【スバル フォレスター 新型試乗】クロカン4WD並と言っても大げさではない走破性…齋藤聡
5代目となった『フォレスター』も、当たり前のように全車4WDで登場した。いまや世界的なクロスオーバーSUVブームで、各自動車メーカーがSUV風のモデルを登場させているが、FFモデルも多く混ざっており、性能よりもスタイルというクルマも少なくない。
フォレスターはクロスオーバーSUVの先駆けであり、オンロードでの豪快な走りとオフロード車に匹敵する走破性を備えた、新しいカテゴリーのクルマとして登場した。最低地上高は初代から200mmを確保し、4WDの駆動力を生かした本格派の悪路走破性はフォレスターの特徴ともいえる性能だった。2代目フォレスターも最低地上高200mmを確保して走破性の高さをキープ。3代目になると最低地上高は220mmとなる。オンロードでの豪快な走りを売りにしていたフォレスターはこのモデルからバランスのいい走りを掲げ、オフロード走破性を求める方向に変わっていった。以来220mmをキープし続け5代目もこの最低地上高を踏襲した。
◆90%を新規製作した新2.5Lエンジン
今回行われた試乗会では、施設内にスバルが特設オフロードコースを設営。その性能を試すことができたので、新開発2.5リットルエンジン搭載車でその性能を報告してみたいと思う。
2.5Lは、直噴化に合わせて全体の90%を新規製作したという力の入ったエンジンで、燃費改善、振動低減、出力向上などが図られている。『レガシィ』に搭載されるFB25型はポート内噴射で、吸気側には可変バルブシステム=VACSを備え、圧縮比10.3対1から175馬力/235Nmを発生する。これに対して筒内噴射となったフォレスター用FB25型は吸排気に可変バルブシステムを備えたデュアルAVCSとなり、圧縮比12.0対1の高圧縮比から184馬力/239Nmを発揮する。CVTも新型チェーンの採用で、レシオカバレージ(≒プーリー比)を10%拡大。マニュアルモードを6速から7速に変更している。
またオフロード4WD性能を引き上げるディバイスとして、Xモードに従来のSNOW・DIRTモードに加えDEEP SNOW・MUDモードを設定。このモードにすると自動的にトラクションコントロールがオフになり、トラクションを得るためにタイヤの空転を許容し、パワーを絞らずにESCのブレーキ制御で空転するタイヤにブレーキをかけ駆動力を高めてくれる仕組みだ。
◆急斜面もモーグルも楽々クリア
ゆっくりと特設コースを登り出す。20度を超え、場所によっては22度を超える急傾斜をスルスルと登っていってしまう。こう書いてもあまりピンと来ないかもしれないが、20度は、10m進んで3.6m上る坂。22度は10mで4m上る坂。運転席に乗っていると、もう空しか見えない急傾斜だ。しかも、新しいXモードはそんな急傾斜を登りながら途中からハンドルを切っても、フロント内側のタイヤの空転を抑えこれも何事もなかったかのように登っていってくれる。
もちろんモーグルも楽々クリアする。対角にあるタイヤが2輪空転してしまうとヘビーデューティ4WDでも駆動トルクが路面に伝えられなくなってしまう。そのためクロカン4WDの多くにはデフロックスイッチがついているのだが、フォレスターは、空転しているタイヤにブレーキを掛けることで、反対側のタイヤに駆動力を作り出してくれる。
ちなみにデファレンシャルギヤは左右輪を見た場合、片輪の抵抗分だけ反対側に駆動トルクを伝えられる仕組みになっているので、ブレーキLSDが有効。トラクションコントロールがオフになっているので、パワーが絞られず、上り坂のモーグルといった過酷な場面でも必要な駆動トルクを発揮することができ、クロカン4WD並のと言っても大げさではないくらいの走破性、踏破性を発揮してくれるのだ。
こんな路面を走る場合、クロカン4WDならローレンジを使って駆動トルクを増して走らせるが、フォレスターにはもちろんローレンジはなく通常のギヤどころかCVTで駆動トルクを発揮しているのだ。こんな場面でのCVTは、エンジン回転だけが上がってしまいそうだが、思いのほかスリップ感がなく、ダイレクト(といったら大げさだが)な感じでエンジントルクを路面に伝えてくれたのに驚かされた。さすがに何度も連続して走らせるとCVTユニットがオーバーヒートしてしまうそうだが、2~3回なら問題ないそう。もちろんこうした走りを想定してCVTの制御はプログラムされているのだろうが、意外なCVTのパフォーマンスだった。
オフロードコースを走る機会なんて、オーナーになっても1度あるかないかくらいかもしれないが、降雪地域にならば深雪の遭遇率は低くない。フォレスターの本領が発揮できる象徴的なシーンの一つだ。
新型プラットフォームになって、サスペンションのセッティングも変わり、大幅に乗り心地がよくなったのも新しいフォレスターの特徴の一つ。その快適さとヘビーデューティな走破性能、2面性が持つギャップは、なかなか魅力的かもしれない。
(レスポンス 斎藤聡)
フォレスターはクロスオーバーSUVの先駆けであり、オンロードでの豪快な走りとオフロード車に匹敵する走破性を備えた、新しいカテゴリーのクルマとして登場した。最低地上高は初代から200mmを確保し、4WDの駆動力を生かした本格派の悪路走破性はフォレスターの特徴ともいえる性能だった。2代目フォレスターも最低地上高200mmを確保して走破性の高さをキープ。3代目になると最低地上高は220mmとなる。オンロードでの豪快な走りを売りにしていたフォレスターはこのモデルからバランスのいい走りを掲げ、オフロード走破性を求める方向に変わっていった。以来220mmをキープし続け5代目もこの最低地上高を踏襲した。
◆90%を新規製作した新2.5Lエンジン
今回行われた試乗会では、施設内にスバルが特設オフロードコースを設営。その性能を試すことができたので、新開発2.5リットルエンジン搭載車でその性能を報告してみたいと思う。
2.5Lは、直噴化に合わせて全体の90%を新規製作したという力の入ったエンジンで、燃費改善、振動低減、出力向上などが図られている。『レガシィ』に搭載されるFB25型はポート内噴射で、吸気側には可変バルブシステム=VACSを備え、圧縮比10.3対1から175馬力/235Nmを発生する。これに対して筒内噴射となったフォレスター用FB25型は吸排気に可変バルブシステムを備えたデュアルAVCSとなり、圧縮比12.0対1の高圧縮比から184馬力/239Nmを発揮する。CVTも新型チェーンの採用で、レシオカバレージ(≒プーリー比)を10%拡大。マニュアルモードを6速から7速に変更している。
またオフロード4WD性能を引き上げるディバイスとして、Xモードに従来のSNOW・DIRTモードに加えDEEP SNOW・MUDモードを設定。このモードにすると自動的にトラクションコントロールがオフになり、トラクションを得るためにタイヤの空転を許容し、パワーを絞らずにESCのブレーキ制御で空転するタイヤにブレーキをかけ駆動力を高めてくれる仕組みだ。
◆急斜面もモーグルも楽々クリア
ゆっくりと特設コースを登り出す。20度を超え、場所によっては22度を超える急傾斜をスルスルと登っていってしまう。こう書いてもあまりピンと来ないかもしれないが、20度は、10m進んで3.6m上る坂。22度は10mで4m上る坂。運転席に乗っていると、もう空しか見えない急傾斜だ。しかも、新しいXモードはそんな急傾斜を登りながら途中からハンドルを切っても、フロント内側のタイヤの空転を抑えこれも何事もなかったかのように登っていってくれる。
もちろんモーグルも楽々クリアする。対角にあるタイヤが2輪空転してしまうとヘビーデューティ4WDでも駆動トルクが路面に伝えられなくなってしまう。そのためクロカン4WDの多くにはデフロックスイッチがついているのだが、フォレスターは、空転しているタイヤにブレーキを掛けることで、反対側のタイヤに駆動力を作り出してくれる。
ちなみにデファレンシャルギヤは左右輪を見た場合、片輪の抵抗分だけ反対側に駆動トルクを伝えられる仕組みになっているので、ブレーキLSDが有効。トラクションコントロールがオフになっているので、パワーが絞られず、上り坂のモーグルといった過酷な場面でも必要な駆動トルクを発揮することができ、クロカン4WD並のと言っても大げさではないくらいの走破性、踏破性を発揮してくれるのだ。
こんな路面を走る場合、クロカン4WDならローレンジを使って駆動トルクを増して走らせるが、フォレスターにはもちろんローレンジはなく通常のギヤどころかCVTで駆動トルクを発揮しているのだ。こんな場面でのCVTは、エンジン回転だけが上がってしまいそうだが、思いのほかスリップ感がなく、ダイレクト(といったら大げさだが)な感じでエンジントルクを路面に伝えてくれたのに驚かされた。さすがに何度も連続して走らせるとCVTユニットがオーバーヒートしてしまうそうだが、2~3回なら問題ないそう。もちろんこうした走りを想定してCVTの制御はプログラムされているのだろうが、意外なCVTのパフォーマンスだった。
オフロードコースを走る機会なんて、オーナーになっても1度あるかないかくらいかもしれないが、降雪地域にならば深雪の遭遇率は低くない。フォレスターの本領が発揮できる象徴的なシーンの一つだ。
新型プラットフォームになって、サスペンションのセッティングも変わり、大幅に乗り心地がよくなったのも新しいフォレスターの特徴の一つ。その快適さとヘビーデューティな走破性能、2面性が持つギャップは、なかなか魅力的かもしれない。
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