【トヨタ カローラハッチバック 試乗】運動性能は異次元の進化を遂げた…中村孝仁
何でも発表は今月中旬ごろだとか。だからまだ、ハッチバックというのも仮称だし、基本的にプロトタイプだ。そんなクルマに乗せてもらった。仮の名前ながら、トヨタ『カローラハッチバック』という。
現行カローラは、4ドアセダンの『アクシオ』と、ワゴンタイプの『フィールダー』の2モデルで、ハッチバックは存在せず、『オーリス』が便宜上、そのポジションにいる。しかし、驚いたことにカローラと名の付くアクシオとフィールダーは、その顧客年齢層が、70代と60代だとか。キムタクを使ったCMを流したフィールダーですら60代なのだそうだから、如何に今のカローラに熟年を通り越した老年しかユーザーがいないことがわかる。
「こりゃ何となせにゃいかん」と真剣に考えた結果、12代目となる今回のカローラは、若年層を取り込むために、まず若者受けするハッチバックからスタートすることになったという。
そんなわけで、そのエクステリアからインテリアに至るデザインは、若々しさに漲る。特にインテリアなど、色使いといい、シート形状といい、完全に若者をターゲットにした結果が有り有り。一体型(といっても完全にヘッドレストが一体となっているわけではない)のバケット風スポーツシートなど、そのサポート感も含めて、ほぼフィールダーの顧客年齢層に一致する筆者など、驚かされる。と言って、いつもこれまではカローラは爺臭いと思っていたくせに、自分が仮想顧客層だったと言われると、どうだ!俺が精神的に若いんだ!と思わずにはいられず、今度のインテリアデザインにはしっくりくるものがあるわけである。
今回試乗したモデルは1.2リットルターボと1.8リットルエンジンとモーターの組み合わせによるハイブリッドの2モデル。これに異なるサスペンションを組み合わせた試乗車が用意され、プロトタイプということで、試乗は富士スピードウェイ・ショートコースに限定され、それぞれ10分ずつ合計4モデルをサイクルで乗るという試乗であった。というわけで、フィーリングは限定的にしかわからない。
異なるサスペンションと前述したが、何と可変ダンパーがオプション設定され、ノーマルダンパーも、改良が施されている。AVSと称する可変ダンパーは、2年ほど前にKYBのテストコースで乗せて頂いたものとよく似たものが装備されていた。
比例ソレノイドを用いたものだと思うが、ソフト、ノーマル、スポーツの3段階に任意に変えることが出来る。ダンピングのみならず、このモード切り替えによって、ステアリングの重さやエアコンの設定なども変わるのだが、特にステアリングの重さに関してはノーマルと重めの二つで変更可能なのだが、それが顕著な違いとなっては現れない。正直言うとこのあたりにまだ、トヨタのトヨタらしさが漂っていて、思い切った設定とされていないのは少々残念である。
プラットフォームは既に『プリウス』や『C-HR』などに使われているTNGAが採用された。勿論従来と同じではなく、特にステアリングの剛性アップが行われ、新開発のダンパーが使われることで、乗り味も異なっているというが、そのあたりは試乗場所がショートとは言え一応サーキットなので、あまり明確にこちらには伝わってこなかった。
ただし、言っちゃ悪いが、従来のカローラに見られた全然面白みのない運動性能からは、一気に手応えを感じる「運転して楽しい」が素直に感じられるクルマに進化しているから、はっきり言えばカローラの名こそ持つものの、異次元の進化を遂げているといっても過言ではない。恐らくは今後、セダンやフィールダーの名を使うか否かは別として、他のバリエーションが展開されることになるのだろうが、こいつがベースならば相当に期待の持てるクルマになりそうである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
現行カローラは、4ドアセダンの『アクシオ』と、ワゴンタイプの『フィールダー』の2モデルで、ハッチバックは存在せず、『オーリス』が便宜上、そのポジションにいる。しかし、驚いたことにカローラと名の付くアクシオとフィールダーは、その顧客年齢層が、70代と60代だとか。キムタクを使ったCMを流したフィールダーですら60代なのだそうだから、如何に今のカローラに熟年を通り越した老年しかユーザーがいないことがわかる。
「こりゃ何となせにゃいかん」と真剣に考えた結果、12代目となる今回のカローラは、若年層を取り込むために、まず若者受けするハッチバックからスタートすることになったという。
そんなわけで、そのエクステリアからインテリアに至るデザインは、若々しさに漲る。特にインテリアなど、色使いといい、シート形状といい、完全に若者をターゲットにした結果が有り有り。一体型(といっても完全にヘッドレストが一体となっているわけではない)のバケット風スポーツシートなど、そのサポート感も含めて、ほぼフィールダーの顧客年齢層に一致する筆者など、驚かされる。と言って、いつもこれまではカローラは爺臭いと思っていたくせに、自分が仮想顧客層だったと言われると、どうだ!俺が精神的に若いんだ!と思わずにはいられず、今度のインテリアデザインにはしっくりくるものがあるわけである。
今回試乗したモデルは1.2リットルターボと1.8リットルエンジンとモーターの組み合わせによるハイブリッドの2モデル。これに異なるサスペンションを組み合わせた試乗車が用意され、プロトタイプということで、試乗は富士スピードウェイ・ショートコースに限定され、それぞれ10分ずつ合計4モデルをサイクルで乗るという試乗であった。というわけで、フィーリングは限定的にしかわからない。
異なるサスペンションと前述したが、何と可変ダンパーがオプション設定され、ノーマルダンパーも、改良が施されている。AVSと称する可変ダンパーは、2年ほど前にKYBのテストコースで乗せて頂いたものとよく似たものが装備されていた。
比例ソレノイドを用いたものだと思うが、ソフト、ノーマル、スポーツの3段階に任意に変えることが出来る。ダンピングのみならず、このモード切り替えによって、ステアリングの重さやエアコンの設定なども変わるのだが、特にステアリングの重さに関してはノーマルと重めの二つで変更可能なのだが、それが顕著な違いとなっては現れない。正直言うとこのあたりにまだ、トヨタのトヨタらしさが漂っていて、思い切った設定とされていないのは少々残念である。
プラットフォームは既に『プリウス』や『C-HR』などに使われているTNGAが採用された。勿論従来と同じではなく、特にステアリングの剛性アップが行われ、新開発のダンパーが使われることで、乗り味も異なっているというが、そのあたりは試乗場所がショートとは言え一応サーキットなので、あまり明確にこちらには伝わってこなかった。
ただし、言っちゃ悪いが、従来のカローラに見られた全然面白みのない運動性能からは、一気に手応えを感じる「運転して楽しい」が素直に感じられるクルマに進化しているから、はっきり言えばカローラの名こそ持つものの、異次元の進化を遂げているといっても過言ではない。恐らくは今後、セダンやフィールダーの名を使うか否かは別として、他のバリエーションが展開されることになるのだろうが、こいつがベースならば相当に期待の持てるクルマになりそうである。
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