【ランボルギーニ ウラカン・ペルフォマンテ 試乗】使いきれないパフォーマンスの前に、あえなく惨敗…中村孝仁
◆ウラカンは乗りやすいスポーツカーか
つい先月に書いたアウディ『R8』のレポートの中で、「残念ながらウラカンには乗ったことがないので、あれこれ言える立場にはない」と書いた。それからひと月もたたないうちに、その『ウラカン』の試乗が叶った。
その原稿の中で「恐らくウラカンも乗り易いスポーツカーになっていること間違いなしだ。」とも書いた。それはやはり当たっていた。極めて先鋭的なスタイルを持ちながら、『ウラカン・ペルフォマンテ』は普通に乗る限り、とても乗り易い。あくまでもアクセルにちょいと足を乗せて、そこそこのスピードでという条件が付く。
とにかく初めて乗るクルマだったので、色々とレクチャーを受けての試乗開始だ。普通のクルマとちょっと違うのは、シフトにDが無いこと。つまり走り始めるのにセレクターを操作するのではなく、パドルを操作しなくてはならないこと。戸惑いの第1歩である。次にウィンカーレバーがないこと。これはステアリング上に付く小さなスイッチによって行いキャンセルはノブを押すこと。普通のクルマに慣れ切っている身では、たったこれだけのことでも試乗の間に3度ほど間違えた。とまあ、変わっているのはそんな程度である。
◆「コルサ」での走行はやめておいた
ステアリングにはもう一つ重要なスイッチが付く。それが走行モード切り替えのスイッチで、3本スポークの一番下に付く。赤いノブを上下させることによって、ストラーダ、スポーツ、コルサをチョイスできる。ただし、コルサでの走行はやめておいた。
ひとつはコルサにした時のエクゾーストサウンドがとんでもなくけたたましいということを知っていたことと、640psを解放されてしまってもそう簡単にコントロールできるものでもないし、下手にアクセルを踏み込もうものなら、直線でもスピンするかもしれない恐怖があったから。もっと言えば、街中のスピード域でコルサにしたところでさぞつまらなかろうという、まあ一つの言い訳である。それに、ランボルギーニの人からコルサはやめておいた方がいいですよ、という御忠告もいただいていたし。
ドイツの某誌によれば、ストラーダにしておけば街中を静かに走ることが出来ると書いていた。実際その通りで、この状況ではほとんど何も起きず。するするとシフトアップして行けば、まさに兄弟車のアウディR8を彷彿させる楽ちんな走りが可能であった。因みに例のDを持たないDCTは、最初にパドルを操作してギアを入れて走ればそのままオートモードになる。しかし一度でもパドルに触ると、今度は自動的にマニュアルモードに入ってしまい、Dには戻らない。という二者択一方式だから、初めからどう走るかは決めてスタートした方が良かろう。勿論一度止まって初めからやり直せばよいから、信号待ちなどでそれを変えることはできる。
さて、少し慣れてきたところで、ストラーダからスポーツにモードを切り替えた。その瞬間背後のV10サウンドは明らかに変化し、アクセルを踏むと相当なサウンドをまき散らしながら走るスポーツカーに変身した。レスポンスも俄然よくなっているし、まさしくどう猛さが牙をむいたという雰囲気である。やはりコルサを試すのはここでは無理だと悟った次第。今や、ホイールにへばりつくような30の扁平率を持つタイヤでも、その乗り心地は十分に快適の範囲を逸脱していない。このあたりは凄いとしか言いようがない。
◆2面性どころか3面性を持ったクルマである
ルーフはボタン一つで簡単に開閉が可能で、当然ながらオープンにして走行した。寒空だったが、V10サウンドを聞くには絶好だし、その魅力を余すところなくドライバーに伝えてくれる。前が少しだけ空いたので、ちょいとアクセルを深く踏み込んでみた。するとまさに背中をけ飛ばされた感で、とんでもない勢いで加速する。思わずひぇー!と叫びたくなった瞬間だ。ストラーダとスポーツでもこの違い。さらにコルサにしたら一体何が起きるのか。まさに2面性どころか3面性を持ったクルマである。
ペルフォマンテの由来はその性能アップのみならず、軽量化からも来ている。とにかく目につく至る所に、これまでに見たこともないようなマーブル模様のフォージドカーボンが採用されている。この素材、今得られる最強かつ最軽量の素材で、フランスの航空機メーカーが登録商標にしているらしい。時計メーカーのオーディマピゲが、この素材を使った時計を発表して名が知られるようになったようであるが、その模様はまるで石!綺麗というイメージを突き抜けた硬質感がある。
他にもこのクルマについて語るべきは山ほどあるのだが、まあそうは言っても全然使いきれないパフォーマンスの前にあえなく惨敗したということにしようと思う。久々に凄いクルマに乗った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
つい先月に書いたアウディ『R8』のレポートの中で、「残念ながらウラカンには乗ったことがないので、あれこれ言える立場にはない」と書いた。それからひと月もたたないうちに、その『ウラカン』の試乗が叶った。
その原稿の中で「恐らくウラカンも乗り易いスポーツカーになっていること間違いなしだ。」とも書いた。それはやはり当たっていた。極めて先鋭的なスタイルを持ちながら、『ウラカン・ペルフォマンテ』は普通に乗る限り、とても乗り易い。あくまでもアクセルにちょいと足を乗せて、そこそこのスピードでという条件が付く。
とにかく初めて乗るクルマだったので、色々とレクチャーを受けての試乗開始だ。普通のクルマとちょっと違うのは、シフトにDが無いこと。つまり走り始めるのにセレクターを操作するのではなく、パドルを操作しなくてはならないこと。戸惑いの第1歩である。次にウィンカーレバーがないこと。これはステアリング上に付く小さなスイッチによって行いキャンセルはノブを押すこと。普通のクルマに慣れ切っている身では、たったこれだけのことでも試乗の間に3度ほど間違えた。とまあ、変わっているのはそんな程度である。
◆「コルサ」での走行はやめておいた
ステアリングにはもう一つ重要なスイッチが付く。それが走行モード切り替えのスイッチで、3本スポークの一番下に付く。赤いノブを上下させることによって、ストラーダ、スポーツ、コルサをチョイスできる。ただし、コルサでの走行はやめておいた。
ひとつはコルサにした時のエクゾーストサウンドがとんでもなくけたたましいということを知っていたことと、640psを解放されてしまってもそう簡単にコントロールできるものでもないし、下手にアクセルを踏み込もうものなら、直線でもスピンするかもしれない恐怖があったから。もっと言えば、街中のスピード域でコルサにしたところでさぞつまらなかろうという、まあ一つの言い訳である。それに、ランボルギーニの人からコルサはやめておいた方がいいですよ、という御忠告もいただいていたし。
ドイツの某誌によれば、ストラーダにしておけば街中を静かに走ることが出来ると書いていた。実際その通りで、この状況ではほとんど何も起きず。するするとシフトアップして行けば、まさに兄弟車のアウディR8を彷彿させる楽ちんな走りが可能であった。因みに例のDを持たないDCTは、最初にパドルを操作してギアを入れて走ればそのままオートモードになる。しかし一度でもパドルに触ると、今度は自動的にマニュアルモードに入ってしまい、Dには戻らない。という二者択一方式だから、初めからどう走るかは決めてスタートした方が良かろう。勿論一度止まって初めからやり直せばよいから、信号待ちなどでそれを変えることはできる。
さて、少し慣れてきたところで、ストラーダからスポーツにモードを切り替えた。その瞬間背後のV10サウンドは明らかに変化し、アクセルを踏むと相当なサウンドをまき散らしながら走るスポーツカーに変身した。レスポンスも俄然よくなっているし、まさしくどう猛さが牙をむいたという雰囲気である。やはりコルサを試すのはここでは無理だと悟った次第。今や、ホイールにへばりつくような30の扁平率を持つタイヤでも、その乗り心地は十分に快適の範囲を逸脱していない。このあたりは凄いとしか言いようがない。
◆2面性どころか3面性を持ったクルマである
ルーフはボタン一つで簡単に開閉が可能で、当然ながらオープンにして走行した。寒空だったが、V10サウンドを聞くには絶好だし、その魅力を余すところなくドライバーに伝えてくれる。前が少しだけ空いたので、ちょいとアクセルを深く踏み込んでみた。するとまさに背中をけ飛ばされた感で、とんでもない勢いで加速する。思わずひぇー!と叫びたくなった瞬間だ。ストラーダとスポーツでもこの違い。さらにコルサにしたら一体何が起きるのか。まさに2面性どころか3面性を持ったクルマである。
ペルフォマンテの由来はその性能アップのみならず、軽量化からも来ている。とにかく目につく至る所に、これまでに見たこともないようなマーブル模様のフォージドカーボンが採用されている。この素材、今得られる最強かつ最軽量の素材で、フランスの航空機メーカーが登録商標にしているらしい。時計メーカーのオーディマピゲが、この素材を使った時計を発表して名が知られるようになったようであるが、その模様はまるで石!綺麗というイメージを突き抜けた硬質感がある。
他にもこのクルマについて語るべきは山ほどあるのだが、まあそうは言っても全然使いきれないパフォーマンスの前にあえなく惨敗したということにしようと思う。久々に凄いクルマに乗った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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