【スバル フォレスター 新型試乗】箱根を走って見えた、X-BREAKのジェントルな味わい…島崎七生人

スバル フォレスター 新型(X-BREAK)
◆「手堅くスマート」な新型フォレスター

手堅くスマート。新型『フォレスター』をどう表現しようか迷っていたのだが、クローズドコース(オフロード含む)、市街地に次いで、箱根で試乗してみて、ようやく、その立ち位置が理解できた。

無断でキャラクターは変えられない、のだろう。スバルの3分の1の販売台数を占め、北米でも強さを見せるとなればなおさら。勢い、パッと見た佇まいは新旧で非常に似ている。乗れば違いは歴然だが、変えない安心感は、道具としてユーザーに愛用されているフォレスターには、キーとなるスペックのひとつというわけだ。

冒頭でも触れたとおり、発売に前後して我々には計3回の試乗の機会が与えられた。3度目の正直ではないが、直近は箱根の試乗会で(なので写真は箱根と横浜分が混在しています)、慣れ親しんだ場所で、試乗手順やコースなど、試乗以外のノイズに気を遣うことなく、純粋にクルマを走らせ、向き合える時間が持てたことで、やっとポテンシャルの全容が見えてきた。

◆SGPの進化をもっとも実感できる「X-BREAK」


言い訳めいた前置きが長くなってしまったが、2台選択の試乗車は、前回(川崎~横浜の市街地)と同じナンバー(個体)をリクエスト。そのうちの1台が「X-BREAK」だったのだが、このクルマがよかったのである。

SGP(スバルグローバルプラットフォーム)の採用は、『インプレッサ』同様に走りの素性を大幅に高め、新旧で乗り較べるとひとクラス上がったほどの、走りの上質感、なめらかさ、安定感が体感できる。その素性がもっとも端的に実感できるのが、このX-BREAKではないか、と思う。

特にいいのは、オンロードでの路面状況を問わず煽られ感のないフラットな乗り味で、上級の『アウトバック』に迫る、ゆったりしたドライバビリティに仕上げられている。車重自体は「e-BOXER」を搭載する「アドバンス」グレードより軽いのだが、乗り味にはむしろ重厚な味わいすらある。

どうやらこの車重とサスペンションの設定に、専用のオールシーズンタイヤ(BSエコピア H/L 422 Plus、225/60R17 99H・日本製、空気圧:前/後=230/220kPa)の縦バネ、ケース剛性が巧く調和しているようで、このしっとりとした乗り味が生み出されているようだ。舗装路を通常のペースで走る限りタイヤのグリップに不満を覚えることもなく、やや重めの保舵力のステアリングも、安心感のある手応えになっている。

◆ドライバーの意に反することがないパワートレイン

ダルさがなく自然な身のこなしのボディに、2.5リットルの水平対向エンジンも十二分な役を果たす。CVTとの組み合わせだが、加減速のマナーが自然で、ドライバーの意に反することがないからだ。出足のトルクも問題なく、回すと快活な音とパワー感を発揮してくれるのもわかった。

こうなると、オレンジを挿し色に内外観が仕立てられた若々しいX-BREAKとは別に、スペックは共通のまま、よりジェントルなグレードがあってもいいのではないか?と思えた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

(レスポンス 島崎七生人)

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