【ボルボ V90ディーゼル 試乗】往年のモデル思い出させる心地よさ…島崎七生人
Vレンジで出揃ったディーゼル
2019年モデルの『V90』(と同クロスカントリー)が、待望の2リットルディーゼルターボ搭載の「D4」でも乗れるようになった。D4は現在、Vレンジの各シリーズ(40、60、90)で設定が揃ったことになる。
V90に設定されるD4ユニットは基本的に他シリーズ/レンジと共通。エンジン型式D4204T型と呼ばれ、インタークーラー付きターボにより190ps/40.8kgmのスペックを発揮。組み合わせられる8速ATは他車と共通で、最終減速比のみ各車専用。V90ではAdBlue等の採用で環境負荷の低減も図っている。
で、その走りっぷりだが、ディーゼルならではの豊かな低速トルクを生かし、実際には2リットルだがもっと排気量の大きなエンジンを搭載しているのでは!?と思わせられるほど、スムースで余裕しゃくしゃくなところを見せつける。
いや、見せつけるというと、いかにも“どうだ!”と大袈裟に聞こえてしまうが、実際にはV90らしく、アクセル操作をしていることを忘れてしまうほど、スーッと車窓の景色が流れていく……というか。もちろん加速時を始めとして、室内の静粛性は高く、いかなる場面でもディーゼルエンジンであることの音や振動はまったく意識させないのもクラスに相応しい。
「960」を彷彿とさせる乗り味
乗り味も、あくまでも優しい感触。試乗車はオプションのエアサス(リヤ)は非装着で走行中のピッチングモーションはやや鷹揚にも感じた。この点はエアサス付きも確認したい。が、しっとりとした感触のステアリングフィールを始め、往年のFR時代の「960」などを彷彿とさせるイメージだ。
Inscription仕様は、インテリアの質感、装備レベルも申し分なしだ。4角い穴の開いたパーフォレーテッド・ファインナッパレザーのシートにはベンチレーション、マッサージの各機能も備える。
オーディオはなんとオプションのB&W(標準でもhaman/kardon)を搭載、試乗中は手持ちのiPod touchを繋いだままにしておいたが、まるでハイエンドオーディオシステムを揃えて自宅で満喫しているような、描写が緻密で豊かなサウンドが存分に楽しめた。このオーディオの操作を始め、カーナビ、各種機能の表示と設定を行うためのセンターディスプレイ(専用のクリーニングクロスも付属する!)は、タブレット末端同様の操作性で、ホームボタンを押せばメイン画面に戻れるなど、扱いやすい。
それと今回、ボルボのエステートらしい実用性はそのままに、扱いやすさがより洗練されていることも実感。たとえば客室とラゲッジスペースを仕切るセーフティネット(テールゲート連動ラゲッジカバーとともに標準装備)だが、使いたい時にスッと引き上げての気軽な装着が可能で、ラゲッジスペースカバーのカートリッジの脱着(ロックレバーの操作を含む)も手軽だった。かつてのモデルではセーフティネットは堅牢ではあったがやや造りがゴツく自重もかなりあり、手をプルプルさせながら反力の強いネットを持ち上げ、かつシャフト長を合わせながら天井に引っかける……と、なかなか大変な仕事だったものである。
ボルボならではの安全支援機能も、運転支援関係の機能が充実し、安心なうえに快適性も高めている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
2019年モデルの『V90』(と同クロスカントリー)が、待望の2リットルディーゼルターボ搭載の「D4」でも乗れるようになった。D4は現在、Vレンジの各シリーズ(40、60、90)で設定が揃ったことになる。
V90に設定されるD4ユニットは基本的に他シリーズ/レンジと共通。エンジン型式D4204T型と呼ばれ、インタークーラー付きターボにより190ps/40.8kgmのスペックを発揮。組み合わせられる8速ATは他車と共通で、最終減速比のみ各車専用。V90ではAdBlue等の採用で環境負荷の低減も図っている。
で、その走りっぷりだが、ディーゼルならではの豊かな低速トルクを生かし、実際には2リットルだがもっと排気量の大きなエンジンを搭載しているのでは!?と思わせられるほど、スムースで余裕しゃくしゃくなところを見せつける。
いや、見せつけるというと、いかにも“どうだ!”と大袈裟に聞こえてしまうが、実際にはV90らしく、アクセル操作をしていることを忘れてしまうほど、スーッと車窓の景色が流れていく……というか。もちろん加速時を始めとして、室内の静粛性は高く、いかなる場面でもディーゼルエンジンであることの音や振動はまったく意識させないのもクラスに相応しい。
「960」を彷彿とさせる乗り味
乗り味も、あくまでも優しい感触。試乗車はオプションのエアサス(リヤ)は非装着で走行中のピッチングモーションはやや鷹揚にも感じた。この点はエアサス付きも確認したい。が、しっとりとした感触のステアリングフィールを始め、往年のFR時代の「960」などを彷彿とさせるイメージだ。
Inscription仕様は、インテリアの質感、装備レベルも申し分なしだ。4角い穴の開いたパーフォレーテッド・ファインナッパレザーのシートにはベンチレーション、マッサージの各機能も備える。
オーディオはなんとオプションのB&W(標準でもhaman/kardon)を搭載、試乗中は手持ちのiPod touchを繋いだままにしておいたが、まるでハイエンドオーディオシステムを揃えて自宅で満喫しているような、描写が緻密で豊かなサウンドが存分に楽しめた。このオーディオの操作を始め、カーナビ、各種機能の表示と設定を行うためのセンターディスプレイ(専用のクリーニングクロスも付属する!)は、タブレット末端同様の操作性で、ホームボタンを押せばメイン画面に戻れるなど、扱いやすい。
それと今回、ボルボのエステートらしい実用性はそのままに、扱いやすさがより洗練されていることも実感。たとえば客室とラゲッジスペースを仕切るセーフティネット(テールゲート連動ラゲッジカバーとともに標準装備)だが、使いたい時にスッと引き上げての気軽な装着が可能で、ラゲッジスペースカバーのカートリッジの脱着(ロックレバーの操作を含む)も手軽だった。かつてのモデルではセーフティネットは堅牢ではあったがやや造りがゴツく自重もかなりあり、手をプルプルさせながら反力の強いネットを持ち上げ、かつシャフト長を合わせながら天井に引っかける……と、なかなか大変な仕事だったものである。
ボルボならではの安全支援機能も、運転支援関係の機能が充実し、安心なうえに快適性も高めている。
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(レスポンス 島崎七生人)
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