【マツダ 3 海外試乗】日本車の弱さ払拭、世界のライバルと対峙してもかなりのレベルに…桂伸一
『マツダ3』世界初試乗…勇んで向かった先はアメリカ・ハリウッド。眩い日差しのもとで対面したセダンとハッチバックは、どちらも抑揚あるサイドビューに魅せられて個性も存在感も「欧米韓」に負けてない。
セダンは北米仕様SKYACTIV-G2.5リットルと、ハッチバックは欧州仕様SKYACTIV-G2.0リットルマイルドハイブリッド。試乗はハリウッドの凹凸激しい市街地からフリーウエイを走行して、欧米メーカーもテストする山岳路、アンジェレスクレストへ向かう。
◆峠での素直な操安性に驚きの北米仕様
まずはセダン。北米仕様はオールシーズンタイヤを履く。マツダらしいなと思うのは、ゼロ発進の際に微低速から滑らかに自然に加速に移る点。ドライバーが神経を使う事なく緻密な制御を自然に、がマツダの良心だ。
いい感じのアクセルに対してブレーキはペダルの踏み込み量に対して減速感に乏しい。でもこれがアメリカ仕様だそう。フリーウエイに合流してアクセルひと踏み2.4L自然吸気は189ps/252Nmの出力で6速ATを介した前輪駆動が瞬時に80mph=128km/hに加速して流れに載る。エンジンは日本で乗るよりもややおとなしい印象だが、ファイナルのギヤ比を高め、回転を落として高速巡航の燃費を高める結果だろう。
気になるのはノーズが左右にチョロチョロ動き、微妙にステア修整する必要がある。フリーウエイは路面に独特の縦溝が刻まれ、それが直進性に影響を及ぼす。同時にオールシーズンタイヤの特性も関係ありそうだ。路面の継ぎ目からのパタンパタンと空洞音が響くのだが、室内はエンジンやタイヤ、路面からの透過音が少なく静粛性の高さはCセグを超えているかも。
アンジェレスクレストは中~高速コーナーが連続する。タイヤからスキール音が発生するがステア操作にノーズは正確にインを向きコーナーをトレースする事は至って簡単。トーションビームに置き換えられたリアサスは横Gに耐え踏ん張り姿勢を安定させる。この素直な操安性がオールシーズンタイヤで実現している事が驚きだ。市街地で減速感に乏しいと感じたブレーキの印象は解消。峠をカッ飛ばすという事はペダル踏力もそれなりに加えているので問題にならない。
◆ステア操作に対する動きが明確な欧州仕様
ハッチバックに乗り換えて帰路へ。2.0Lは122ps/213Nmとパワーは控えめだが、ハイブリッド故にモーターアシストで加速はまあまあ。6速MTなので各ギアで6500rpmのリミットまで引っ張ればそれなりに速い。
欧州仕様はサマータイヤと引き締まったサスのチューニングで、ステア操作に対する動きが明確だ。ロールやピッチングも抑えられて、コーナーでのステアリングの舵角も少なく、高い旋回速度で安定して通過する。ブレーキも欧州仕様はペダル踏力と踏み込み量に忠実に減速Gが立ち上がり、日本的にはコレが自然でいい。
セダンの高速直進性が不安定だったのは、やはりタイヤと路面の縦溝の影響。ハッチバックも場所によりノーズが泳ぐ場合もあるが、基本的な接地性の確かさと直進安定性は欧州仕様がベター。
注目のパワーユニット、圧縮着火のスカイアクティブ-Xに試乗できるか!! と期待したが、まだお預け。日本仕様はG1.5LとG2.0LにD1.8LとXになる模様。 マツダと言えば現状Dに乗る事が多く、どうしてもターボディーゼルの分厚いトルク感がイメージされるため、今回試乗した2台は、エンジンの意味で美味しさはない。
日本車が弱いフロア剛性の高さ、静粛性の高さ、路面からの衝撃に対するサスとボディの質の高さなど、マツダ3は世界のライバルと対峙しても、かなりのレベルにありそうな感触を得て帰ってきた。現実はどうなのか!? その検証も楽しみだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。
(レスポンス 桂伸一)
セダンは北米仕様SKYACTIV-G2.5リットルと、ハッチバックは欧州仕様SKYACTIV-G2.0リットルマイルドハイブリッド。試乗はハリウッドの凹凸激しい市街地からフリーウエイを走行して、欧米メーカーもテストする山岳路、アンジェレスクレストへ向かう。
◆峠での素直な操安性に驚きの北米仕様
まずはセダン。北米仕様はオールシーズンタイヤを履く。マツダらしいなと思うのは、ゼロ発進の際に微低速から滑らかに自然に加速に移る点。ドライバーが神経を使う事なく緻密な制御を自然に、がマツダの良心だ。
いい感じのアクセルに対してブレーキはペダルの踏み込み量に対して減速感に乏しい。でもこれがアメリカ仕様だそう。フリーウエイに合流してアクセルひと踏み2.4L自然吸気は189ps/252Nmの出力で6速ATを介した前輪駆動が瞬時に80mph=128km/hに加速して流れに載る。エンジンは日本で乗るよりもややおとなしい印象だが、ファイナルのギヤ比を高め、回転を落として高速巡航の燃費を高める結果だろう。
気になるのはノーズが左右にチョロチョロ動き、微妙にステア修整する必要がある。フリーウエイは路面に独特の縦溝が刻まれ、それが直進性に影響を及ぼす。同時にオールシーズンタイヤの特性も関係ありそうだ。路面の継ぎ目からのパタンパタンと空洞音が響くのだが、室内はエンジンやタイヤ、路面からの透過音が少なく静粛性の高さはCセグを超えているかも。
アンジェレスクレストは中~高速コーナーが連続する。タイヤからスキール音が発生するがステア操作にノーズは正確にインを向きコーナーをトレースする事は至って簡単。トーションビームに置き換えられたリアサスは横Gに耐え踏ん張り姿勢を安定させる。この素直な操安性がオールシーズンタイヤで実現している事が驚きだ。市街地で減速感に乏しいと感じたブレーキの印象は解消。峠をカッ飛ばすという事はペダル踏力もそれなりに加えているので問題にならない。
◆ステア操作に対する動きが明確な欧州仕様
ハッチバックに乗り換えて帰路へ。2.0Lは122ps/213Nmとパワーは控えめだが、ハイブリッド故にモーターアシストで加速はまあまあ。6速MTなので各ギアで6500rpmのリミットまで引っ張ればそれなりに速い。
欧州仕様はサマータイヤと引き締まったサスのチューニングで、ステア操作に対する動きが明確だ。ロールやピッチングも抑えられて、コーナーでのステアリングの舵角も少なく、高い旋回速度で安定して通過する。ブレーキも欧州仕様はペダル踏力と踏み込み量に忠実に減速Gが立ち上がり、日本的にはコレが自然でいい。
セダンの高速直進性が不安定だったのは、やはりタイヤと路面の縦溝の影響。ハッチバックも場所によりノーズが泳ぐ場合もあるが、基本的な接地性の確かさと直進安定性は欧州仕様がベター。
注目のパワーユニット、圧縮着火のスカイアクティブ-Xに試乗できるか!! と期待したが、まだお預け。日本仕様はG1.5LとG2.0LにD1.8LとXになる模様。 マツダと言えば現状Dに乗る事が多く、どうしてもターボディーゼルの分厚いトルク感がイメージされるため、今回試乗した2台は、エンジンの意味で美味しさはない。
日本車が弱いフロア剛性の高さ、静粛性の高さ、路面からの衝撃に対するサスとボディの質の高さなど、マツダ3は世界のライバルと対峙しても、かなりのレベルにありそうな感触を得て帰ってきた。現実はどうなのか!? その検証も楽しみだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。
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