【メルセデスベンツ GLE350d 試乗】6年経ってもまだまだバリバリ一線級…中村孝仁
『Mクラス』として華々しくデビューしたのは1997年のことで、もう20年以上もたつ。しかもこれは初のアメリカ製メルセデスとして脚光を浴びたものだ。
しかも、当時はアメリカのSUVと言えばボディオンフレームが当たり前ということで、メルセデスといえどもそのボディオンフレームというレイアウトをチョイスして登場した。現行モデルはそれから数えて3代目の、コードネーム「W166」と呼ばれるもの。勿論今ではモノコックを採用している。余談ながら、このW166、ダイムラークライスラー時代の最後の遺産として開発されたモデルで、クライスラーサイドのジープ『グランドチェロキー』と、そのプラットフォームを共有しているクルマでもある。
Mクラスと呼ばれていたのは2015年までで、2016年モデルからは新たに『GLE』と名を変えて現在に至るクルマである。というわけで、ベースが誕生したのは2012年モデルからだから、すでに6年が経過した結構な年季もの。何を今更と思うかもしれないが、これが案外進化しているのである。
しかも今やかなりのグローバルモデルで、アメリカ以外でもインドやインドネシア、それにタイなどでも生産されているという。だから、日本にやって来るモデルが果たしてどこ製なのか判断がつきかねるが、いずれの場合でもメードインジャーマニーではないわけで、それでも間違いなくメルセデス・クォリティーは保たれているのだから、今やどこで作っても同じで、いたずらにドイツ製に拘る意味は皆無なわけである。
GLEとなった2016年モデル以降、搭載されるトランスミッションは9速ATとなった。このトランスミッション、7速時代よりギア数が2速も増えたにもかかわらず1kgの軽量化を果たしているというから驚く。これもちゃっかり進歩。
告白すると、じつはGLEクラス、もう長いこと試乗していなかった。改めて乗って驚いたのは、やはりスムーズな直6ディーゼルの快適さとガソリン顔負けのパワフルさである。一般的にトルクの大きなディーゼルは、ガソリンエンジンと比べて、初期加速こそ負けるが、一旦スピードに乗ってしまうとその大トルクを活かしてグイグイと加速していくことはご存知の通り。日本市場も、多くのターボディーゼル車が輸入車を中心に出回っているので、その痛快な加速フィールはご存知の読者も多いはず。しかし、そのほとんどは4気筒であって、6気筒を搭載するのはBMW『X5』ぐらいが思い浮かぶだけだ。
X5の直6ディーゼルに対し、こちらはV6。排気量は3リットルとライバルと軌を一にするが、一般的にガソリンの場合は文句なく、V6よりも直6の方がそのスムーズネスにおいて優位であるのだが、それがディーゼルとなるとどうも?マークが付く。というのもこのV6ディーゼル、恐ろしくスムーズだからだ。アクセル踏み始めのV6独特の不規則な印象の爆発感覚は皆無で、ゆっくりと加速してそのフィールを試してみても、批判を挟み込む余地など全くないほどスムーズ。それに静かなことこの上なく、258psのパワーはともかくとして、620Nmという強烈なトルクを1600rpmから体感できるこの豪快さは捨て難い。
因みにAMG版の『GLE43』が搭載する同じ3リットルターボのガソリンV6と比較しても、そのトルクは100Nmも高いのだから、日常的な使用環境下においては、こちらの方がパワフルに感じること疑いなしである。
さすがに車重は重く2.3トンに達するが、この重さが今度は重厚な乗り心地を作り出している。エアマチックは装備されていないから、例えコンフォートを選んでいたとしてもサスペンションに変化はないはずなのだが、何故かスポーツをセレクトした時よりも快適に感じさせてくれる不思議な空間に包まれる。とにかくその乗り心地、至って快適で、特に長距離ドライブには効果を発揮しそうだ。
確かに誕生から6年もたてば、そろそろ「次」の声が聞こえてきそうだが、まだまだ性能的には一線級バリバリの印象である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
しかも、当時はアメリカのSUVと言えばボディオンフレームが当たり前ということで、メルセデスといえどもそのボディオンフレームというレイアウトをチョイスして登場した。現行モデルはそれから数えて3代目の、コードネーム「W166」と呼ばれるもの。勿論今ではモノコックを採用している。余談ながら、このW166、ダイムラークライスラー時代の最後の遺産として開発されたモデルで、クライスラーサイドのジープ『グランドチェロキー』と、そのプラットフォームを共有しているクルマでもある。
Mクラスと呼ばれていたのは2015年までで、2016年モデルからは新たに『GLE』と名を変えて現在に至るクルマである。というわけで、ベースが誕生したのは2012年モデルからだから、すでに6年が経過した結構な年季もの。何を今更と思うかもしれないが、これが案外進化しているのである。
しかも今やかなりのグローバルモデルで、アメリカ以外でもインドやインドネシア、それにタイなどでも生産されているという。だから、日本にやって来るモデルが果たしてどこ製なのか判断がつきかねるが、いずれの場合でもメードインジャーマニーではないわけで、それでも間違いなくメルセデス・クォリティーは保たれているのだから、今やどこで作っても同じで、いたずらにドイツ製に拘る意味は皆無なわけである。
GLEとなった2016年モデル以降、搭載されるトランスミッションは9速ATとなった。このトランスミッション、7速時代よりギア数が2速も増えたにもかかわらず1kgの軽量化を果たしているというから驚く。これもちゃっかり進歩。
告白すると、じつはGLEクラス、もう長いこと試乗していなかった。改めて乗って驚いたのは、やはりスムーズな直6ディーゼルの快適さとガソリン顔負けのパワフルさである。一般的にトルクの大きなディーゼルは、ガソリンエンジンと比べて、初期加速こそ負けるが、一旦スピードに乗ってしまうとその大トルクを活かしてグイグイと加速していくことはご存知の通り。日本市場も、多くのターボディーゼル車が輸入車を中心に出回っているので、その痛快な加速フィールはご存知の読者も多いはず。しかし、そのほとんどは4気筒であって、6気筒を搭載するのはBMW『X5』ぐらいが思い浮かぶだけだ。
X5の直6ディーゼルに対し、こちらはV6。排気量は3リットルとライバルと軌を一にするが、一般的にガソリンの場合は文句なく、V6よりも直6の方がそのスムーズネスにおいて優位であるのだが、それがディーゼルとなるとどうも?マークが付く。というのもこのV6ディーゼル、恐ろしくスムーズだからだ。アクセル踏み始めのV6独特の不規則な印象の爆発感覚は皆無で、ゆっくりと加速してそのフィールを試してみても、批判を挟み込む余地など全くないほどスムーズ。それに静かなことこの上なく、258psのパワーはともかくとして、620Nmという強烈なトルクを1600rpmから体感できるこの豪快さは捨て難い。
因みにAMG版の『GLE43』が搭載する同じ3リットルターボのガソリンV6と比較しても、そのトルクは100Nmも高いのだから、日常的な使用環境下においては、こちらの方がパワフルに感じること疑いなしである。
さすがに車重は重く2.3トンに達するが、この重さが今度は重厚な乗り心地を作り出している。エアマチックは装備されていないから、例えコンフォートを選んでいたとしてもサスペンションに変化はないはずなのだが、何故かスポーツをセレクトした時よりも快適に感じさせてくれる不思議な空間に包まれる。とにかくその乗り心地、至って快適で、特に長距離ドライブには効果を発揮しそうだ。
確かに誕生から6年もたてば、そろそろ「次」の声が聞こえてきそうだが、まだまだ性能的には一線級バリバリの印象である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
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