【ボルボ XC40 試乗】まさに“どんぴしゃ”、充実のユーティリティとパッケージング…青山尚暉
ボルボの勢いが止まらない。『XC60』が2017-2018年 日本カーオブザイヤーを受賞したのに続き、この3月、2018年ワールドカーオブザイヤーを受賞。さらに2018年欧州カーオブザイヤーを『XC40』がボルボとして初受賞。ノリにノッているのである。
ここで紹介するのは、今、世界的に一大ブームを巻き起こしているSUV、クロスオーバーモデルの人気の中心となっているコンパクトプレミアムSUVのカテゴリーにボルボとして始めて参入したXC40である。
◆個性をアピールするパーソナルカー
新世代ボルボの第一弾が『XC90』であり、それに同じSPA(スケーラブルプロダクトアーキテクチャー)プラットフォームを使うブレイク中のXC60が続き、最新のXC40が登場したとなると、XC40はXC60のスケールダウン版だと思いがちだが、そうではない。大型のXC90、XC60がファミリー&ビジネスユースのプレミアムクロスオーバーモデルだとすれば、よりコンパクトなXC40は個性派ユーザーに向けた都市型本格SUV、ファミリーカーではなく、“私のクルマ”=パーソナルカーということになる。
サイズだけではない。ボディサイドエンドのキックアップしたデザインは独自のもので、ルーフを塗り分けたカジュアル感ある2トーンカラーが用意されるのもCX40の特徴。さらにXC40はなんちゃってSUVではない。都市型SUVをコンセプトとしていながら余裕ある最低地上高210mmを確保。2WDとともに4WDも用意され、週末、都会から解放されるために荒野を目指し、悪路に遭遇しても心配などいらないのである。
◆日本車も真っ青なユーティリティ
さて、XC90、XC60とは異なるボルボ最新のCMA(コンパクトモジュラーアーキテクチャー)プラットフォームを採用し、現時点で2リットルターボエンジン+8ATを基本に、T4=190p、T5=252psの2種類のパワーユニットを用意するXC40だが(今後、マイルドハイブリッド、PHVなどが加わる予定)、まず気になるのはボディサイズ。BMW『X1』やアウディ『Q3』などがライバルとなるXC40は全長4425×全幅1875×全高1660mm。ホイールベース2700mmと、ライバルよりやや大きめ。無論、XC60の全長4690×全幅1900mm、ホイールベース2865mmより絶対的にコンパクトだが、全高はXC60とまったく同じである(最小回転半径5.7mも!)。ちなみに国産クロスオーバーSUVでそれに近いボディサイズを持つクルマは見つけにくい。ショーティ&ワイドが特徴だ。
コンパクトながら逞しさのある、イングリッシュブルドッグをモチーフにしたという顔つきを持つXC40のインテリアは、さすがにスカンジナビアデザインの粋に包まれた世界。フロアやドア内張り、センターコンソールのサイド部分に使われるオレンジ色のフェルト素材はファーストエディションならではだが、まずはシンプルかつ上質でありながら、日本車も真っ青なユーティリティが素晴らしい。何しろセンターコンソールボックスはティッシュボックスがすっぽり入るサイズで、その前に脱着可能なごみ箱が用意されている親切さ(花粉症の人に最適)。さらにウーハースピーカーをダッシュボード奥の空間をエンクロージャーとして使うエアサブウーハーの採用でドアポケット部分にスピーカーがなく、そこがノートパソコンの置き場になる。シート下の引き出し、スマホ非接触充電トレー(iPhone8/X対応)、コンビニフックなどもあり、誰もが車内の収納の達人になれそうだ。ボルボとしては、整頓された車内空間が安全につながると考えた結果の、いたせりつくせりの収納の用意、というわけだ。
◆室内空間はゆとり十分
では、前後席の居住性はどうか。ここではXC60と比較してみた。運転席はたっぷりとしたシートサイズでもちろん着座位置が高く視界良好。走りだした瞬間に運転のしやすさが感じられるものだ。さすがに後席は全長、ホイールベースの短さからかなり狭いのではないか…と想像したが、シートクッション長こそ450mmとXC60より短めだが、かけ心地そのものは文句なし。しかも身長172cmの乗員基準で頭上方向こそ約110mmとXC60の200mmに及ばないものの、ひざ回り空間は何と約200mmとXC60と大差ないゆとりが確保されているのだから驚きだ。左右分割の後席エアコン吹き出しもあり、前席に対して高めにセットされたシアターレイアウトもあって、ロングドライブも快適に過ごせそうな空間なのである。
ラゲッジは開口部地上高が750mmと、一般的なSUVと同じような高さ。XC60は例外的に低めで675~695mm(エアサス/車高調整機能付き)だが、開口部に段差がないこともあって、大きな荷物を出し入れするのも苦にならないだろう。フロアは奥行き約890mm、幅1000mm、高さ740mm。XC60は同940mm、1100mm、745mmだから、奥行き以外はほとんど同等。十分な収納力と言える。後席をフルフラットに畳んだ際のフロア長は1530mm。これもXC60の1550mmとそう変わらないのだから“魔法の”パッケージングである。
しかもフロアボードに工夫があり、畳んで立てることができ、後席背後に独立したラゲッジスペースを作り出すことができるのが便利(愛犬専用席にもなりうる)。隠し収納として使えるフロア下にはパーセルトレーもすっぽり入る超便利な仕立てなのである。
そんなXC40は比較的手ごろな価格、サイズの輸入コンパクトクロスオーバーモデルを探していた人、国産車の収納やシートアレンジ性の良さに慣れている人も納得。使いやすさあふれる、都市型とはいえ雪道を含む悪路にも強いプレミアムクロスオーバーSUVだ。XC90やXC60ではちょっと大きい…そう思っていた、しかし先進安全運転支援機能で世界最先端をいく最近のボルボに関心を寄せていた人にはどんぴしゃだろう。同じCセグメントの輸入ステーションワゴンに乗っている、愛犬とドライブする機会も多いボクの、次期愛車の筆頭候補にあがりそうなぐらいである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
使い勝手 ★★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★
青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、ラジオ番組の出演、イベントも手がけ、愛犬との安心快適な自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。
(「XC40 T5 AWD R-デザイン 1st エディション」は既に300台が完売)
(レスポンス 青山尚暉)
ここで紹介するのは、今、世界的に一大ブームを巻き起こしているSUV、クロスオーバーモデルの人気の中心となっているコンパクトプレミアムSUVのカテゴリーにボルボとして始めて参入したXC40である。
◆個性をアピールするパーソナルカー
新世代ボルボの第一弾が『XC90』であり、それに同じSPA(スケーラブルプロダクトアーキテクチャー)プラットフォームを使うブレイク中のXC60が続き、最新のXC40が登場したとなると、XC40はXC60のスケールダウン版だと思いがちだが、そうではない。大型のXC90、XC60がファミリー&ビジネスユースのプレミアムクロスオーバーモデルだとすれば、よりコンパクトなXC40は個性派ユーザーに向けた都市型本格SUV、ファミリーカーではなく、“私のクルマ”=パーソナルカーということになる。
サイズだけではない。ボディサイドエンドのキックアップしたデザインは独自のもので、ルーフを塗り分けたカジュアル感ある2トーンカラーが用意されるのもCX40の特徴。さらにXC40はなんちゃってSUVではない。都市型SUVをコンセプトとしていながら余裕ある最低地上高210mmを確保。2WDとともに4WDも用意され、週末、都会から解放されるために荒野を目指し、悪路に遭遇しても心配などいらないのである。
◆日本車も真っ青なユーティリティ
さて、XC90、XC60とは異なるボルボ最新のCMA(コンパクトモジュラーアーキテクチャー)プラットフォームを採用し、現時点で2リットルターボエンジン+8ATを基本に、T4=190p、T5=252psの2種類のパワーユニットを用意するXC40だが(今後、マイルドハイブリッド、PHVなどが加わる予定)、まず気になるのはボディサイズ。BMW『X1』やアウディ『Q3』などがライバルとなるXC40は全長4425×全幅1875×全高1660mm。ホイールベース2700mmと、ライバルよりやや大きめ。無論、XC60の全長4690×全幅1900mm、ホイールベース2865mmより絶対的にコンパクトだが、全高はXC60とまったく同じである(最小回転半径5.7mも!)。ちなみに国産クロスオーバーSUVでそれに近いボディサイズを持つクルマは見つけにくい。ショーティ&ワイドが特徴だ。
コンパクトながら逞しさのある、イングリッシュブルドッグをモチーフにしたという顔つきを持つXC40のインテリアは、さすがにスカンジナビアデザインの粋に包まれた世界。フロアやドア内張り、センターコンソールのサイド部分に使われるオレンジ色のフェルト素材はファーストエディションならではだが、まずはシンプルかつ上質でありながら、日本車も真っ青なユーティリティが素晴らしい。何しろセンターコンソールボックスはティッシュボックスがすっぽり入るサイズで、その前に脱着可能なごみ箱が用意されている親切さ(花粉症の人に最適)。さらにウーハースピーカーをダッシュボード奥の空間をエンクロージャーとして使うエアサブウーハーの採用でドアポケット部分にスピーカーがなく、そこがノートパソコンの置き場になる。シート下の引き出し、スマホ非接触充電トレー(iPhone8/X対応)、コンビニフックなどもあり、誰もが車内の収納の達人になれそうだ。ボルボとしては、整頓された車内空間が安全につながると考えた結果の、いたせりつくせりの収納の用意、というわけだ。
◆室内空間はゆとり十分
では、前後席の居住性はどうか。ここではXC60と比較してみた。運転席はたっぷりとしたシートサイズでもちろん着座位置が高く視界良好。走りだした瞬間に運転のしやすさが感じられるものだ。さすがに後席は全長、ホイールベースの短さからかなり狭いのではないか…と想像したが、シートクッション長こそ450mmとXC60より短めだが、かけ心地そのものは文句なし。しかも身長172cmの乗員基準で頭上方向こそ約110mmとXC60の200mmに及ばないものの、ひざ回り空間は何と約200mmとXC60と大差ないゆとりが確保されているのだから驚きだ。左右分割の後席エアコン吹き出しもあり、前席に対して高めにセットされたシアターレイアウトもあって、ロングドライブも快適に過ごせそうな空間なのである。
ラゲッジは開口部地上高が750mmと、一般的なSUVと同じような高さ。XC60は例外的に低めで675~695mm(エアサス/車高調整機能付き)だが、開口部に段差がないこともあって、大きな荷物を出し入れするのも苦にならないだろう。フロアは奥行き約890mm、幅1000mm、高さ740mm。XC60は同940mm、1100mm、745mmだから、奥行き以外はほとんど同等。十分な収納力と言える。後席をフルフラットに畳んだ際のフロア長は1530mm。これもXC60の1550mmとそう変わらないのだから“魔法の”パッケージングである。
しかもフロアボードに工夫があり、畳んで立てることができ、後席背後に独立したラゲッジスペースを作り出すことができるのが便利(愛犬専用席にもなりうる)。隠し収納として使えるフロア下にはパーセルトレーもすっぽり入る超便利な仕立てなのである。
そんなXC40は比較的手ごろな価格、サイズの輸入コンパクトクロスオーバーモデルを探していた人、国産車の収納やシートアレンジ性の良さに慣れている人も納得。使いやすさあふれる、都市型とはいえ雪道を含む悪路にも強いプレミアムクロスオーバーSUVだ。XC90やXC60ではちょっと大きい…そう思っていた、しかし先進安全運転支援機能で世界最先端をいく最近のボルボに関心を寄せていた人にはどんぴしゃだろう。同じCセグメントの輸入ステーションワゴンに乗っている、愛犬とドライブする機会も多いボクの、次期愛車の筆頭候補にあがりそうなぐらいである。
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