【トヨタ カローラスポーツ 試乗】「スポーツ」という名前をどう受け取るか…中村孝仁
昭和41年。今から52年も前にトヨタ『カローラ』は誕生した。当時カローラが属していたマーケットは、俗に大衆車と呼ばれた市場。人々の自動車購買意欲が非常に旺盛な時代であった。
大衆車と呼ばれつつも、時代のニーズに合わせて幅広い展開をしてきたカローラは、若者の心も掴み、大ヒット。やがて世界の国民車とも言われたフォルクスワーゲン『ビートル』の生産記録をも抜く、世界に類を見ない定番モデルとして不動の地位を築くに至ったのである。
翻って今、特に日本市場においてカローラの存在は、ほとんど忘れられたものと言っても過言ではない。だから、強烈なてこ入れが必要だったわけである。
とはいえカローラの系譜は少々複雑で、思いっきり端折って話をすると、日本仕様のカローラと、海外向けはそれぞれ異なっていて、海外向けはより大型で、より斬新で大胆なデザインが取り入れられていた。そして今回、12代目となった日本仕様のカローラは、ハッチバックのボディ形状を採用し、北米及びその他地域で販売されるカローラに近い、大胆な顔つきを持ったモデルに生まれ変わった、というわけである。その背景は既に報告したように、あまりに高齢化が進んだユーザーの年齢層を引き下げる目的がある。
今回新たにわかったことは、このハッチバックカローラの名称が、「スポーツ」というものだということ。つまり、『カローラスポーツ』が正式名称である。すぐにケチをつけたくなるオヤジとしては、「これ、名乗らない方が良かったんじゃないの?」と、いらぬ心配をしてしまうわけである。何故なら、スポーツと名乗るからにはそれなりの動的性能やら、運動性能が求められると勝手に思ってしまうからである。だから、特にハイブリッドモデルの方は、この名は「ハズシ」であったように感じてしまった。しかし、1.2ターボの方はそれなりに合格である。
新たにTNGAとなったプラットフォームの恩恵は、正直絶大である。富士のショートサーキットでのチョイ乗りに対して、今回はとりあえず1時間、公道での走りを堪能したわけだが、サーキットではありえないような路面のうねりやら、ちょっとした段差を乗り越えるような時、明確にボディの締まり感と足の軽快さ、そしていなしの旨さを感じさせてくれる。
今回のハイライトはこのシャシーの変化にとどまらず、特に大きいのはコネクテッドサービスが採用されていることで、特に最初の3年間はT-Connectサービスを無料提供するという。ディーラーでナビさえ装着すれば、オペレーターとの会話で様々なリクエストに応じてもらえるし、スマホを使って車外からナビの目的地設定が行えたりする。さらに万一の事故の際、警察や消防に取り次いでもらえるようなサービスも受けられる。とはいえ、この機能は試乗中に行うことはできなかった。
そんなわけで新しいカローラは、クルマとしての基本機能が向上しただけでなく、一歩先を行く未来を先取りした装備もついているクルマに様変わりしたというわけで、これからは電子デバイスの操作を益々覚えていかないと、クルマの機能についていけないことにもなりかねない。
さて、今回試乗した1.2ターボモデルである。Gという中間グレードのモデル。シートはスポーツではなくスポーティーと表現される、本革+メランジ調ファブリックというコンビシートで、オプション設定のもの。タイヤは205/55R16、ブリジストン・エコピアが装着されていた。トランスミッションはスーパーCVT-iと称する10速スポーツシーケンシャルシフトマチックを備える。
ダンパーは可変ショックではなく、ノーマルのものだ。勿論ドライブモードは3段階に設定可能ではあるが、正直あれこれいじってみても、おっ、変わった!というほど劇的なものではない。ただし、前述したように乗り味は至って上質になっている。
パフォーマンス的には少し物足りなさを感じる。数値上も116psに185Nmだし、10速と言われても、疑似的な変速機構だから、決してスポーティーさは感じない。それでもきびきびとした溌剌さを感じたので、とりあえず合格、というわけである。
ライバルのCセグメント車、例えばVW『ゴルフ』であったり、プジョー『308』であったりルノー『メガーヌ』という海外の猛者は、いずれも高性能版が存在し、ドライビングプレジャーを与える秘密兵器がある。日本でこのセグメントのハッチバックでは、マツダ『アクセラ』が思い浮かぶが、あちらもスポーツを名乗るものの、全然スポーツはしていない。どうも海外のスポーツと日本のスポーツにはずれがあるのだろうか?
■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
大衆車と呼ばれつつも、時代のニーズに合わせて幅広い展開をしてきたカローラは、若者の心も掴み、大ヒット。やがて世界の国民車とも言われたフォルクスワーゲン『ビートル』の生産記録をも抜く、世界に類を見ない定番モデルとして不動の地位を築くに至ったのである。
翻って今、特に日本市場においてカローラの存在は、ほとんど忘れられたものと言っても過言ではない。だから、強烈なてこ入れが必要だったわけである。
とはいえカローラの系譜は少々複雑で、思いっきり端折って話をすると、日本仕様のカローラと、海外向けはそれぞれ異なっていて、海外向けはより大型で、より斬新で大胆なデザインが取り入れられていた。そして今回、12代目となった日本仕様のカローラは、ハッチバックのボディ形状を採用し、北米及びその他地域で販売されるカローラに近い、大胆な顔つきを持ったモデルに生まれ変わった、というわけである。その背景は既に報告したように、あまりに高齢化が進んだユーザーの年齢層を引き下げる目的がある。
今回新たにわかったことは、このハッチバックカローラの名称が、「スポーツ」というものだということ。つまり、『カローラスポーツ』が正式名称である。すぐにケチをつけたくなるオヤジとしては、「これ、名乗らない方が良かったんじゃないの?」と、いらぬ心配をしてしまうわけである。何故なら、スポーツと名乗るからにはそれなりの動的性能やら、運動性能が求められると勝手に思ってしまうからである。だから、特にハイブリッドモデルの方は、この名は「ハズシ」であったように感じてしまった。しかし、1.2ターボの方はそれなりに合格である。
新たにTNGAとなったプラットフォームの恩恵は、正直絶大である。富士のショートサーキットでのチョイ乗りに対して、今回はとりあえず1時間、公道での走りを堪能したわけだが、サーキットではありえないような路面のうねりやら、ちょっとした段差を乗り越えるような時、明確にボディの締まり感と足の軽快さ、そしていなしの旨さを感じさせてくれる。
今回のハイライトはこのシャシーの変化にとどまらず、特に大きいのはコネクテッドサービスが採用されていることで、特に最初の3年間はT-Connectサービスを無料提供するという。ディーラーでナビさえ装着すれば、オペレーターとの会話で様々なリクエストに応じてもらえるし、スマホを使って車外からナビの目的地設定が行えたりする。さらに万一の事故の際、警察や消防に取り次いでもらえるようなサービスも受けられる。とはいえ、この機能は試乗中に行うことはできなかった。
そんなわけで新しいカローラは、クルマとしての基本機能が向上しただけでなく、一歩先を行く未来を先取りした装備もついているクルマに様変わりしたというわけで、これからは電子デバイスの操作を益々覚えていかないと、クルマの機能についていけないことにもなりかねない。
さて、今回試乗した1.2ターボモデルである。Gという中間グレードのモデル。シートはスポーツではなくスポーティーと表現される、本革+メランジ調ファブリックというコンビシートで、オプション設定のもの。タイヤは205/55R16、ブリジストン・エコピアが装着されていた。トランスミッションはスーパーCVT-iと称する10速スポーツシーケンシャルシフトマチックを備える。
ダンパーは可変ショックではなく、ノーマルのものだ。勿論ドライブモードは3段階に設定可能ではあるが、正直あれこれいじってみても、おっ、変わった!というほど劇的なものではない。ただし、前述したように乗り味は至って上質になっている。
パフォーマンス的には少し物足りなさを感じる。数値上も116psに185Nmだし、10速と言われても、疑似的な変速機構だから、決してスポーティーさは感じない。それでもきびきびとした溌剌さを感じたので、とりあえず合格、というわけである。
ライバルのCセグメント車、例えばVW『ゴルフ』であったり、プジョー『308』であったりルノー『メガーヌ』という海外の猛者は、いずれも高性能版が存在し、ドライビングプレジャーを与える秘密兵器がある。日本でこのセグメントのハッチバックでは、マツダ『アクセラ』が思い浮かぶが、あちらもスポーツを名乗るものの、全然スポーツはしていない。どうも海外のスポーツと日本のスポーツにはずれがあるのだろうか?
■5つ星評価
パッケージング ★★★★
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