【スバル フォレスター 新型試乗】角の取れたマイルドな乗り心地が印象的…吉田匠
スバルのミドルサイズSUV、『フォレスター』が新型に生まれ変わった。そのポイントは、新世代のスバルグローバルプラットフォームを採用したこと、それに伴ってボディサイズが大きくなったこと。この2つが新型の最重要項目ではないかと思う。
アクティブ仕様のX-BREAK
ボディサイズはモデルによって細部が違うが、試乗したX-BREAKの場合、ルーフレールが標準装着になるため全高が他のモデルより15mm高くなって、全長4625×全幅1815×全高1730mm、ホイールベース2670mmと、そこそこ大きい。それでもあまり威圧感がないのは、アクの強くないスタイリングのせいだろう。
インテリアも上々のデザインと質感で統一され、ボディサイズを無駄にしない空間利用が好ましい。運転席はもちろん、リアシートのレッグスペースやヘッドルームにも余裕があるし、後方のラゲッジスペースは天地の深さもあって、使い易そう。試乗したX-BREAKはアクティブな用途を想定したモデルで、撥水加工のシートや荷室を採用している。
安定したコーナリング
走り出してみると、角の取れたマイルドな乗り心地が印象に残った。昨今、舗装路でのハンドリングを重視するあまりか、脚の硬いSUVがけっこうあるが、フォレスターは違う。ただし、試乗したX-BREAKという仕様は17インチと小径の、しかもオールシーズンタイヤ標準装備モデルなので、その点が乗り心地には有利に作用していたかもしれない。18インチのサマータイヤを履くモデルの乗り味がどうなのか、気になるところだ。
それにもかかわらず、コーナーでの挙動は安定しているから、コーナリング好きにも不満を感じさせないはずだ。ステアリングは低速走行時にはややフィール不足を感じるが、コーナリング中には確実に路面からの手応えを返してくる。ブレーキもカッチリと効く。
2.5リットルNAエンジンの加速は…?
新型フォレスターのパワーユニットはトップモデルのAdvanceが2リットル直噴フラット4+電気モーターのハイブリッド、他はすべて2.5リットル直噴フラット4のNAで、ターボは装着されない。試乗したX-BREAKは後者で、184psと24.4kgmを発生。
X-BREAKの車重は1530kgだが、それをリニアトロニックという名のマニュアルモード付きCVT無段変速機を介して走らせる。駆動方式は全車AWD=常時4輪駆動で、FWD=前輪駆動モデルの用意がないところが、スバルらしく潔い。
このCVTは、通常は無段変速、スロットルを深く踏むとATのような変速感を演出する。それを駆使しての2.5リットルNAエンジンによる加速は、実用性能としてはまったく充分だが、ここ一番、というときにちょっと物足りない感触はある。
他車のSUVにはあまり見られない、グリーン系やブルー系といったユニークなボディカラーが用意されているのも、新型フォレスターの魅力のひとつではないかと思う。ただしそういった色が、モデルによっては選択不可能になるのが残念なところではあるが。
ちなみにフォレスターの税込み価格帯は280.8万円から309.96万円の範囲にあり、試乗したX-BREAKはベース車両が294.84万円、オプションを備える試乗車で322.92万円だった。
吉田匠│モータージャーナリスト
1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。『僕の恋人がカニ目になってから』(二玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。
(レスポンス 吉田匠)
アクティブ仕様のX-BREAK
ボディサイズはモデルによって細部が違うが、試乗したX-BREAKの場合、ルーフレールが標準装着になるため全高が他のモデルより15mm高くなって、全長4625×全幅1815×全高1730mm、ホイールベース2670mmと、そこそこ大きい。それでもあまり威圧感がないのは、アクの強くないスタイリングのせいだろう。
インテリアも上々のデザインと質感で統一され、ボディサイズを無駄にしない空間利用が好ましい。運転席はもちろん、リアシートのレッグスペースやヘッドルームにも余裕があるし、後方のラゲッジスペースは天地の深さもあって、使い易そう。試乗したX-BREAKはアクティブな用途を想定したモデルで、撥水加工のシートや荷室を採用している。
安定したコーナリング
走り出してみると、角の取れたマイルドな乗り心地が印象に残った。昨今、舗装路でのハンドリングを重視するあまりか、脚の硬いSUVがけっこうあるが、フォレスターは違う。ただし、試乗したX-BREAKという仕様は17インチと小径の、しかもオールシーズンタイヤ標準装備モデルなので、その点が乗り心地には有利に作用していたかもしれない。18インチのサマータイヤを履くモデルの乗り味がどうなのか、気になるところだ。
それにもかかわらず、コーナーでの挙動は安定しているから、コーナリング好きにも不満を感じさせないはずだ。ステアリングは低速走行時にはややフィール不足を感じるが、コーナリング中には確実に路面からの手応えを返してくる。ブレーキもカッチリと効く。
2.5リットルNAエンジンの加速は…?
新型フォレスターのパワーユニットはトップモデルのAdvanceが2リットル直噴フラット4+電気モーターのハイブリッド、他はすべて2.5リットル直噴フラット4のNAで、ターボは装着されない。試乗したX-BREAKは後者で、184psと24.4kgmを発生。
X-BREAKの車重は1530kgだが、それをリニアトロニックという名のマニュアルモード付きCVT無段変速機を介して走らせる。駆動方式は全車AWD=常時4輪駆動で、FWD=前輪駆動モデルの用意がないところが、スバルらしく潔い。
このCVTは、通常は無段変速、スロットルを深く踏むとATのような変速感を演出する。それを駆使しての2.5リットルNAエンジンによる加速は、実用性能としてはまったく充分だが、ここ一番、というときにちょっと物足りない感触はある。
他車のSUVにはあまり見られない、グリーン系やブルー系といったユニークなボディカラーが用意されているのも、新型フォレスターの魅力のひとつではないかと思う。ただしそういった色が、モデルによっては選択不可能になるのが残念なところではあるが。
ちなみにフォレスターの税込み価格帯は280.8万円から309.96万円の範囲にあり、試乗したX-BREAKはベース車両が294.84万円、オプションを備える試乗車で322.92万円だった。
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1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。『僕の恋人がカニ目になってから』(二玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。
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