【トヨタ プロボックス/サクシード 新型試乗】ハイブリッド化でさらに扱いやすくなった…渡辺陽一郎
◆ハイブリッドを手に入れた「プロサク」
トヨタの『プロボックス』&『サクシード』は、今では珍しいボンネットを備えた商用バンだ。荷室の広さは『ハイエース』などのワンボックスバンにかなわないが、水平基調のボディは視界が良く、視線の位置が低いから背の低い障害物も発見しやすい。ボンネットが少し視野に入るから、車幅やボディ先端の位置も分かりやすい。
このように商用バンは運転感覚が親しみやすいため、荷物を積まずに営業活動に使われたり、長距離を走ることも多い。そこでハイブリッドを追加した。
◆全般的にスムーズで、扱いやすくなった
ハイブリッドシステムは『アクア』や『シエンタ』と同じ1.5リットルエンジンをベースにしたタイプで、駆動用電池が充電された状態であれば、モーター駆動のみで発進する。モーターは力強く加速も滑らかだが、遮音が不十分だから、発進後にエンジンが始動した時は少し騒がしい。
それでも巡航中にアクセルペダルを踏み増した時など、モーターの駆動力が素早く立ち上がってエンジンの駆動力を支援する。走りが全般的にスムーズで、扱いやすくなった。
操舵感には古さを感じる(プロボックス&サクシードの発売は2002年に遡る)。ハンドルを回し始めた時の反応も曖昧で、車両の向きが変わりにくい。
もっともこれを機敏にすると、挙動の変化も大きくなって、別の不満が生じるだろう。操舵感から安定性まで幅広く高めるには、プラットフォームから刷新せねばならない。そこまで考えると、現状でも走りのバランスは取れている。
◆商用なら5~6年で差額を取り戻せる
そして価格が割安だ。『カローラ』やシエンタでは、1.5リットルハイブリッドの価格上昇を約35万円としたが、プロボックス&サクシードは、オートエアコンの装着も考慮すると実質25万5000円でハイブリッドが搭載される。前述の遮音を省いた代わりに、価格の上乗せも安く抑えた。
ガソリン価格が1リットル当たり145円、実用燃費がJC08モードの85%で計算すると、25万5000円の実質価格差を燃料代の差額で取り戻せるのは10万kmを走った頃だ。商用車なら5~6年で達成することもあるだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★
渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。
(レスポンス 渡辺陽一郎)
トヨタの『プロボックス』&『サクシード』は、今では珍しいボンネットを備えた商用バンだ。荷室の広さは『ハイエース』などのワンボックスバンにかなわないが、水平基調のボディは視界が良く、視線の位置が低いから背の低い障害物も発見しやすい。ボンネットが少し視野に入るから、車幅やボディ先端の位置も分かりやすい。
このように商用バンは運転感覚が親しみやすいため、荷物を積まずに営業活動に使われたり、長距離を走ることも多い。そこでハイブリッドを追加した。
◆全般的にスムーズで、扱いやすくなった
ハイブリッドシステムは『アクア』や『シエンタ』と同じ1.5リットルエンジンをベースにしたタイプで、駆動用電池が充電された状態であれば、モーター駆動のみで発進する。モーターは力強く加速も滑らかだが、遮音が不十分だから、発進後にエンジンが始動した時は少し騒がしい。
それでも巡航中にアクセルペダルを踏み増した時など、モーターの駆動力が素早く立ち上がってエンジンの駆動力を支援する。走りが全般的にスムーズで、扱いやすくなった。
操舵感には古さを感じる(プロボックス&サクシードの発売は2002年に遡る)。ハンドルを回し始めた時の反応も曖昧で、車両の向きが変わりにくい。
もっともこれを機敏にすると、挙動の変化も大きくなって、別の不満が生じるだろう。操舵感から安定性まで幅広く高めるには、プラットフォームから刷新せねばならない。そこまで考えると、現状でも走りのバランスは取れている。
◆商用なら5~6年で差額を取り戻せる
そして価格が割安だ。『カローラ』やシエンタでは、1.5リットルハイブリッドの価格上昇を約35万円としたが、プロボックス&サクシードは、オートエアコンの装着も考慮すると実質25万5000円でハイブリッドが搭載される。前述の遮音を省いた代わりに、価格の上乗せも安く抑えた。
ガソリン価格が1リットル当たり145円、実用燃費がJC08モードの85%で計算すると、25万5000円の実質価格差を燃料代の差額で取り戻せるのは10万kmを走った頃だ。商用車なら5~6年で達成することもあるだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★
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1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。
(レスポンス 渡辺陽一郎)
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