【ホンダ ヴェゼル ツーリング 試乗】車重を意識させない、一体感のある軽やかな身のこなし…片岡英明
2014年にデビューするや瞬く間にクラスナンバー1の販売を記録し、クロスオーバーSUVの代名詞になったのが『ヴェゼル』だ。18年2月には気合の入ったマイナーチェンジを実施している。フロントマスクを中心に化粧直しを行い、インテリアも質感を高めた。また、プリクラッシュブレーキや車線維持支援システム、アダプティブクルーズコントロールなど、8種の機能をセットにしたホンダセンシングも全車に標準装備としている。
そして2019年1月には待望のターボ搭載車を追加した。ヴェゼルとしては初となる直噴の1.5リットル直列4気筒DOHC・VTECターボエンジンを積み、走りの実力を大きく引き上げている。この「ツーリング」ホンダセンシングはボディ剛性を向上させ、専用のパフォーマンスダンパーやアジャイルハンドリングアシストも装備した。エキパイフィニッシャーは、左右2本出しだ。また、エクステリアには新色の「プレミアムクリスタルブルー・メタリック」と「スーパープラチナグレー・メタリック」を設定している。
◆HVモデルと比較試乗
18年末で累計販売台数が36万台を超えたヴェゼルの日本での主役となっているのがハイブリッド車だ。18年2月にシステムを大幅に進化させ、走りのポテンシャルを高めた。1.5Lの直噴DOHC・i-VTECエンジンは97kW/156Nm(132ps/15.9kg-m)を発生する。これに22kW/160Nm(29.5ps/16.3kg-m)のモーターを組み合わせた。トランスミッションは7速デュアルクラッチDCTだ。
スポーツハイブリッドi-DCDと呼ぶホンダ独自のハイブリッドシステムは、スポーティな味わいを強めている。きめ細かい改良とDCTのギア比、電子制御プログラムの変更によって気持ちいい走りを実現した。モーターの後押しによって発進から鋭い加速を見せるし、追い越しも俊足でこなす。低回転から力強いパワーフィールを身につけ、変速もリズミカルだ。滑るように滑らかな加速を披露し、モーター走行の領域も広がった。
スポーツモードを選べば、さらにパンチの効いた力強い加速が可能だ。多人数乗車、坂道でも余裕がある。また、スムースさと静粛性もガソリンエンジンの一歩上を行く。ボディなどに制振材を追加し、遮音材を最適配置した効果は絶大だ。走行時のノイズは低い。タイヤのパターンノイズが耳障りと感じるほど静かになっている。
最新モデルはインパネパッドやセンターコンソール、ドアトリムに加え、シートもブラウンにし、上質感を高めた。フロントシートの形状を変えているため、走行時のサポート性も向上している。スポーティな走りでもフィットし、体を上手に支えてくれた。スマートフォン連動でナビや音楽の再生ができるなど、インフォテイメント性が向上したのもうれしい改良だ。
◆ホットな走りでもロールを上手に抑え込む
1.5LのL15B型直列4気筒DOHC・VTECターボ搭載を積む「ツーリング」は127kW/220Nm(172ps/22.4kg-m)を発生する。ターボによってポテンシャルを高めたL15B型エンジンは高回転まで軽やかに回り、レスポンスも鋭い。CVTのため、発進の最初はちょっとパンチ不足を感じるが、1500回転を超えたあたりからターボのアシストによって冴えた加速を見せつけた。
そこから上のパワー感とトルク感も文句なしだ。6000回転手前まで気持ちいいパワーフィーリングが持続し、追い越しも俊敏にこなす。パドルシフトを使えば、さらに痛快な加速と俊敏な減速を行うことができる。加速時はエンジン音が高まるが、クルージング時は静粛性も高いレベルにあった。アイドリングストップの作動も違和感のない仕上がりとなっている。
ハンドリングは、ハイブリッド車が快適性を重視したセッティング、FF車だけを設定する「ツーリング」はスポーティな味わいを強く打ち出した。ボディを補強し、専用のスポーツサスペンションを採用した「ツーリング」は、225/50R18サイズのワイドタイヤを履くこともあり、上屋の重さを意識させない、一体感のある軽やかな身のこなしを見せている。感激したのは、ボディまわりがしっかりし、これが正確なハンドリングに大きく寄与していたことだ。ホットな走りでもロールを上手に抑え込み、コントロールしやすい。
アジャイルハンドリングアシストの採用により、気持ちよくクルマの向きが変わるし、タイトコーナーでの身のこなしも軽やかだった。また、ブレーキング時のノーズの沈み込みも上手に抑え込んでいる。走りの質感が大幅に高められているだけでなく、ドアの閉まり音もよくなるなど、プレミアム感も高められた。ただし、乗り心地は硬質だ。荒れた路面では突き上げを感じる。
ハイブリッド車の「Z」は「ツーリング」ほどの爽快感な走りではない。が、素直なハンドリングと優れたコントロール性を身につけ、街中を流す走りでも意のままに走らせることができる。乗り心地は突き上げ感に気を遣っているが、前席と比べると後席はちょっと乗り心地が硬いと感じた。高速道路で重宝する追従クルーズコントロールは、かなり賢くなっている。リアルタイム4WDも滑りやすい路面で優れたトラクション性能を見せ、安心感があった。きめ細かい改良と小気味よい走りの「ツーリング」の設定により、最新のヴェゼルは魅力度をアップしている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 片岡英明)
そして2019年1月には待望のターボ搭載車を追加した。ヴェゼルとしては初となる直噴の1.5リットル直列4気筒DOHC・VTECターボエンジンを積み、走りの実力を大きく引き上げている。この「ツーリング」ホンダセンシングはボディ剛性を向上させ、専用のパフォーマンスダンパーやアジャイルハンドリングアシストも装備した。エキパイフィニッシャーは、左右2本出しだ。また、エクステリアには新色の「プレミアムクリスタルブルー・メタリック」と「スーパープラチナグレー・メタリック」を設定している。
◆HVモデルと比較試乗
18年末で累計販売台数が36万台を超えたヴェゼルの日本での主役となっているのがハイブリッド車だ。18年2月にシステムを大幅に進化させ、走りのポテンシャルを高めた。1.5Lの直噴DOHC・i-VTECエンジンは97kW/156Nm(132ps/15.9kg-m)を発生する。これに22kW/160Nm(29.5ps/16.3kg-m)のモーターを組み合わせた。トランスミッションは7速デュアルクラッチDCTだ。
スポーツハイブリッドi-DCDと呼ぶホンダ独自のハイブリッドシステムは、スポーティな味わいを強めている。きめ細かい改良とDCTのギア比、電子制御プログラムの変更によって気持ちいい走りを実現した。モーターの後押しによって発進から鋭い加速を見せるし、追い越しも俊足でこなす。低回転から力強いパワーフィールを身につけ、変速もリズミカルだ。滑るように滑らかな加速を披露し、モーター走行の領域も広がった。
スポーツモードを選べば、さらにパンチの効いた力強い加速が可能だ。多人数乗車、坂道でも余裕がある。また、スムースさと静粛性もガソリンエンジンの一歩上を行く。ボディなどに制振材を追加し、遮音材を最適配置した効果は絶大だ。走行時のノイズは低い。タイヤのパターンノイズが耳障りと感じるほど静かになっている。
最新モデルはインパネパッドやセンターコンソール、ドアトリムに加え、シートもブラウンにし、上質感を高めた。フロントシートの形状を変えているため、走行時のサポート性も向上している。スポーティな走りでもフィットし、体を上手に支えてくれた。スマートフォン連動でナビや音楽の再生ができるなど、インフォテイメント性が向上したのもうれしい改良だ。
◆ホットな走りでもロールを上手に抑え込む
1.5LのL15B型直列4気筒DOHC・VTECターボ搭載を積む「ツーリング」は127kW/220Nm(172ps/22.4kg-m)を発生する。ターボによってポテンシャルを高めたL15B型エンジンは高回転まで軽やかに回り、レスポンスも鋭い。CVTのため、発進の最初はちょっとパンチ不足を感じるが、1500回転を超えたあたりからターボのアシストによって冴えた加速を見せつけた。
そこから上のパワー感とトルク感も文句なしだ。6000回転手前まで気持ちいいパワーフィーリングが持続し、追い越しも俊敏にこなす。パドルシフトを使えば、さらに痛快な加速と俊敏な減速を行うことができる。加速時はエンジン音が高まるが、クルージング時は静粛性も高いレベルにあった。アイドリングストップの作動も違和感のない仕上がりとなっている。
ハンドリングは、ハイブリッド車が快適性を重視したセッティング、FF車だけを設定する「ツーリング」はスポーティな味わいを強く打ち出した。ボディを補強し、専用のスポーツサスペンションを採用した「ツーリング」は、225/50R18サイズのワイドタイヤを履くこともあり、上屋の重さを意識させない、一体感のある軽やかな身のこなしを見せている。感激したのは、ボディまわりがしっかりし、これが正確なハンドリングに大きく寄与していたことだ。ホットな走りでもロールを上手に抑え込み、コントロールしやすい。
アジャイルハンドリングアシストの採用により、気持ちよくクルマの向きが変わるし、タイトコーナーでの身のこなしも軽やかだった。また、ブレーキング時のノーズの沈み込みも上手に抑え込んでいる。走りの質感が大幅に高められているだけでなく、ドアの閉まり音もよくなるなど、プレミアム感も高められた。ただし、乗り心地は硬質だ。荒れた路面では突き上げを感じる。
ハイブリッド車の「Z」は「ツーリング」ほどの爽快感な走りではない。が、素直なハンドリングと優れたコントロール性を身につけ、街中を流す走りでも意のままに走らせることができる。乗り心地は突き上げ感に気を遣っているが、前席と比べると後席はちょっと乗り心地が硬いと感じた。高速道路で重宝する追従クルーズコントロールは、かなり賢くなっている。リアルタイム4WDも滑りやすい路面で優れたトラクション性能を見せ、安心感があった。きめ細かい改良と小気味よい走りの「ツーリング」の設定により、最新のヴェゼルは魅力度をアップしている。
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