【ダイハツ ミラトコット 試乗】ズバリ!このコンセプトはアリだと思います…中村孝仁
メインターゲットは女性。だから女性のプロジェクトチームを作ってこの企画を作り上げたと…。その名を『ミラトコット』という。
何だ?トコット?意味不明だったこの車名。“to character”“to comfortableness”“to convinience”という3つの英語の頭文字Cと、その前に付く前置詞toを組み合わせたTOCをベースに、それを反対からも読めるようにさらにOTを付けたのがその由来だという。つまり前から読んでも後ろから読んでも“TOCOT”となるわけだ。
まあ、そんなことはどうでもよくて、じゃあベースは何だ?となるわけだが、想像が付くように『ミライース』である。そしてこのクルマ、『ミラココア』の生まれ変わりでもある。ココアの生まれ変わりと来れば、明らかに女性がターゲットのクルマとなるわけだが、昨今の女性は、可愛らしさとか女らしさというものにあまり反応しないようで、むしろ自分らしさという方向性を求めているのだそうで、それがクルマ作りに反映された結果、今回のトコットが完成したというわけである。
しかし、それでもメインターゲットは女性であって、彼女たちは自動車としての性能に一体何を求めているか、そのあたりを走安を担当した車両開発本部の平明彦氏に聞いてみると、ひとつはソフトな乗り心地の良い足と、軽いステアリングなのだそうである。しかし、一口にソフトで軽いステアリングというと、何となくだが全然路面からのインフォメーションが伝わらないステアリングだったリ、無定見にグラリグラリ来るようなドロッとした足回りを想像してしまったのだが、平氏曰く、「否、そのあたりを上手くチューニングしました…」と話してくれた。
少なくとも見た目は相当に好感が持てる。しかし、主査の中島雅之氏曰く、ディーラーに写真を見せた時はかなりネガな反応を示されて、「これは売れん」的プレッシャーが強かったそうだ。でも、デザインのみならず、そのコンセプト自体が実に潔くて簡潔。それが車両全体に表れているから、単に外から眺めただけの時から、「これいいじゃない」というイメージを持ったのである。
そしていざ試乗。確かにかなりソフトな足回りを持っていて、ふんわりとした触感のシートと相まって、走りは快適そのもの。意地悪に早い転舵を入れて、スラロームまがいをしてみても、「ダメだこりゃ」という印象は皆無である。むしろ千葉県木更津市近郊の田舎道を走ると清々しくて(キヨキヨしいではないぞ)、爽快感すら感じる。
その後高速道路に。流石に52ps、60Nmの直列3気筒エンジンでは、加速も巡行もこれで十分満足というわけにはいかず、登り坂に差し掛かると徐々にスピードは落ち始めてしまうが、一つ驚かされたのは、軽くしたと言っていたステアリングの予想以上の正確さと、何よりも直進付近の落ち着き感の高さである。最近のEPSは軽くして、直安性を上げるチューニングが上手くできるようになったのか、操舵感は予想外に良い。再び一般道に降りて、今度はタイトなコーナーを少し走ってみたが、ちゃんとキャスターアクションがあるから、ステアリングが忙しくならない。これは予想外のことであった。
外装同様、インテリアも至ってシンプル。最近使うことが多くなったハザードランプが、ダッシュボードのど真ん中にどんと鎮座していて、探さずに済むのは大いに有難いし、とにかく操作系がシンプルに出来ているから最小限の目線移動と手の移動で、おおよその操作が可能。これは女性ならずとも高齢者でも有難い作りなのではないかとも思う。
リアシートは分割可倒が出来ない。それにクッションはとことんフラットで、サポート感はゼロ。この傾向はフロントシートでも同様で、そもそもコーナリングを攻めちゃいけないクルマであるわけだから、まあこれで良しとする。
まるでトコットの名は、「田舎道をトコトコ走って気持ちよい」から来るのではないかと思うほど、60km/h程度で走れる一般道が気持ちよい。極めてシンプル、色使いも有りがちな白やシルバーメタリック(白はあるけれど)ではなく、かと言って派手派手なパステルカラーというわけでもなく、どことなく少しくすみのある渋い色が目立つ。ズバリ、このコンセプト有りだと思います。それにこれならのんびり長距離ドライブしても疲れなさそうだし。何より上限でもFWDなら130万円を切る価格設定は嬉しい限りだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
何だ?トコット?意味不明だったこの車名。“to character”“to comfortableness”“to convinience”という3つの英語の頭文字Cと、その前に付く前置詞toを組み合わせたTOCをベースに、それを反対からも読めるようにさらにOTを付けたのがその由来だという。つまり前から読んでも後ろから読んでも“TOCOT”となるわけだ。
まあ、そんなことはどうでもよくて、じゃあベースは何だ?となるわけだが、想像が付くように『ミライース』である。そしてこのクルマ、『ミラココア』の生まれ変わりでもある。ココアの生まれ変わりと来れば、明らかに女性がターゲットのクルマとなるわけだが、昨今の女性は、可愛らしさとか女らしさというものにあまり反応しないようで、むしろ自分らしさという方向性を求めているのだそうで、それがクルマ作りに反映された結果、今回のトコットが完成したというわけである。
しかし、それでもメインターゲットは女性であって、彼女たちは自動車としての性能に一体何を求めているか、そのあたりを走安を担当した車両開発本部の平明彦氏に聞いてみると、ひとつはソフトな乗り心地の良い足と、軽いステアリングなのだそうである。しかし、一口にソフトで軽いステアリングというと、何となくだが全然路面からのインフォメーションが伝わらないステアリングだったリ、無定見にグラリグラリ来るようなドロッとした足回りを想像してしまったのだが、平氏曰く、「否、そのあたりを上手くチューニングしました…」と話してくれた。
少なくとも見た目は相当に好感が持てる。しかし、主査の中島雅之氏曰く、ディーラーに写真を見せた時はかなりネガな反応を示されて、「これは売れん」的プレッシャーが強かったそうだ。でも、デザインのみならず、そのコンセプト自体が実に潔くて簡潔。それが車両全体に表れているから、単に外から眺めただけの時から、「これいいじゃない」というイメージを持ったのである。
そしていざ試乗。確かにかなりソフトな足回りを持っていて、ふんわりとした触感のシートと相まって、走りは快適そのもの。意地悪に早い転舵を入れて、スラロームまがいをしてみても、「ダメだこりゃ」という印象は皆無である。むしろ千葉県木更津市近郊の田舎道を走ると清々しくて(キヨキヨしいではないぞ)、爽快感すら感じる。
その後高速道路に。流石に52ps、60Nmの直列3気筒エンジンでは、加速も巡行もこれで十分満足というわけにはいかず、登り坂に差し掛かると徐々にスピードは落ち始めてしまうが、一つ驚かされたのは、軽くしたと言っていたステアリングの予想以上の正確さと、何よりも直進付近の落ち着き感の高さである。最近のEPSは軽くして、直安性を上げるチューニングが上手くできるようになったのか、操舵感は予想外に良い。再び一般道に降りて、今度はタイトなコーナーを少し走ってみたが、ちゃんとキャスターアクションがあるから、ステアリングが忙しくならない。これは予想外のことであった。
外装同様、インテリアも至ってシンプル。最近使うことが多くなったハザードランプが、ダッシュボードのど真ん中にどんと鎮座していて、探さずに済むのは大いに有難いし、とにかく操作系がシンプルに出来ているから最小限の目線移動と手の移動で、おおよその操作が可能。これは女性ならずとも高齢者でも有難い作りなのではないかとも思う。
リアシートは分割可倒が出来ない。それにクッションはとことんフラットで、サポート感はゼロ。この傾向はフロントシートでも同様で、そもそもコーナリングを攻めちゃいけないクルマであるわけだから、まあこれで良しとする。
まるでトコットの名は、「田舎道をトコトコ走って気持ちよい」から来るのではないかと思うほど、60km/h程度で走れる一般道が気持ちよい。極めてシンプル、色使いも有りがちな白やシルバーメタリック(白はあるけれど)ではなく、かと言って派手派手なパステルカラーというわけでもなく、どことなく少しくすみのある渋い色が目立つ。ズバリ、このコンセプト有りだと思います。それにこれならのんびり長距離ドライブしても疲れなさそうだし。何より上限でもFWDなら130万円を切る価格設定は嬉しい限りだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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