【ルノー カジャー 試乗】プラットフォームは同じでもエクストレイルとは一味違う…中村孝仁
君は『カジャー』を知っているか?…なんて、のっけから恐縮。勿論、知っている読者に対しては失礼千万。しかし、正直言ってモータージャーナリストの僕が良く知らなかったのだから、多くの読者は良く知らないのではないかと思う。
これまで、ルノー・ジャポンのこのセグメントにおける持ち駒と言えば『コレオス』があった。コレオスはルノーと、お隣韓国の、ルノー・サムスンによる言わば共同開発という形で開発が進められたモデルで、生産も韓国主体。だからお世辞にもルノー色が強いクルマとは言えなかったのである。
翻ってこのカジャー、基本的にはヨーロッパで開発が行われたクルマで、生産もスペイン及び中国で行われるものだから、その成り立ちからしてコレオスとは異なる。ただし、コレオスも2世代目へと進化し、実はそっくりなボディスタイルを持つモデルに生まれ変わった。というわけで、このジャンルの現行ルノーラインナップにはカジャーとコレオスの2モデルが存在し、さらにややミニバン寄りのデザインを持つ『セニック』を加えると合計3モデルも存在する。ジャポンにとっては悩ましい決断だったようだが、この3つからとりあえずカジャーを選択して今があるという。
ではこのカジャー、その成り立ちは?というと基本プラットフォームはCMFと呼ばれる日産との共同開発で誕生したものを使用している。同じCMFを使う日産側のモデルは『キャッシュカイ』。ご存知ない読者が多いかもしれないが、かつてデュアリスの名で日本でも販売されていたモデルである。これが日本で販売されていない最大の理由は、同じセグメントとなってしまう『エクストレイル』の存在があるため、カニバリを危惧して日本市場はエクストレイル一本に絞っているためだ。
日本仕様のカジャーは、「インテンス」と呼ばれるグレードのみ。そしてパワートレーンは1.2リットルターボ4気筒のガソリンエンジンと、7速のEDCと名付けられたツインクラッチトランスミッション1種のみとなる。このパワートレーン、そのサイズを見る限りひとクラス下の『キャプチャー』と同じなのだが、性能はこちらの方が上で、パワーは131ps (キャプチャーは118ps)。それにトランスミッションもキャプチャーの場合6速EDCだから、こちらの方が1速多いと、少しづつ違う。
日産のエクストレイルも、実はその基本プラットフォームはCMFと呼ばれるもの。だから乗り味は自然と似てくると思いがち。ところが、何故かもう180度違うといっても過言ではないほど違う。一言で言ってしまうと、エクストレイルが昔ながらのクロカン4駆的イメージに対し、このカジャーは洗練された乗用車的という違いがある。
横浜の広報デポ(といっても日産本社である)から車を借り出して乗り出した瞬間、良く走るなぁ…というのが第一印象。実はこの時点でこのエンジンがたった1.2リットル4気筒であることは知らなかった。家に帰って改めてカジャーのスペックを見て、正直驚いた次第である。少なくとも一般道を走る限り、カジャーの加速感は極めてシャープで活発な印象を受ける。
それが「ああ、やっぱり1.2リットルだな…」を痛感するのが高速で前車を追い越そうと加速した時だ。流石にここから上の加速感は鈍く、ドンとアクセルを踏んでも街中のようにスィっとスピードが伸びてはいかず、じわじわとスピードが上がっていく印象となる。
ボディサイズは全長4455×全幅1835×全高1610mmで、車重1410kg。因みにこの形をしていながら4WDの設定はない。とはいえ、アーバンユースには何ら不都合もなく、却って4WDのフリクションが燃費を悪くさせる結果になるはずだ。それにしてもスムーズで快適な走りは、言っちゃ悪いが同じセグメントのエクストレイルと比較して際立ってこちらが良い。まあ裏を返せば、カジャーにクロカン4駆的イメージが皆無だというだけの話かもしれないが、都会的洗練度では圧倒的にこちらである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
これまで、ルノー・ジャポンのこのセグメントにおける持ち駒と言えば『コレオス』があった。コレオスはルノーと、お隣韓国の、ルノー・サムスンによる言わば共同開発という形で開発が進められたモデルで、生産も韓国主体。だからお世辞にもルノー色が強いクルマとは言えなかったのである。
翻ってこのカジャー、基本的にはヨーロッパで開発が行われたクルマで、生産もスペイン及び中国で行われるものだから、その成り立ちからしてコレオスとは異なる。ただし、コレオスも2世代目へと進化し、実はそっくりなボディスタイルを持つモデルに生まれ変わった。というわけで、このジャンルの現行ルノーラインナップにはカジャーとコレオスの2モデルが存在し、さらにややミニバン寄りのデザインを持つ『セニック』を加えると合計3モデルも存在する。ジャポンにとっては悩ましい決断だったようだが、この3つからとりあえずカジャーを選択して今があるという。
ではこのカジャー、その成り立ちは?というと基本プラットフォームはCMFと呼ばれる日産との共同開発で誕生したものを使用している。同じCMFを使う日産側のモデルは『キャッシュカイ』。ご存知ない読者が多いかもしれないが、かつてデュアリスの名で日本でも販売されていたモデルである。これが日本で販売されていない最大の理由は、同じセグメントとなってしまう『エクストレイル』の存在があるため、カニバリを危惧して日本市場はエクストレイル一本に絞っているためだ。
日本仕様のカジャーは、「インテンス」と呼ばれるグレードのみ。そしてパワートレーンは1.2リットルターボ4気筒のガソリンエンジンと、7速のEDCと名付けられたツインクラッチトランスミッション1種のみとなる。このパワートレーン、そのサイズを見る限りひとクラス下の『キャプチャー』と同じなのだが、性能はこちらの方が上で、パワーは131ps (キャプチャーは118ps)。それにトランスミッションもキャプチャーの場合6速EDCだから、こちらの方が1速多いと、少しづつ違う。
日産のエクストレイルも、実はその基本プラットフォームはCMFと呼ばれるもの。だから乗り味は自然と似てくると思いがち。ところが、何故かもう180度違うといっても過言ではないほど違う。一言で言ってしまうと、エクストレイルが昔ながらのクロカン4駆的イメージに対し、このカジャーは洗練された乗用車的という違いがある。
横浜の広報デポ(といっても日産本社である)から車を借り出して乗り出した瞬間、良く走るなぁ…というのが第一印象。実はこの時点でこのエンジンがたった1.2リットル4気筒であることは知らなかった。家に帰って改めてカジャーのスペックを見て、正直驚いた次第である。少なくとも一般道を走る限り、カジャーの加速感は極めてシャープで活発な印象を受ける。
それが「ああ、やっぱり1.2リットルだな…」を痛感するのが高速で前車を追い越そうと加速した時だ。流石にここから上の加速感は鈍く、ドンとアクセルを踏んでも街中のようにスィっとスピードが伸びてはいかず、じわじわとスピードが上がっていく印象となる。
ボディサイズは全長4455×全幅1835×全高1610mmで、車重1410kg。因みにこの形をしていながら4WDの設定はない。とはいえ、アーバンユースには何ら不都合もなく、却って4WDのフリクションが燃費を悪くさせる結果になるはずだ。それにしてもスムーズで快適な走りは、言っちゃ悪いが同じセグメントのエクストレイルと比較して際立ってこちらが良い。まあ裏を返せば、カジャーにクロカン4駆的イメージが皆無だというだけの話かもしれないが、都会的洗練度では圧倒的にこちらである。
■5つ星評価
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フットワーク:★★★★
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(レスポンス 中村 孝仁)
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