【日産 セレナe-POWER 試乗】非の打ち所がない仕上がり、だが本当に弱点はないのか?…会田肇
モーターで走るのに充電を気にせずロングドライブが楽しめる。それが『セレナe-POWER』最大の魅力だ。日産がハイブリッド車の新しい形としてリリースしたe-POWERは、『ノート』に続く第二弾。その走りはスムーズで力強く高評価を得ているが、本当に弱点はないのかを検証した。
セレナe-POWERのスムーズで力強い走りは、アクセルを踏んだ瞬間にすぐわかる。停止状態から気持ちよく走り出し、踏めば踏んだだけ速度が上がっていく感じ。発電機として1.2リットル直列3気筒エンジンを搭載する基本的なパワートレーンはノートe-POWERと同じであるが、セレナでは25%もモーター出力を向上させ、最大トルク320Nm/最高出力100kW(136馬力)を発揮させている。この効果が車体が重いセレナにもかかわらず、力強い走りを生み出しており、これは従来のセレナにはなかった感覚。まさに電気モーターらしい走りがセレナで体感できるようになったのだ。
それだけじゃない。走行音が極めて静かなのだ。日産としてかつてないほどの遮音材をカーペットと共に敷き詰め、遮音ガラスも採用。これが『エルグランド』をも上回る静粛性を実現している。加えて乗り心地もドッシリとした落ち着いた印象だ。これは運転席下に容量アップしたバッテリーを平たく積んだことも一因。そのためにセカンドシートはベンチシートではなくセパレート型だけしか設定できなくなったが、それが却ってシートに座った時の安定感を生み出した。セカンドシートでゆったり乗るにはむしろ好都合となったのではないだろうか。
発電機として使うエンジンは高回転型とすることで出力を7%アップ。発電時のエンジン回転数を2000回転からすることで、エンジン音を抑えつつ効率の良いバッテリー充電をも両立させることにした。当然ながらノートよりは燃費が悪くなるわけだが、重いセレナを動かすためにはやむを得なかった対応とも言える。それでも燃費はライバルが多いこのクラスでトップクラスの26.2km/リットルを達成。従来のセレナ「S-HYBRID」で実現していた17.2km/リットル(いずれもJC08モード)を大きく上回った。モーターで走る力強さを持ちながら、ロングドライブが楽しめる初のミニバンとなったわけだ。
ただ、手放しでは喜べない面もある。それは価格だ。
従来のセレナよりも平均して50万円ほど高くなり、アルゴリズムの改善で安定度が飛躍的に増したプロパイロットを装着すると、これがセットオプションとなっていることもあってアッという間に300万円台後半となってしまう。ナビゲーションも欲しいところで、こうなると軽く400万円をオーバー。減税対象とは言え、諸経費を入れればかなりの高額になるのは確実だ。クルマとしての仕上がりは、多くの人が言うようにこのクラスとしては文句ないレベルに仕上がった。新型セレナで最大の弱点はこの価格にあるのではないだろうか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
会田 肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴って新型車の試乗もこなす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
(レスポンス 会田肇)
セレナe-POWERのスムーズで力強い走りは、アクセルを踏んだ瞬間にすぐわかる。停止状態から気持ちよく走り出し、踏めば踏んだだけ速度が上がっていく感じ。発電機として1.2リットル直列3気筒エンジンを搭載する基本的なパワートレーンはノートe-POWERと同じであるが、セレナでは25%もモーター出力を向上させ、最大トルク320Nm/最高出力100kW(136馬力)を発揮させている。この効果が車体が重いセレナにもかかわらず、力強い走りを生み出しており、これは従来のセレナにはなかった感覚。まさに電気モーターらしい走りがセレナで体感できるようになったのだ。
それだけじゃない。走行音が極めて静かなのだ。日産としてかつてないほどの遮音材をカーペットと共に敷き詰め、遮音ガラスも採用。これが『エルグランド』をも上回る静粛性を実現している。加えて乗り心地もドッシリとした落ち着いた印象だ。これは運転席下に容量アップしたバッテリーを平たく積んだことも一因。そのためにセカンドシートはベンチシートではなくセパレート型だけしか設定できなくなったが、それが却ってシートに座った時の安定感を生み出した。セカンドシートでゆったり乗るにはむしろ好都合となったのではないだろうか。
発電機として使うエンジンは高回転型とすることで出力を7%アップ。発電時のエンジン回転数を2000回転からすることで、エンジン音を抑えつつ効率の良いバッテリー充電をも両立させることにした。当然ながらノートよりは燃費が悪くなるわけだが、重いセレナを動かすためにはやむを得なかった対応とも言える。それでも燃費はライバルが多いこのクラスでトップクラスの26.2km/リットルを達成。従来のセレナ「S-HYBRID」で実現していた17.2km/リットル(いずれもJC08モード)を大きく上回った。モーターで走る力強さを持ちながら、ロングドライブが楽しめる初のミニバンとなったわけだ。
ただ、手放しでは喜べない面もある。それは価格だ。
従来のセレナよりも平均して50万円ほど高くなり、アルゴリズムの改善で安定度が飛躍的に増したプロパイロットを装着すると、これがセットオプションとなっていることもあってアッという間に300万円台後半となってしまう。ナビゲーションも欲しいところで、こうなると軽く400万円をオーバー。減税対象とは言え、諸経費を入れればかなりの高額になるのは確実だ。クルマとしての仕上がりは、多くの人が言うようにこのクラスとしては文句ないレベルに仕上がった。新型セレナで最大の弱点はこの価格にあるのではないだろうか。
■5つ星評価
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インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
会田 肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴って新型車の試乗もこなす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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