【スバル フォレスター 雪上試乗】e-BOXERで進化した制御を“スバルAWDの故郷”で味わう…丸山誠
◆スバルAWDの故郷で最新AWDに試乗
春だというのに雪上試乗? と思う方も多いだろうが、毎年この時期に雪道での記事が多いのには理由がある。多くの自動車メーカーやタイヤメーカーは、1月中旬から2月中旬の雪上試乗会を開催するからだ。
定番の試乗会開催地は北海道。暖冬でも確実に雪道があるため主催者側としては、スケジュールを立てやすい。だが、スバルは昨年の青森・岩手に続いて、今年は山形で雪上試乗会を開催した。昨年は最深雪ランキング1位の酸ヶ湯(566cm)を選び、今年は2位の山形・肘折(445cm)を通るルートを設定。肘折の記録は2018年に記録したもので、直近でもっとも積雪があった場所を選んだというわけだ。
スバルはご存じのとおり、水平対向エンジンとAWD(4WD)を特徴とするメーカー。そこで雪道の走破性はもちろん、操縦安定性の高さを大自然のなかで体感してもらおうというのだ。そして、山形を選んだ理由はもう1つある。スバルが47年前に国産初の乗用4WDの試験を行ったのが山形の月山だった。スバルAWDの故郷で最新AWDに試乗してもらいたいという思いもあったようだ。
我々のドライブルートは山形市内から肘折や月山を通過して、おいしい庄内空港に向かう。試乗車に選んだのは『フォレスター』のアドバンスだ。2リットル直噴エンジン、トランスミッション後方に搭載されたコンパクトなモーターを持つハイブリッド。もちろんシンメトリカルAWDレイアウトで、スバルがe-BOXER(e-ボクサー)と呼ぶハイブリッドシステム。発進時や低速走行時にEVできるが、どちらかというとマイルドハイブリッドに近い。
◆e-BOXERの応答性が安定した走りにつながっている
山形市内は、道路にほとんど雪がなく、乾燥路面だったが、肘折に向けて山道を進むと路面にシャーベット状の雪が増え始め、次第に轍(わだち)が深くなってくる。雪道を走り慣れた人なら知っていると思うが、轍がシャーベット状に固まっていたり、凍結しているときの進路変更はクルマが姿勢を乱しやすい。
フロントタイヤが轍を乗り越えたと思っても、リヤタイヤが追従しなくてフラフラすることが多いが、フォレスターはシャーベットが混じる轍をまったく感じさせないほど姿勢が乱れない。轍があってもステアリングを切るだけでスムーズに進路変更ができるため安心感が高い。AWDであることで安定性を高めているが、高応答のモーターを使ったe-ボクサーのAWDであることも姿勢制御の安定性につながっている。
肘折の積雪は思ったほどではなかったが、月山に向かうにつれてどんどんと雪深くなった。場所によっては、クルマの横に3mくらいの雪壁ができていて、樹木は着雪によって枝がしなっている。白銀の世界だ。除雪がされているため路面は圧雪状態が多いが、厄介なのが降り積もった雪の下がアイスバーンになっている箇所。
e-ボクサーは、こうした滑りやすい路面でのアンダーステアを防止するため旋回中、フロントタイヤの制動力を制御する。これは従来のスバルのハイブリッドAWDにはない制御で、e-ボクサーから搭載されている。フロントタイヤのスリップを防止するため回生に合わせてフロントの制動力をコントーロールして旋回力を確保。その分制動トルクをリヤタイヤに配分して安定性を高めながらフロントタイヤに旋回する仕事をしっかりさせている。
◆モーターの力を得て、より緻密な制御が可能に
下りでところどころアイスバーンが露出している道をコーナリングしてもアンダーステアが少なく、かつブレーキコントロールがとてもしやすい。ドライバーの意思どおりに減速して曲がってくれるというのが、スノードライブでの大きな安心感につながる要因だ。
スバル独自の駆動制御のXモードは、雪道や砂利道など滑りやすい道を走行するための「SNOW・DIRT」モードを設定しているが、ノーマルのままでも高い安心感が得られた。今回は深い新雪にアタックするような場所がなかったが「DEEP SNOW・MUD」モードを選べば、厳しい環境下でも最適な駆動力が得られる。
フォレスターのe-ボクサーは雪道での安定性に優れていて、発進時にもノーマルガソリン車よりもモーターが素早く駆動力発揮するため、滑りやすい路面での発進加速性能もいい。月山で誕生したスバルAWDはモーターの力を得て、より緻密な制御が可能になった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
春だというのに雪上試乗? と思う方も多いだろうが、毎年この時期に雪道での記事が多いのには理由がある。多くの自動車メーカーやタイヤメーカーは、1月中旬から2月中旬の雪上試乗会を開催するからだ。
定番の試乗会開催地は北海道。暖冬でも確実に雪道があるため主催者側としては、スケジュールを立てやすい。だが、スバルは昨年の青森・岩手に続いて、今年は山形で雪上試乗会を開催した。昨年は最深雪ランキング1位の酸ヶ湯(566cm)を選び、今年は2位の山形・肘折(445cm)を通るルートを設定。肘折の記録は2018年に記録したもので、直近でもっとも積雪があった場所を選んだというわけだ。
スバルはご存じのとおり、水平対向エンジンとAWD(4WD)を特徴とするメーカー。そこで雪道の走破性はもちろん、操縦安定性の高さを大自然のなかで体感してもらおうというのだ。そして、山形を選んだ理由はもう1つある。スバルが47年前に国産初の乗用4WDの試験を行ったのが山形の月山だった。スバルAWDの故郷で最新AWDに試乗してもらいたいという思いもあったようだ。
我々のドライブルートは山形市内から肘折や月山を通過して、おいしい庄内空港に向かう。試乗車に選んだのは『フォレスター』のアドバンスだ。2リットル直噴エンジン、トランスミッション後方に搭載されたコンパクトなモーターを持つハイブリッド。もちろんシンメトリカルAWDレイアウトで、スバルがe-BOXER(e-ボクサー)と呼ぶハイブリッドシステム。発進時や低速走行時にEVできるが、どちらかというとマイルドハイブリッドに近い。
◆e-BOXERの応答性が安定した走りにつながっている
山形市内は、道路にほとんど雪がなく、乾燥路面だったが、肘折に向けて山道を進むと路面にシャーベット状の雪が増え始め、次第に轍(わだち)が深くなってくる。雪道を走り慣れた人なら知っていると思うが、轍がシャーベット状に固まっていたり、凍結しているときの進路変更はクルマが姿勢を乱しやすい。
フロントタイヤが轍を乗り越えたと思っても、リヤタイヤが追従しなくてフラフラすることが多いが、フォレスターはシャーベットが混じる轍をまったく感じさせないほど姿勢が乱れない。轍があってもステアリングを切るだけでスムーズに進路変更ができるため安心感が高い。AWDであることで安定性を高めているが、高応答のモーターを使ったe-ボクサーのAWDであることも姿勢制御の安定性につながっている。
肘折の積雪は思ったほどではなかったが、月山に向かうにつれてどんどんと雪深くなった。場所によっては、クルマの横に3mくらいの雪壁ができていて、樹木は着雪によって枝がしなっている。白銀の世界だ。除雪がされているため路面は圧雪状態が多いが、厄介なのが降り積もった雪の下がアイスバーンになっている箇所。
e-ボクサーは、こうした滑りやすい路面でのアンダーステアを防止するため旋回中、フロントタイヤの制動力を制御する。これは従来のスバルのハイブリッドAWDにはない制御で、e-ボクサーから搭載されている。フロントタイヤのスリップを防止するため回生に合わせてフロントの制動力をコントーロールして旋回力を確保。その分制動トルクをリヤタイヤに配分して安定性を高めながらフロントタイヤに旋回する仕事をしっかりさせている。
◆モーターの力を得て、より緻密な制御が可能に
下りでところどころアイスバーンが露出している道をコーナリングしてもアンダーステアが少なく、かつブレーキコントロールがとてもしやすい。ドライバーの意思どおりに減速して曲がってくれるというのが、スノードライブでの大きな安心感につながる要因だ。
スバル独自の駆動制御のXモードは、雪道や砂利道など滑りやすい道を走行するための「SNOW・DIRT」モードを設定しているが、ノーマルのままでも高い安心感が得られた。今回は深い新雪にアタックするような場所がなかったが「DEEP SNOW・MUD」モードを選べば、厳しい環境下でも最適な駆動力が得られる。
フォレスターのe-ボクサーは雪道での安定性に優れていて、発進時にもノーマルガソリン車よりもモーターが素早く駆動力発揮するため、滑りやすい路面での発進加速性能もいい。月山で誕生したスバルAWDはモーターの力を得て、より緻密な制御が可能になった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
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