【メルセデスベンツ C200 新型試乗】もっと電気っぽいやつを期待してたけど…中村孝仁
◆メルセデスのベストセラー
なんだかんだ言って、メルセデスのベストセラーっていうのは『Cクラス』なのである。グローバルの規模で見ても、日本国内に絞ってみても、メルセデスの最多販売台数を稼いでいるのはCクラスなのだ(2017年統計)。
SUV人気だという。アメリカではセダン系モデルが次々と生産中止に追い込まれ、フォードに至っては、『マスタング』を除きすべてのセダン系車種の生産をやめると発表した。どうしてそこまで極端に走るのかは不明だが、まあ世界的にセダンというクルマの形式が、かつてのような自動車の代表的形ではなくなってきていることは間違いない。しかし、メルセデスは今もCクラスで持っていると言って過言ではない。
今回大幅なマイナーチェンジが施されたCクラスなのだが、例によって見た目の変化はほとんど無い。日本のメーカーだったらもう少し、「あっ、変わったな」と思わせる処理を施しそうだが、ドイツの各メーカーは中々そうしたことをやらず、街中ですれ違った程度で新旧の違いを識別するのはなかなか困難である…と言うかまず無理だ。
◆48Vマイルドハイブリッドの「C200」
その見た目に変わっていないCクラスの中で、今回大いに期待していたモデルがこの『C200』だ。というのも、いわゆる48Vのマイルドハイブリッドを採用したモデルだからである。この48Vマイルドハイブリッド、昨年の東京モーターショーでは今後の電動車の主流になると、個人的にはほぼ確信していた。
というのは、導入が簡単でそれなりの効果が期待出来て、排ガスのクリーン化に役立つ。ヨーロッパでは2030年あたりから、都市内へ内燃機関だけで動くクルマは流入できなくなると言われているし、多くのメーカーが、今後内燃機関だけで動くクルマは作らないとも言っている。
しかし一方で、サプライヤーのボッシュなどは、10年後も8割以上のクルマが内燃機関で動いていると公言して憚らない。つまりどういうことかというと、これからは電気モーターをつけた内燃機関車が主流になるということだと解釈する。ただ、日本の例えばトヨタのように、フルハイブリッドをズラリとラインナップするにはコストがかかり、なかなか大変。そこへ行くと48Vマイルドハイブリッドだったら、極端な話レトロフィットでも行けそうである。
だから、常に確信犯的なヨーロッパ勢は、これからは内燃機関車は作りませんと言っておきながら、実態としては限りなく内燃機関で動く48Vのアシスト車を増やして、これが電動車ですというのではないかと思っているわけである。そもそもピュアEVにすべてのクルマがなってしまったら、一体電力供給はどうなるのか。またぞろいっぱい原発でも作るつもりか。等々そんなことを考える今日この頃なのだ。
◆如何にも電動車というイメージは全くない
そのC200に付いた48Vマイルドハイブリッド。実はそれ以前に乗った『S450』のハイブリッドを想像していた。ベルトレスでスマートかつ非常に効率的でスムーズな動き。だから、S450に乗った時はこれぞ革新的!と思ったものである。
しかし考えてみればあっちは直6、こっちは直4で、そもそもスムーズネスでは断然あちらが上。それにあっちは電動スーパーチャージャーにターボの2本立てだが、さすがにこっちはスーパーチャージャーまでは無理。しかもISGではなくベルト駆動だというから、そうか、確かにコスト考えるとSクラスのようにはいかないな、と頭ではわかっていても、どうしても期待はしてしまう。
で、実際に乗ってみてどうか。これはもう完全に普通の内燃機関車と一緒である。スズキのマイルドハイブリッドだって、発進はスーッと電気でその後にエンジンがかかるのだが、メルセデスはアクセルに足を乗せた瞬間に内燃機関が目を覚ますから、電動スタートではない。あくまでも加速のアシストやシフトのスムーズさを確保するために、この電動モーターが付けられている。
エンジンは何と新開発ながら1.5リットル直4ターボだ。因みに『C180』は1.6リットルの直4ターボ。でも、加速感は180より200の方が上。ここが電動アシストのおかげなのだと思う。しかし全域で電気の恩恵を感じる部分はほぼ無く、期待した如何にも電動車というイメージは全くなかった。
足はすこぶるスムーズで快適である。何せ、エアサスが付いているのだから。最近のエアボディコントロールなるエアサスの出来は秀逸。本当にキン斗雲って、きっとこんな乗り心地なんじゃないかって、勝手に思う。というわけで電動の期待は見事に裏切られたが、出来の良さではやはりメルセデス、それも最多量販車種の名に恥じない優れモノである。ただ、4気筒のエンジンサウンドはダサい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
なんだかんだ言って、メルセデスのベストセラーっていうのは『Cクラス』なのである。グローバルの規模で見ても、日本国内に絞ってみても、メルセデスの最多販売台数を稼いでいるのはCクラスなのだ(2017年統計)。
SUV人気だという。アメリカではセダン系モデルが次々と生産中止に追い込まれ、フォードに至っては、『マスタング』を除きすべてのセダン系車種の生産をやめると発表した。どうしてそこまで極端に走るのかは不明だが、まあ世界的にセダンというクルマの形式が、かつてのような自動車の代表的形ではなくなってきていることは間違いない。しかし、メルセデスは今もCクラスで持っていると言って過言ではない。
今回大幅なマイナーチェンジが施されたCクラスなのだが、例によって見た目の変化はほとんど無い。日本のメーカーだったらもう少し、「あっ、変わったな」と思わせる処理を施しそうだが、ドイツの各メーカーは中々そうしたことをやらず、街中ですれ違った程度で新旧の違いを識別するのはなかなか困難である…と言うかまず無理だ。
◆48Vマイルドハイブリッドの「C200」
その見た目に変わっていないCクラスの中で、今回大いに期待していたモデルがこの『C200』だ。というのも、いわゆる48Vのマイルドハイブリッドを採用したモデルだからである。この48Vマイルドハイブリッド、昨年の東京モーターショーでは今後の電動車の主流になると、個人的にはほぼ確信していた。
というのは、導入が簡単でそれなりの効果が期待出来て、排ガスのクリーン化に役立つ。ヨーロッパでは2030年あたりから、都市内へ内燃機関だけで動くクルマは流入できなくなると言われているし、多くのメーカーが、今後内燃機関だけで動くクルマは作らないとも言っている。
しかし一方で、サプライヤーのボッシュなどは、10年後も8割以上のクルマが内燃機関で動いていると公言して憚らない。つまりどういうことかというと、これからは電気モーターをつけた内燃機関車が主流になるということだと解釈する。ただ、日本の例えばトヨタのように、フルハイブリッドをズラリとラインナップするにはコストがかかり、なかなか大変。そこへ行くと48Vマイルドハイブリッドだったら、極端な話レトロフィットでも行けそうである。
だから、常に確信犯的なヨーロッパ勢は、これからは内燃機関車は作りませんと言っておきながら、実態としては限りなく内燃機関で動く48Vのアシスト車を増やして、これが電動車ですというのではないかと思っているわけである。そもそもピュアEVにすべてのクルマがなってしまったら、一体電力供給はどうなるのか。またぞろいっぱい原発でも作るつもりか。等々そんなことを考える今日この頃なのだ。
◆如何にも電動車というイメージは全くない
そのC200に付いた48Vマイルドハイブリッド。実はそれ以前に乗った『S450』のハイブリッドを想像していた。ベルトレスでスマートかつ非常に効率的でスムーズな動き。だから、S450に乗った時はこれぞ革新的!と思ったものである。
しかし考えてみればあっちは直6、こっちは直4で、そもそもスムーズネスでは断然あちらが上。それにあっちは電動スーパーチャージャーにターボの2本立てだが、さすがにこっちはスーパーチャージャーまでは無理。しかもISGではなくベルト駆動だというから、そうか、確かにコスト考えるとSクラスのようにはいかないな、と頭ではわかっていても、どうしても期待はしてしまう。
で、実際に乗ってみてどうか。これはもう完全に普通の内燃機関車と一緒である。スズキのマイルドハイブリッドだって、発進はスーッと電気でその後にエンジンがかかるのだが、メルセデスはアクセルに足を乗せた瞬間に内燃機関が目を覚ますから、電動スタートではない。あくまでも加速のアシストやシフトのスムーズさを確保するために、この電動モーターが付けられている。
エンジンは何と新開発ながら1.5リットル直4ターボだ。因みに『C180』は1.6リットルの直4ターボ。でも、加速感は180より200の方が上。ここが電動アシストのおかげなのだと思う。しかし全域で電気の恩恵を感じる部分はほぼ無く、期待した如何にも電動車というイメージは全くなかった。
足はすこぶるスムーズで快適である。何せ、エアサスが付いているのだから。最近のエアボディコントロールなるエアサスの出来は秀逸。本当にキン斗雲って、きっとこんな乗り心地なんじゃないかって、勝手に思う。というわけで電動の期待は見事に裏切られたが、出来の良さではやはりメルセデス、それも最多量販車種の名に恥じない優れモノである。ただ、4気筒のエンジンサウンドはダサい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
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中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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