【アウディ A8 新型試乗】「センチュリー」と比べてもソフトな乗り味に驚き…丸山誠
◆アウディA8とA8Lに同時試乗
アウディのフラッグシップセダン『A8』と、そのロングホイールベースモデルの『A8L』を同時に試乗することができた。Lは単にロングホイール化されただけでなく、最新のショーファーカーらしく仕立てられていた。
8年ぶりにフルモデルチェンジされた4代目も伝統のアウディスペースフレーム(ASF)を採用。Lは全長5300mmの長さで全幅ももう少しで大台に届く1945mmという堂々としたサイズだ。標準ボディでも全長5170mmだからかなり大きいが、威圧感があるように見えないのはすっきりとしたエクステリアデザインのおかけだろう。
試乗車はともに338kW/460psの4リットルV8ツインターボを搭載。最近のアウディのグレード名は出力別に数字が割り当てられるが、こちらは「60 TSFIクワトロ」。今回は試乗できなかったが3リットルV6ターボ(250kW/340ps)は、「55 TFSIクワトロ」と呼ばれる。現在はディーゼルの導入はなく、この2種類のガソリンエンジンを用意している。
◆「センチュリー」と比べてもソフトに感じる乗り味
試乗した2台はエンジンも同じで、駆動方式も前後不等分トルク配分のフルタイム4WDのクワトロと同じだが、乗り味は大きく異なっている。特に60km/h以下で走る低中速域ではLのソフトなサスペンションセッティングが印象的だ。このアダプティブエアサスペンションはあくまでもソフトな乗り心地を提供し、路面のジョイントなどによるショックを一切感じさせない。ヨーロッパ車としては異例なほどサスが締め上げられておらず、状況によってはピッチングを感じるほどソフトで快適な乗り心地だ。
これは国産ショーファーカー代表のトヨタ『センチュリー』と比べてもソフトに感じるほどのセッティング。これが日本仕様独自のセッティングなのかはわからないが、後席に座る人にとってはかなり快適と感じる人が多いだろう。ロングホイールベース車でも締め上げられたフラットライドなサスが好きという人もいるだろうが、このエアサスは北米市場や日本市場では歓迎されるに違いない。
もちろん、こうしたソフトな乗り心地は低中速域に限られ、速域が高まるにつれて大きなボディはフラットに保たれるようになる。それでもサスが固く感じることはなく、突き上げ感がない。標準ホイールベース車は低速域からダンピングが効いた乗り味で、明らかにサスセッティングが異なっている。タイヤは両車とも265/40R20という大径サイズだから、ほぼサスセッティングの違いによって乗り味を変えているというわけだ。
◆まさに先進技術のショーケース
このエアサスは進化を続けていて、今年導入予定のAIアクティブサスペンションはさらに複雑な制御を可能にする。レーザースキャナーとカメラセンサーなどで路面の凹凸を先読みし、サスペンションストロークをアクティブ制御するという。それも電気でAIアクティブサスを可能にするというのだ。
各4輪のサスには最大1100Nmを発生する電動式アクチュエーターとコントロールアームを連結。センシングしたデータからサスペンションストロークを決定し、ロールやピッチをアクティブに制御する。48Vバッテリーを採用するマイルドハイブリッドだから、こうした電気制御が可能になったともいえる。
さらにユニークなのはアクティブセーフティにも、ストローク可変型のサスを役立てていることだ。例えば、側面衝突が避けられないとセンサーが判断すると、衝突が予想される側のボディを80mm持ち上げることで、頑丈なサイドシルで衝突を受け止めることができる。
AIアクティブサスペンションや量産車世界初のレーザースキャナー採用など、先進技術のショーケースともいえるのが新型A8だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
アウディのフラッグシップセダン『A8』と、そのロングホイールベースモデルの『A8L』を同時に試乗することができた。Lは単にロングホイール化されただけでなく、最新のショーファーカーらしく仕立てられていた。
8年ぶりにフルモデルチェンジされた4代目も伝統のアウディスペースフレーム(ASF)を採用。Lは全長5300mmの長さで全幅ももう少しで大台に届く1945mmという堂々としたサイズだ。標準ボディでも全長5170mmだからかなり大きいが、威圧感があるように見えないのはすっきりとしたエクステリアデザインのおかけだろう。
試乗車はともに338kW/460psの4リットルV8ツインターボを搭載。最近のアウディのグレード名は出力別に数字が割り当てられるが、こちらは「60 TSFIクワトロ」。今回は試乗できなかったが3リットルV6ターボ(250kW/340ps)は、「55 TFSIクワトロ」と呼ばれる。現在はディーゼルの導入はなく、この2種類のガソリンエンジンを用意している。
◆「センチュリー」と比べてもソフトに感じる乗り味
試乗した2台はエンジンも同じで、駆動方式も前後不等分トルク配分のフルタイム4WDのクワトロと同じだが、乗り味は大きく異なっている。特に60km/h以下で走る低中速域ではLのソフトなサスペンションセッティングが印象的だ。このアダプティブエアサスペンションはあくまでもソフトな乗り心地を提供し、路面のジョイントなどによるショックを一切感じさせない。ヨーロッパ車としては異例なほどサスが締め上げられておらず、状況によってはピッチングを感じるほどソフトで快適な乗り心地だ。
これは国産ショーファーカー代表のトヨタ『センチュリー』と比べてもソフトに感じるほどのセッティング。これが日本仕様独自のセッティングなのかはわからないが、後席に座る人にとってはかなり快適と感じる人が多いだろう。ロングホイールベース車でも締め上げられたフラットライドなサスが好きという人もいるだろうが、このエアサスは北米市場や日本市場では歓迎されるに違いない。
もちろん、こうしたソフトな乗り心地は低中速域に限られ、速域が高まるにつれて大きなボディはフラットに保たれるようになる。それでもサスが固く感じることはなく、突き上げ感がない。標準ホイールベース車は低速域からダンピングが効いた乗り味で、明らかにサスセッティングが異なっている。タイヤは両車とも265/40R20という大径サイズだから、ほぼサスセッティングの違いによって乗り味を変えているというわけだ。
◆まさに先進技術のショーケース
このエアサスは進化を続けていて、今年導入予定のAIアクティブサスペンションはさらに複雑な制御を可能にする。レーザースキャナーとカメラセンサーなどで路面の凹凸を先読みし、サスペンションストロークをアクティブ制御するという。それも電気でAIアクティブサスを可能にするというのだ。
各4輪のサスには最大1100Nmを発生する電動式アクチュエーターとコントロールアームを連結。センシングしたデータからサスペンションストロークを決定し、ロールやピッチをアクティブに制御する。48Vバッテリーを採用するマイルドハイブリッドだから、こうした電気制御が可能になったともいえる。
さらにユニークなのはアクティブセーフティにも、ストローク可変型のサスを役立てていることだ。例えば、側面衝突が避けられないとセンサーが判断すると、衝突が予想される側のボディを80mm持ち上げることで、頑丈なサイドシルで衝突を受け止めることができる。
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パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
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