【ホンダ N-ONE RS 試乗】さすがに新型 N-BOXとの差は感じるが…島崎七生人

ホンダ N-ONE RS
スタンダード、セレクト、プレミアム、RSと、テイストの異なる4つのラインを揃える最新『N-ONE』。ヒエラルキーではなく、好みで仕様が選べるところがいいし、各ラインごと豊富なボディ色が設定されている点も嬉しいところだ。

「自分だったらレトロなホイールキャップ付きの“セレクト”でボディ色はアイボリーだな」などと、原稿を進める手を止め、ついカタログに見入ったりして。それくらい、個人的には好きなモデルである。箱やSUV系が主流であるのは承知のうえで、軽自動車の中でも、老若男女に似合うパーソナルカーとして、このクルマは相変わらず貴重な存在だ。

試乗車は用意がある広報車の中から勧められたRSグレード。ボディ色がオレンジでRSとくれば、ホンダ車好きは初代シビックを連想し「おっ!」と思わせられるかもしれない。実車はローダウン仕様でホイールは(洗車が大変だが)オールブラックとシャープな出で立ち。フロントグリルのホンダマークの左右にはクロームの“ヒゲ”が付くが、これは決して“チンク”を真似た訳ではなさそうだ。

インテリアは赤いステッチ、アクセントラインを入れ、スポーティなムード。仕立て自体は十分に上質で、新たに2連装のUSBジャックが備わったほか、クルーズコントロールや、「サポカーS」該当の安全支援機能(オプション)も備わる。全ガラスがUVカットなのも、夏の暑さなど気候が険しくなってきた昨今にはありがたい。

RSはターボのみで64ps/10.6kgmの性能。CVTに多少、緩和される印象はあるが、トルクの数値は実はスズキ『アルトワークス』の10.2kgmを上回っており、エコモードをボタンでキャンセルすれば、十分にパワフルな加速も得られる。フロントガラスの遮音性能が上げられたことは、運転中、目で見ている前方からの音の侵入(オートバイの排気音など)が小さくなったことで実感できた。

乗り味はRSといえども日常ユースにも通用するもの。ただし新しい『N-BOX』を知っていると、音・振、全体の剛性感などにやや差も感じる。前輪のアライメントなのか、ステアリングのパワーアシストの加減、制御なのか判断が難しいが、高速走行時の直進安定性はもうひと息と感じる場面があった。名はRSだが、颯爽と街乗りをしたいユーザーのためということかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

(レスポンス 島崎七生人)

[提供元:レスポンス]レスポンス

MORIZO on the Road