」と。ヨーロッパのメーカーは細かくここを変えましたと言わずに、少しいじって大きな成果を上げるような改良が昔から行われる。だから特にドイツ車などは、○○年製という区切りをつけていない。アメリカなどは明確に9月からの生産分を翌年の年式で呼ぶ慣習があるが、ヨーロッパはそうではないし、細かい改良は発表しないので、ひょっとすると、少しいじられているのかもしれないが、困ったのは広報で感じているのも、今のところこの個体だけだという。
マニュアルの使い心地は、まあそれなりである。少し1速がローギアすぎるきらいがあって、やはり重い荷物を積んだ時を想定している印象があるが、それ以外はスムーズ。ストロークはやはり大きめで、シフトチェンジは正確にやった方が繋がりはスムーズであった。カングー…イイネ…である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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