【ホンダ インサイト 新型試乗】モーター走行を主体とした胸のすくような加速を味わえる…工藤貴宏

ホンダ インサイト 新型
新しい『インサイト』の走りにおいてなにより特筆すべきは、爽快な加速を楽しめることだ。「ハイブリッドカーは加速のフィーリングが良くない」と感じている人が少なくないかもしれないが、それは『プリウス』などで世の中に多く普及しているトヨタ式のハイブリッド(THS II)の印象だろう。

加速感は搭載するハイブリッドシステムにより大きな違いがあり、インサイトの「スポーツ・ハイブリッド i-MMD(インテリジェント・マルチ・モード・ドライブ)」は、日常領域においてはモーター走行を主体とした胸のすくような加速を味わえるのだ。電気自動車やや、スムーズな加速感が評判の日産「e-POWER」と同じ心地よさである。特に、走行モードをダイレクト感の強い「スポーツ」にすると、鋭さをさらに楽しめる。

ただ、改良して欲しいと感じたのはエンジンがかかった時の「エンジンの存在感」。エンジン始動と同時に、「ちゃーんとかかっていますからね」とでも言いたげに存在を主張し、モーター走行におけるせっかくのピュアな感覚が音や振動などの雑味で失われてしまうのだ。加速感が素晴らしいだけに、それが惜しい。

組み合わせるエンジンは1.5L。同じハイブリッドシステムに2.0Lエンジンを組み合わせる『ステップワゴン』や『アコード』は、もっとエンジンの存在感がなくてスッキリしていたのに…と思って技術者に尋ねたところ、「振動に関しては、1.5Lエンジンは(2.0Lには採用している)バランサーを省いている影響があると思います」とのこと。コストとの兼ね合いもあるのだろうが…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

工藤貴宏|モータージャーナリスト
小学校高学年から自動車雑誌を読みはじめ、1日でも早く運転したくて18歳誕生日の翌日には仮免許を取得したクルマ好き。大学在学中から自動車雑誌でアルバイトを始め、自動車専門誌編集部在籍後、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。愛車はフランス製ホットハッチと、ディーゼルエンジンを積んだSUV。

(レスポンス 工藤貴宏)

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