【スズキ スペーシア 試乗】N-BOXにどこまで迫ることができるか…丸山誠
スーパーハイトワゴンのクラスでは『N-BOX』の人気が続いている。スズキはN-BOXの牙城を切り崩すため『スペーシア』をフルモデルチェンジした。
東京モーターショー2017ではプロトタイプとして登場したが、やはり市販車もそのままの姿だった。プラットフォームからパワートレーンまで変更し、先代より全高は50mmも高くなり1785mm。背を高くしたのは、もちろんN-BOXに対抗するためだ。
N-BOXの全高は1790mmだから、これでほぼ同じになり室内空間も同等レベルになった。プラットフォームは『アルト』から採用それている「ハーテクト」の進化版。ホイールベースは『ワゴンR』と同じ2460mmとなり、先代より35mmロングホイールベース化された。
もちろんワゴンRと全く同じではなく、スライドドアに対応するため専用フロアに変更してボディ剛性をアップ。試乗すると先代よりボディのしっかり感が高まっているのがわかる。試乗会場近くには石畳の道路があったが、そこを通過してもボディの共振がよく抑えられている。
ただボディ剛性はアップしたもののサスペンションの熟成は進んでいない印象。小さな路面のギャップでは乗り心地に問題はないが、比較的大きな段差を通過すると直接的なショックが伝わってくるのが残念。これはサスペンションの設定だけではなく、燃費を意識したタイヤの空気圧設定の問題かもしれない。
パワートレーンもワゴンRから流用したマイルドハイブリッドを全グレードに搭載し、動力性能と燃費性能の両立を狙っている。スズキお得意の助手席下に配置されたリチウムバッテリーは容量を3Ahから10Ahに変更した。
ISG(モーター機能付き発電機)は最大出力を1.6Wから2.3Wに拡大するとともに最大トルク50Nmにアップ。クリープ時に限られるが最大10秒間モーターによるEV走行が可能になっている。実際、渋滞路で試したが平坦路でブレーキペダルを放して数m進むことが可能。ただし続けて何回もEV走行は不可能で、極めて限定的なEV走行だ。
モーターアシストが強化されたためか、NAは発進時の加速に段付き感があるのが気になる。ターボも同様の傾向だが、NAのほうがゆっくり発進しても発進直後にグッと前に出る違和感がある。
マイルドハイブリッドのため燃費はよさそうだ。NAの試乗で燃費を意識して短時間走った結果、車載燃費計は20km/リットルに迫る数値だった。スペーシアの強みは、全グレードにマイルとハイブリッドを搭載している点。
だが、気になるのは安全装備。スペーシアはサイドエアバッグを標準化したのはいいが、サイドカーテンエアバッグはなぜかカスタムの最上級グレード「XSターボ」のみに標準装備。ほかのグレードはオプションで選ぶことすらできない。
N-BOXはACC(低速時解除)などの先進安全装備ホンダセンシングを標準装備し、もちろんサイドカーテンエアバッグはGとG L以外は標準でこのグレードでもオプションで装備可能。価格は少々高いが充実した先進安全装備がユーザーに受けているのは事実。スペーシアがどこまで販売台数で、N-BOXに迫ることができるだろうか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
東京モーターショー2017ではプロトタイプとして登場したが、やはり市販車もそのままの姿だった。プラットフォームからパワートレーンまで変更し、先代より全高は50mmも高くなり1785mm。背を高くしたのは、もちろんN-BOXに対抗するためだ。
N-BOXの全高は1790mmだから、これでほぼ同じになり室内空間も同等レベルになった。プラットフォームは『アルト』から採用それている「ハーテクト」の進化版。ホイールベースは『ワゴンR』と同じ2460mmとなり、先代より35mmロングホイールベース化された。
もちろんワゴンRと全く同じではなく、スライドドアに対応するため専用フロアに変更してボディ剛性をアップ。試乗すると先代よりボディのしっかり感が高まっているのがわかる。試乗会場近くには石畳の道路があったが、そこを通過してもボディの共振がよく抑えられている。
ただボディ剛性はアップしたもののサスペンションの熟成は進んでいない印象。小さな路面のギャップでは乗り心地に問題はないが、比較的大きな段差を通過すると直接的なショックが伝わってくるのが残念。これはサスペンションの設定だけではなく、燃費を意識したタイヤの空気圧設定の問題かもしれない。
パワートレーンもワゴンRから流用したマイルドハイブリッドを全グレードに搭載し、動力性能と燃費性能の両立を狙っている。スズキお得意の助手席下に配置されたリチウムバッテリーは容量を3Ahから10Ahに変更した。
ISG(モーター機能付き発電機)は最大出力を1.6Wから2.3Wに拡大するとともに最大トルク50Nmにアップ。クリープ時に限られるが最大10秒間モーターによるEV走行が可能になっている。実際、渋滞路で試したが平坦路でブレーキペダルを放して数m進むことが可能。ただし続けて何回もEV走行は不可能で、極めて限定的なEV走行だ。
モーターアシストが強化されたためか、NAは発進時の加速に段付き感があるのが気になる。ターボも同様の傾向だが、NAのほうがゆっくり発進しても発進直後にグッと前に出る違和感がある。
マイルドハイブリッドのため燃費はよさそうだ。NAの試乗で燃費を意識して短時間走った結果、車載燃費計は20km/リットルに迫る数値だった。スペーシアの強みは、全グレードにマイルとハイブリッドを搭載している点。
だが、気になるのは安全装備。スペーシアはサイドエアバッグを標準化したのはいいが、サイドカーテンエアバッグはなぜかカスタムの最上級グレード「XSターボ」のみに標準装備。ほかのグレードはオプションで選ぶことすらできない。
N-BOXはACC(低速時解除)などの先進安全装備ホンダセンシングを標準装備し、もちろんサイドカーテンエアバッグはGとG L以外は標準でこのグレードでもオプションで装備可能。価格は少々高いが充実した先進安全装備がユーザーに受けているのは事実。スペーシアがどこまで販売台数で、N-BOXに迫ることができるだろうか。
■5つ星評価
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丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
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