【メルセデスベンツ Gクラス 新型試乗】驚きのプライスだが、その価値は十分にある…丸山誠
新型Gクラスと先代との違いは
『Gクラス』は、1979年の誕生から39年の間に何度か変更を受けたが、フルモデルチェンジはされなかった。日本では従来型を併売したため、今回のモデルをフルモデルチェンジとはしていないが、事実上39年ぶりの新型といっていい。
新型Gクラスを走らせるとすぐに先代とは大きく違うことに気づく。それはステアリングフィール。従来型はメルセデスベンツの乗用系車種としては、最後までボール&ナットのステアリング形式を採用していた。このタイプはラフロードを走ってもステアリングへのキックバックが少ないのが利点だが、舗装路でのステアリングフィールは旧世代のクロカンという印象だった。
ところが新型はラック&ピニオン形式を採用したためステアリングフィールが激変した。オンロードでの正確性が一気に高まり、直進安定性もグッと向上。高速域でもステアリングを軽く持っていれば、どこまでも直進する印象だ。この操舵感は現在のSUVで考えてもトップレベルのフィールといっていい。
この操縦性を実現したのにはフロントサスペンションも大きな役割を果たしている。ついに独立のダブルウィッシュボーンサスペンションに改めたことで、正確なハンドリングを実現できたわけだ。
「AMG G63」で違いは顕著に
ハイパフォーマンスモデルの『AMG G63』に乗ると、さらに従来モデルとの違いを感じる。4リットルV8ツインターボから発生する585psをしっかり受け止めて、ワインディングロードを豪快に駆け抜けることができる。スポーツモードを選んでアクセルを踏み込むと血の気が引くような加速Gに加え、重低音のエキゾーストノートが室内に響き渡る。スポーツカーとは違った重量感のある加速はAMGならではだ。
ブレーキ性能も一級品。先代と比べて車両重量が70kg軽量化されたが、それでもようやく2.5トンを切る程度だが、フロントブレーキの6ポットキャリパーが一気に速度を奪い取る。この安心感があるからパワーを楽しめるわけだ。このブレーキのすごいところはオンロードだけでなく、ラフロードでの走りでもコントロール性が高いこと。ラフロードコースではボウル状の谷を上り下りしたが、23度の下り傾斜で停車してわずかにブレーキペダルを緩めて1センチ前進させる、という微妙なコントロールを受け付ける。そのときノイズや振動を感じさせないのもさすがだ。
ラフロードも普通の道のようにクリア
「G550」に乗り替えてラフロードのモーグル路を走ると普通の道のようにあっさりとクリア。対角線のタイヤが地面から浮くような状況でもトラクション性能がしっかりと確保されている。急な上り坂で石をまたいで走るロックセクションも簡単にクリアできてしまう。ローレンジを選択してセンターデフをロックすると走行モードが、ラフロード用のGモードに移行。同時に可変ダンパーやステアリング、アクセルの特性も変更され、シフトも制御されるため走破性がいっそう高まる。
センターデフに加えてリヤデフもロックすると、雨で滑りやすくい路面状況ながらタイヤがほとんどスリップすることなく、ロックセクションを走破できた。インパネ中央に配置されたデフロックスイッチは3つあるが、フロントデフまでロックしなくてもかなりのラフロードをクリアできることが確認できた。
高額にも納得
AMG G63は2035万円のプライスだが、その価値は十分にあるといえる。所有する喜びも大きいが、オンロードでの走りの質感とラフロードの走破性の高さの両立は、メルセデスならではだ。スポーツカー並みのパワーが必要ないならG550で十分満足でき、こちらは1562万円。こちらも高額だが性能を考えると買い得に思えてしまうほどだ。ただし、G550は左ハンドルしか設定されていないのが残念。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
『Gクラス』は、1979年の誕生から39年の間に何度か変更を受けたが、フルモデルチェンジはされなかった。日本では従来型を併売したため、今回のモデルをフルモデルチェンジとはしていないが、事実上39年ぶりの新型といっていい。
新型Gクラスを走らせるとすぐに先代とは大きく違うことに気づく。それはステアリングフィール。従来型はメルセデスベンツの乗用系車種としては、最後までボール&ナットのステアリング形式を採用していた。このタイプはラフロードを走ってもステアリングへのキックバックが少ないのが利点だが、舗装路でのステアリングフィールは旧世代のクロカンという印象だった。
ところが新型はラック&ピニオン形式を採用したためステアリングフィールが激変した。オンロードでの正確性が一気に高まり、直進安定性もグッと向上。高速域でもステアリングを軽く持っていれば、どこまでも直進する印象だ。この操舵感は現在のSUVで考えてもトップレベルのフィールといっていい。
この操縦性を実現したのにはフロントサスペンションも大きな役割を果たしている。ついに独立のダブルウィッシュボーンサスペンションに改めたことで、正確なハンドリングを実現できたわけだ。
「AMG G63」で違いは顕著に
ハイパフォーマンスモデルの『AMG G63』に乗ると、さらに従来モデルとの違いを感じる。4リットルV8ツインターボから発生する585psをしっかり受け止めて、ワインディングロードを豪快に駆け抜けることができる。スポーツモードを選んでアクセルを踏み込むと血の気が引くような加速Gに加え、重低音のエキゾーストノートが室内に響き渡る。スポーツカーとは違った重量感のある加速はAMGならではだ。
ブレーキ性能も一級品。先代と比べて車両重量が70kg軽量化されたが、それでもようやく2.5トンを切る程度だが、フロントブレーキの6ポットキャリパーが一気に速度を奪い取る。この安心感があるからパワーを楽しめるわけだ。このブレーキのすごいところはオンロードだけでなく、ラフロードでの走りでもコントロール性が高いこと。ラフロードコースではボウル状の谷を上り下りしたが、23度の下り傾斜で停車してわずかにブレーキペダルを緩めて1センチ前進させる、という微妙なコントロールを受け付ける。そのときノイズや振動を感じさせないのもさすがだ。
ラフロードも普通の道のようにクリア
「G550」に乗り替えてラフロードのモーグル路を走ると普通の道のようにあっさりとクリア。対角線のタイヤが地面から浮くような状況でもトラクション性能がしっかりと確保されている。急な上り坂で石をまたいで走るロックセクションも簡単にクリアできてしまう。ローレンジを選択してセンターデフをロックすると走行モードが、ラフロード用のGモードに移行。同時に可変ダンパーやステアリング、アクセルの特性も変更され、シフトも制御されるため走破性がいっそう高まる。
センターデフに加えてリヤデフもロックすると、雨で滑りやすくい路面状況ながらタイヤがほとんどスリップすることなく、ロックセクションを走破できた。インパネ中央に配置されたデフロックスイッチは3つあるが、フロントデフまでロックしなくてもかなりのラフロードをクリアできることが確認できた。
高額にも納得
AMG G63は2035万円のプライスだが、その価値は十分にあるといえる。所有する喜びも大きいが、オンロードでの走りの質感とラフロードの走破性の高さの両立は、メルセデスならではだ。スポーツカー並みのパワーが必要ないならG550で十分満足でき、こちらは1562万円。こちらも高額だが性能を考えると買い得に思えてしまうほどだ。ただし、G550は左ハンドルしか設定されていないのが残念。
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パッケージング:★★★★
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自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
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