【DS 7 クロスバック 3500km試乗】ガソリン&ディーゼル比較、オススメの組み合わせは?
昨年の東京モーターショー2017でジャパンプレミアを果たした『DS 7 クロスバック』が、ようやく発売にこぎつけた。そこで、ガソリンを2000km、ディーゼルを1500kmほど走らせてみたので、その印象とどちらがおススメかをレポートする。
◆DS初の専用モデル「DS 7」
今回テストしたDS 7 クロスバックは、DSオートモビルズの専用モデルとして初めて開発されたものだ。プラットフォームこそEMP2、エンジンもPSAと共有だが、それ以外は基本的には専用設計になるSUVモデルだ。
日本に導入されるエンジンは2種類で、ガソリンは新開発の直列4気筒DOHC 1.6リットルターボのピュアテック225型。これは『DS 3 パフォーマンス』に搭載された208psバージョンをベースに、エギゾーストバルブにも可変タイミング機構を取り入れると共にフリクションを低減。また、過給圧安定のため排気ウェイストゲートバルブを電動化。ガソリンエンジンでも微粒子フィルタを備えることで、欧州排気ガス浄化基準6.2をクリアした。最高出力225ps/5500rpm、最大トルク300Nm/1900rpmを発生する。
そしてディーゼルは最高出力177ps/3750rpm、最大トルク400Nm/2000rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リットルディーゼルターボのBlue HDi180で、『DS 4』や『DS 5』に搭載されたものと同じエンジンである。どちらのエンジンもPSAグループ初となる8速ATの「EAT8」が組み合わされる。これまでのEATシリーズ同様アイシンAWとの共同開発によるもの。駆動方式は前輪駆動のみである。
テストしたガソリン車は上級グレードの「グランシック」にオプションの「オペラ」という内装グレード(DSではインスピレーションという)を組み合わせたフル装備仕様だ。一方のディーゼル車はベーシックグレードの「ソーシック」で、インスピレーションは「バスティーユ」というモケットシートの内装である。また、グランシックには20インチ、ソーシックには18インチタイヤが組み合わせていたことも違いとしては大きく、これがのちの評価に大きく影響を及ぼした。
◆満足感の高いインテリア
DS 7 クロスバックに乗り込むと、そのインテリアの華やかさに目を奪われるだろう。センターコンソールにあるパワーウインドウスイッチ周辺などは18世紀に考案されたギョーシェ彫りという金属加工模様が施されている。高級機械式時計の文字盤加工として光を抑えるために高級時計メーカーのブレゲが使い始めたといわれるもので、スイッチを見ている限りでは金属にしか見えず、実際に触れてみて初めて樹脂と気付くほどよくできている。確かにフェイクといえばそれまでだが、その出来はそれ以上で、Cセグメントで価格帯を考えれば十分に満足できる仕上がり。それ以上にふと目をやった時の満足感はかなり高い。
その満足感といえば、エンジンスタート時に起こる“儀式”を挙げねばならない。ナビ画面の上にあるスタート&ストップスイッチを長押しすることでエンジンはスタートする。するとその上からB.R.M(ベルナール・リシャール・マニュファクチャー)謹製のアナログ時計が顔を見せるので、それだけでも嬉しくなるが、ドライビング中などにふとこの時計が視界に入るだけでDS 7 クロスバックを持つ喜びを感じられるだろう。
ナビ下のスイッチ類もすべてタッチセンサーによるものだ。それぞれマークが描いてあるので何がどのスイッチかはわかるのだが、クリック感がないので本当に間違いなく操作したかがわからず確かめることがあった。さらに、その右端にあるハザードランプのスイッチはステアリングの陰に隠れていて目視できない。とっさの時には少々心もとないので、ぜひ別の操作しやすい位置に独立して配してほしい。
◆20インチでバタつくガソリンモデル
では、早速ガソリンモデルから走り始めてみよう。ゆっくりとスタートさせると、まず静粛性の高さに気付く。ロードノイズもエンジンノイズもきれいに遮断されているのだ。これに大きく貢献しているのはサイドシルを覆うようにドアが閉まることだ。これにより遮音性が上がるとともに、サイドシルが汚れなくなるので、パンツやスカートなどの裾を汚さずに済むという大きな利点も生んでいる。これはもちろんディーゼルモデルでも共通だ。
エンジンはとてもスムーズであり、かつ、主張を全くしない影の存在に徹している。従って走行中はエンジンの存在を気にせず淡々と走行することが可能で、高速でもその印象は変わらない。
一方乗り心地は決していいとはいえない。常にドタバタとばね下が暴れる印象が付きまとうのだ。この要因の多くは20インチタイヤによるものだ。235/45R20(テスト車はEAGLE F1 ASYMMETRIC 3のSUV用)を履いていたがグランシックには明らかにオーバースペックで、これがあだとなりフロア周りの剛性不足も感じてしまった。
また、乗り心地に関してはDSアクティブスキャンサスペンションが全モデルに標準装備される。簡単にいうとメルセデスの『Sクラス』に採用されているマジックボディコントロールとほぼ同じで、マルチファンクションカメラが車両前方5~25mの範囲の路面状況を常時高速スキャンして路面状況を把握。この情報をもとに4輪のショックアブソーバーの減衰力を最適化し、快適な乗り心地を乗員に提供する装備だ。このシステムはドライブモードの「コンフォート」を選択(デフォルトは「ノーマル」)することで作動するが、これもSクラス同様に、夜間や大雨、雪道などでは路面の凹凸が読み切れないという理由から機能しない。
さすがにこの機能をもってしても、20インチのバタつきを抑え込むことはできず、コンフォートと標準モードでは、確かにコンフォートのほうが柔らか(しなやかではなく)に感じるが大差はなかった。
◆18インチが生む乗り心地の良さはベーシックグレードの強み
ディーゼルモデルに乗り換えると、エンジンよりもタイヤの印象が大きく感じられた。とにかく乗り心地がしなやかなのだ。十分に腰があり、しっとりとした滑らかなもの。もちろん最終的にはフロア周りの剛性の低さは感じるのだが、そのシーンははるかに20インチを履いたグランシックより少なく、多くの場合が見過ごされる程度のものといっていいだろう。ディーゼルのソーシックには235/55R18(テスト車はオプションのミシュランLATITUDE TOUR HP M+S)を履いていたので、これが乗り心地に大きく貢献していたといえる。
DSアクティブスキャンサスペンションに関しては昼夜での差を確認してみたのだが、残念ながらその際は感じられなかった。もっともそこで差が感じられたとすれば、それはそれで違和感につながり問題ではある。
コンフォートモードと標準モードの差についてだが、デフォルトは標準モードで、エンジンを切り再び始動させると必ずこのモードに戻ってしまう。時々だが、コンフォートモードでテストをしている時に、どこかに寄り再びエンジンをスタートした時に、そのまま標準モードで走り続けることもあった。つまり、それほど大きな差はないということだ。
それでも切り替えながら走らせると、コンフォートモードのほうが前述の通り柔らかく、また、少しふわつく感じでダンピング不足を感じることがあった。特に高速ではその傾向は顕著なので、一般道ではコンフォート、高速に乗ったら標準に切り替えるのがベストに思えた。
高速道路に乗り入れると、ソーシックの印象はさらに良くなる。直進安定性はより高くなり、キチンとステアリングを握っているにもかかわらず、運転支援システムからステアリングを握るように警告が出るほど修正舵を必要としない優れたものであった。
さて、ディーゼルエンジンの印象だが、これもガソリンと同様に主張するエンジンではない。強いトルクを感じながら、快適に走らせることができた。ノイズに関しても室内にいる限り気になることはないが、外に出れば、それなりの音はしていた。
◆ディーゼルの燃費はもう少し伸びてほしい
ガソリンを2000km、ディーゼルを1500kmテストした結果、それぞれ混雑した市街地ではそれぞれ9.0km/リットルと10.1km/リットル。郊外の空いたバイパス路などでは13.1km/リットルと13.5km/リットル。高速道路では13.8km/リットルと16.4km/リットルという結果であった。
ほかのCセグメントSUVと比較をするとガソリンはほぼ平均、ディーゼルは若干それを下回るレベルであった。
アクティブクルーズをはじめとした安全運転支援システムは充実しているといっていいだろう。しかし、これも18インチをベースに開発されているようで、レーンキープなども20インチのほうがセンシティブに反応し、少々煩わしい印象であった。
また、他のPSAモデルも同様なのだが、前走車との車間距離をブレーキに頼る傾向があり、頻繁にストップランプが点灯するので、後続車に気を使いオフにして走行することもままあったことを付け加えておく。
◆ガソリンとディーゼル、タイヤに内装…ベストな組み合わせは?
さて、どれを選ぶかだが、大きくはガソリンとディーゼルから。これはどちらを選んでも間違いはない。前述の通りどちらも強い主張をしていないので、気にせず、また不満なく走れるだろう。そこで、街中が多い方にはガソリン、長距離が多い方にはディーゼルをお勧めする。やはり高速の燃費は魅力だからだ。
次に内装のインスピレーションだ。最上級でオプションのオペラ、そしてリボリ、ベーシックのバスティーユとあるが、あとで乗ったリボリの革シートが意外と硬かったことからこれは外したい。ナッパレザーのオペラか、ファブリックのバスティーユのどちらかでは、しなやかな座り心地のバスティーユを選びたい。
最後はグレードだ。もちろんグランシックが様々な装備がふんだんに盛り込まれ、DS 7 クロスバックらしいインテリアが展開される。しかも、このグレードのみB.R.Mのアナログ時計が装備されるのだから、それだけでこちらを選びたくなる。しかし、20インチを履いてしまうのもこのグレードなのだ。そうなるとやはりB.R.Mを横目で見つつソーシックを選んでしまうことになる。
ソーシックにはディーゼルとバスティーユしか設定がないので必然的にエンジンも内装も決まってしまった。実は、ソーシックのみのひとつ魅力的なオプション装備がある。それはM+Sタイヤが選べるセットオプションだ。実はこのセットオプション、ドライブモードにプジョー『2008』などと同じグリップコントロールが搭載され、マッドアンドスノーとサンドが追加になるのだ。いくらFFとはいえ、SUVであることを考えるとこのメリットは大きい。B.R.Mの時計とグリップコントロール、果たしてどちらを選ぶべきか悩ましいところではある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
内田俊一(うちだしゅんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラと同じくルノー10。
(レスポンス 内田俊一)
◆DS初の専用モデル「DS 7」
今回テストしたDS 7 クロスバックは、DSオートモビルズの専用モデルとして初めて開発されたものだ。プラットフォームこそEMP2、エンジンもPSAと共有だが、それ以外は基本的には専用設計になるSUVモデルだ。
日本に導入されるエンジンは2種類で、ガソリンは新開発の直列4気筒DOHC 1.6リットルターボのピュアテック225型。これは『DS 3 パフォーマンス』に搭載された208psバージョンをベースに、エギゾーストバルブにも可変タイミング機構を取り入れると共にフリクションを低減。また、過給圧安定のため排気ウェイストゲートバルブを電動化。ガソリンエンジンでも微粒子フィルタを備えることで、欧州排気ガス浄化基準6.2をクリアした。最高出力225ps/5500rpm、最大トルク300Nm/1900rpmを発生する。
そしてディーゼルは最高出力177ps/3750rpm、最大トルク400Nm/2000rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リットルディーゼルターボのBlue HDi180で、『DS 4』や『DS 5』に搭載されたものと同じエンジンである。どちらのエンジンもPSAグループ初となる8速ATの「EAT8」が組み合わされる。これまでのEATシリーズ同様アイシンAWとの共同開発によるもの。駆動方式は前輪駆動のみである。
テストしたガソリン車は上級グレードの「グランシック」にオプションの「オペラ」という内装グレード(DSではインスピレーションという)を組み合わせたフル装備仕様だ。一方のディーゼル車はベーシックグレードの「ソーシック」で、インスピレーションは「バスティーユ」というモケットシートの内装である。また、グランシックには20インチ、ソーシックには18インチタイヤが組み合わせていたことも違いとしては大きく、これがのちの評価に大きく影響を及ぼした。
◆満足感の高いインテリア
DS 7 クロスバックに乗り込むと、そのインテリアの華やかさに目を奪われるだろう。センターコンソールにあるパワーウインドウスイッチ周辺などは18世紀に考案されたギョーシェ彫りという金属加工模様が施されている。高級機械式時計の文字盤加工として光を抑えるために高級時計メーカーのブレゲが使い始めたといわれるもので、スイッチを見ている限りでは金属にしか見えず、実際に触れてみて初めて樹脂と気付くほどよくできている。確かにフェイクといえばそれまでだが、その出来はそれ以上で、Cセグメントで価格帯を考えれば十分に満足できる仕上がり。それ以上にふと目をやった時の満足感はかなり高い。
その満足感といえば、エンジンスタート時に起こる“儀式”を挙げねばならない。ナビ画面の上にあるスタート&ストップスイッチを長押しすることでエンジンはスタートする。するとその上からB.R.M(ベルナール・リシャール・マニュファクチャー)謹製のアナログ時計が顔を見せるので、それだけでも嬉しくなるが、ドライビング中などにふとこの時計が視界に入るだけでDS 7 クロスバックを持つ喜びを感じられるだろう。
ナビ下のスイッチ類もすべてタッチセンサーによるものだ。それぞれマークが描いてあるので何がどのスイッチかはわかるのだが、クリック感がないので本当に間違いなく操作したかがわからず確かめることがあった。さらに、その右端にあるハザードランプのスイッチはステアリングの陰に隠れていて目視できない。とっさの時には少々心もとないので、ぜひ別の操作しやすい位置に独立して配してほしい。
◆20インチでバタつくガソリンモデル
では、早速ガソリンモデルから走り始めてみよう。ゆっくりとスタートさせると、まず静粛性の高さに気付く。ロードノイズもエンジンノイズもきれいに遮断されているのだ。これに大きく貢献しているのはサイドシルを覆うようにドアが閉まることだ。これにより遮音性が上がるとともに、サイドシルが汚れなくなるので、パンツやスカートなどの裾を汚さずに済むという大きな利点も生んでいる。これはもちろんディーゼルモデルでも共通だ。
エンジンはとてもスムーズであり、かつ、主張を全くしない影の存在に徹している。従って走行中はエンジンの存在を気にせず淡々と走行することが可能で、高速でもその印象は変わらない。
一方乗り心地は決していいとはいえない。常にドタバタとばね下が暴れる印象が付きまとうのだ。この要因の多くは20インチタイヤによるものだ。235/45R20(テスト車はEAGLE F1 ASYMMETRIC 3のSUV用)を履いていたがグランシックには明らかにオーバースペックで、これがあだとなりフロア周りの剛性不足も感じてしまった。
また、乗り心地に関してはDSアクティブスキャンサスペンションが全モデルに標準装備される。簡単にいうとメルセデスの『Sクラス』に採用されているマジックボディコントロールとほぼ同じで、マルチファンクションカメラが車両前方5~25mの範囲の路面状況を常時高速スキャンして路面状況を把握。この情報をもとに4輪のショックアブソーバーの減衰力を最適化し、快適な乗り心地を乗員に提供する装備だ。このシステムはドライブモードの「コンフォート」を選択(デフォルトは「ノーマル」)することで作動するが、これもSクラス同様に、夜間や大雨、雪道などでは路面の凹凸が読み切れないという理由から機能しない。
さすがにこの機能をもってしても、20インチのバタつきを抑え込むことはできず、コンフォートと標準モードでは、確かにコンフォートのほうが柔らか(しなやかではなく)に感じるが大差はなかった。
◆18インチが生む乗り心地の良さはベーシックグレードの強み
ディーゼルモデルに乗り換えると、エンジンよりもタイヤの印象が大きく感じられた。とにかく乗り心地がしなやかなのだ。十分に腰があり、しっとりとした滑らかなもの。もちろん最終的にはフロア周りの剛性の低さは感じるのだが、そのシーンははるかに20インチを履いたグランシックより少なく、多くの場合が見過ごされる程度のものといっていいだろう。ディーゼルのソーシックには235/55R18(テスト車はオプションのミシュランLATITUDE TOUR HP M+S)を履いていたので、これが乗り心地に大きく貢献していたといえる。
DSアクティブスキャンサスペンションに関しては昼夜での差を確認してみたのだが、残念ながらその際は感じられなかった。もっともそこで差が感じられたとすれば、それはそれで違和感につながり問題ではある。
コンフォートモードと標準モードの差についてだが、デフォルトは標準モードで、エンジンを切り再び始動させると必ずこのモードに戻ってしまう。時々だが、コンフォートモードでテストをしている時に、どこかに寄り再びエンジンをスタートした時に、そのまま標準モードで走り続けることもあった。つまり、それほど大きな差はないということだ。
それでも切り替えながら走らせると、コンフォートモードのほうが前述の通り柔らかく、また、少しふわつく感じでダンピング不足を感じることがあった。特に高速ではその傾向は顕著なので、一般道ではコンフォート、高速に乗ったら標準に切り替えるのがベストに思えた。
高速道路に乗り入れると、ソーシックの印象はさらに良くなる。直進安定性はより高くなり、キチンとステアリングを握っているにもかかわらず、運転支援システムからステアリングを握るように警告が出るほど修正舵を必要としない優れたものであった。
さて、ディーゼルエンジンの印象だが、これもガソリンと同様に主張するエンジンではない。強いトルクを感じながら、快適に走らせることができた。ノイズに関しても室内にいる限り気になることはないが、外に出れば、それなりの音はしていた。
◆ディーゼルの燃費はもう少し伸びてほしい
ガソリンを2000km、ディーゼルを1500kmテストした結果、それぞれ混雑した市街地ではそれぞれ9.0km/リットルと10.1km/リットル。郊外の空いたバイパス路などでは13.1km/リットルと13.5km/リットル。高速道路では13.8km/リットルと16.4km/リットルという結果であった。
ほかのCセグメントSUVと比較をするとガソリンはほぼ平均、ディーゼルは若干それを下回るレベルであった。
アクティブクルーズをはじめとした安全運転支援システムは充実しているといっていいだろう。しかし、これも18インチをベースに開発されているようで、レーンキープなども20インチのほうがセンシティブに反応し、少々煩わしい印象であった。
また、他のPSAモデルも同様なのだが、前走車との車間距離をブレーキに頼る傾向があり、頻繁にストップランプが点灯するので、後続車に気を使いオフにして走行することもままあったことを付け加えておく。
◆ガソリンとディーゼル、タイヤに内装…ベストな組み合わせは?
さて、どれを選ぶかだが、大きくはガソリンとディーゼルから。これはどちらを選んでも間違いはない。前述の通りどちらも強い主張をしていないので、気にせず、また不満なく走れるだろう。そこで、街中が多い方にはガソリン、長距離が多い方にはディーゼルをお勧めする。やはり高速の燃費は魅力だからだ。
次に内装のインスピレーションだ。最上級でオプションのオペラ、そしてリボリ、ベーシックのバスティーユとあるが、あとで乗ったリボリの革シートが意外と硬かったことからこれは外したい。ナッパレザーのオペラか、ファブリックのバスティーユのどちらかでは、しなやかな座り心地のバスティーユを選びたい。
最後はグレードだ。もちろんグランシックが様々な装備がふんだんに盛り込まれ、DS 7 クロスバックらしいインテリアが展開される。しかも、このグレードのみB.R.Mのアナログ時計が装備されるのだから、それだけでこちらを選びたくなる。しかし、20インチを履いてしまうのもこのグレードなのだ。そうなるとやはりB.R.Mを横目で見つつソーシックを選んでしまうことになる。
ソーシックにはディーゼルとバスティーユしか設定がないので必然的にエンジンも内装も決まってしまった。実は、ソーシックのみのひとつ魅力的なオプション装備がある。それはM+Sタイヤが選べるセットオプションだ。実はこのセットオプション、ドライブモードにプジョー『2008』などと同じグリップコントロールが搭載され、マッドアンドスノーとサンドが追加になるのだ。いくらFFとはいえ、SUVであることを考えるとこのメリットは大きい。B.R.Mの時計とグリップコントロール、果たしてどちらを選ぶべきか悩ましいところではある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
内田俊一(うちだしゅんいち)
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1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラと同じくルノー10。
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