【キャデラック XT5クロスオーバー 試乗】完成度は高いが、左ハンドル車だけでは…丸山誠
キャデラックに『XT5』というクルマがあったかな? と疑問に思った方も多いはず。このモデルは、従来設定されていたSUVの『SRX』の事実上の後継モデルだ。
エクステリアデザインを見ると最近のキャデラックに共通する手法がとられている。フラッグシップセダンの『CT6』と同じく、フロントヘッドライトから下方向に一直線に向かうライン状のLEDランプが特徴。これはリヤコンビランプも同様でライン状に発光するLEDランプを採用し、ナイトドライブでもすぐにキャデラックであることがわかる。
これらをGMではデザインフィロソフィー「アート&サイエンス」と称している。思わずうまいなと思わせるのは、夜間の光の演出。ドアハンドルにLEDライトを埋め込んでいるため位置を確認しやすいという機能性だけではなく、きらびやかにも見える。こうした演出によって上質さも同時に感じることができる。プレミアムブランドのSUVとしては、なかなかの存在感を発揮していると思う。
一見するとコンパクトなモデルに見えるが、レクサス『RX』より全長は少しだけ短く、全幅はやや大きい。全高は、ほぼ同じだから意外に大きいボディサイズだ。XT5クロスオーバーに試乗すると、セダンを含めた最近のキャデラックに共通する剛性感の高さが印象的。これはヨーロッパメーカーに匹敵するボディ剛性の高さで、ドライビングしているとしっかりとした感じがステアリングやシートから伝わってくる。
こうしたボディを作り出せたのは、GMの最新技術が効果をもたらしているからだ。超高張力鋼が多用されレーザー溶接や構造用接着剤を採用したことで、従来より車両重量を90kgも軽減。サスペンションのセットアップも含めて、ヨーロッパのプレミアムモデルに迫る走行性能を獲得している。市街地を走るスピードでも落ち着いたボディの動きと意外にもしっとりした乗り心地を感じることができる。その雰囲気は重厚で、もっと車重があるようなクルマで感じるような乗り味だ。
高速道路に入ってアクセルを大きく踏み込むと3.6リットルのV6エンジンはスムーズに高回転まで回り、ビート感がある回転フィールはスポーティ。実際の加速感も十分な速さで最近のダウンサイジングターボを使うSUVとは違い、NAらしい滑らかな出力特性だ。低負荷の領域で2気筒を休止するアクティブフューエルマネジメントを搭載していて、その作動はスムーズで切り替えを意識させない。スムーズな走りを生み出しているのは、新採用の8速ATの効果でもある。
高速域でもじつに落ち着いた乗り心地を実現している。高速道路のジョイントを通過してもサスペンションがスムーズにストロークしてショックを吸収。乗員にはほとんど突き上げを感じさせない。単純にソフトでフワフワとした乗り味ではなく、剛性感を感じさせながらしっかりとした乗り心地を提供している。試乗したプラチナムには、路面状況に応じて減衰力を可変するリアルタイムダンピングサスペンションを搭載している。
今回はラフロードを走る機会がなかったが、AWDのシステムにはロックモードも備えているためSUVらしい走破性も期待できる。モードセレクト機能付きツインクラッチ機構のAWDは、トルクを最大100%フロントアクスルまたはリヤアクスルに伝達可能。電子制御リヤデフ採用するため、左右のタイヤにトルクを100%配分することもでる。
XT5クロスオーバーは、まだ日本市場に浸透していないが、プレミアムSUVとして高い完成度だといえる。残念なのはステアリングの位置。左ハンドルしか用意されていないのだ。右ハンドル仕様を用意しなければ、日本市場での量販は困難だといえる。3月に本国で発表されたコンパクトSUVの『XT4』も、左ハンドルのみの設定なのか気になるところだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
エクステリアデザインを見ると最近のキャデラックに共通する手法がとられている。フラッグシップセダンの『CT6』と同じく、フロントヘッドライトから下方向に一直線に向かうライン状のLEDランプが特徴。これはリヤコンビランプも同様でライン状に発光するLEDランプを採用し、ナイトドライブでもすぐにキャデラックであることがわかる。
これらをGMではデザインフィロソフィー「アート&サイエンス」と称している。思わずうまいなと思わせるのは、夜間の光の演出。ドアハンドルにLEDライトを埋め込んでいるため位置を確認しやすいという機能性だけではなく、きらびやかにも見える。こうした演出によって上質さも同時に感じることができる。プレミアムブランドのSUVとしては、なかなかの存在感を発揮していると思う。
一見するとコンパクトなモデルに見えるが、レクサス『RX』より全長は少しだけ短く、全幅はやや大きい。全高は、ほぼ同じだから意外に大きいボディサイズだ。XT5クロスオーバーに試乗すると、セダンを含めた最近のキャデラックに共通する剛性感の高さが印象的。これはヨーロッパメーカーに匹敵するボディ剛性の高さで、ドライビングしているとしっかりとした感じがステアリングやシートから伝わってくる。
こうしたボディを作り出せたのは、GMの最新技術が効果をもたらしているからだ。超高張力鋼が多用されレーザー溶接や構造用接着剤を採用したことで、従来より車両重量を90kgも軽減。サスペンションのセットアップも含めて、ヨーロッパのプレミアムモデルに迫る走行性能を獲得している。市街地を走るスピードでも落ち着いたボディの動きと意外にもしっとりした乗り心地を感じることができる。その雰囲気は重厚で、もっと車重があるようなクルマで感じるような乗り味だ。
高速道路に入ってアクセルを大きく踏み込むと3.6リットルのV6エンジンはスムーズに高回転まで回り、ビート感がある回転フィールはスポーティ。実際の加速感も十分な速さで最近のダウンサイジングターボを使うSUVとは違い、NAらしい滑らかな出力特性だ。低負荷の領域で2気筒を休止するアクティブフューエルマネジメントを搭載していて、その作動はスムーズで切り替えを意識させない。スムーズな走りを生み出しているのは、新採用の8速ATの効果でもある。
高速域でもじつに落ち着いた乗り心地を実現している。高速道路のジョイントを通過してもサスペンションがスムーズにストロークしてショックを吸収。乗員にはほとんど突き上げを感じさせない。単純にソフトでフワフワとした乗り味ではなく、剛性感を感じさせながらしっかりとした乗り心地を提供している。試乗したプラチナムには、路面状況に応じて減衰力を可変するリアルタイムダンピングサスペンションを搭載している。
今回はラフロードを走る機会がなかったが、AWDのシステムにはロックモードも備えているためSUVらしい走破性も期待できる。モードセレクト機能付きツインクラッチ機構のAWDは、トルクを最大100%フロントアクスルまたはリヤアクスルに伝達可能。電子制御リヤデフ採用するため、左右のタイヤにトルクを100%配分することもでる。
XT5クロスオーバーは、まだ日本市場に浸透していないが、プレミアムSUVとして高い完成度だといえる。残念なのはステアリングの位置。左ハンドルしか用意されていないのだ。右ハンドル仕様を用意しなければ、日本市場での量販は困難だといえる。3月に本国で発表されたコンパクトSUVの『XT4』も、左ハンドルのみの設定なのか気になるところだ。
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丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
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