【メルセデスベンツ Eクラスカブリオレ 試乗】4名で快適なオープンカー、が謳い文句だけど…岩貞るみこ

メルセデスベンツ Eクラスカブリオレ(写真は海外仕様)
オープンカーは、後席のほうが楽しい。運転席(前席)にいると見える景色は、屋根があろうとなかろうとそれほど変わらないのだ。けれど、後席は違う。目の前の景色が断然違う。屋根がない事実がつきつけられ、ふだん見えない空が見える。解放感がすごいのである。だから、しっかり後席のある『Eクラス』のカブリオレは注目なのだ。

けれど、「4名がオープンドライブを快適に」という謳い文句にはちょっと同意しきれない。たしかに、運転席を私(身長170cm)のドラポジで前後を合わせても、後席のふくらはぎのスペースはきちんと確保されている。私の太い脚でもまったく問題ないのだ(狭いクルマの場合、ここでふくらはぎがまったく入らなくなることがある)。そして、ルーフを閉じても、天井に頭がつかない。後席は、大人が座っても十分な空間があるのだ。と、ここまではいいのだが、問題はここからだ。

この後席、座面がかなり掘りこんである。オシリがすっぽり入るようにしてあると書くと、わかりやすいだろうか。これにより、座高分の高さを確保し、ルーフに頭がつかないのだ。ついでに背もたれは直角なくらい立っている。いや、実際は直角ではないけれど、座るとそのくらい姿勢よく座らされる形状をしているのである。これはルーフを格納するスペースを作るためだと思われる。正直なところ、後席、うーん、快適とは言いにくい。

もうひとつ、後席で気になるのは2ドアゆえの乗り降りのしにくさである。運動不足で腹筋と脚力の弱り始めた世代には、ちょっときつい。女性におかれましては、短めのスカートは要注意である。

とまあ、後席について我儘な意見を書いたけれど、クルマとしてカブリオレとしてのEクラスの魅力は乗っていて頬がゆるむほど大きい。今回、試乗したカブリオレスポーツに搭載されたエンジンは、V6ツインターボの3リットル。これに9速ATが組み合わさり、滑らかで力強くて、加速の余裕しゃくしゃくぶりがたまらない。

なにより、インテリアの質感は、さすがメルセデス的な作り込み。ふだんは屋根に閉ざされて目に触れる機会がほとんどないけれど、この質感。目でみただけで連想できる手触りのよさ。カブリオレのルーフを開けて、思い切り見せびらかしたい気持ちにさせられる。日本の夏は蒸し暑いけれど、日に焼けるとお肌に悪いっていうけれど、それでもルーフを思い切りあけて笑いながら運転したくなるのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

(レスポンス 岩貞るみこ)

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