【日産 デイズ 新型試乗】意地悪な私だって、いいものはちゃんと褒めるのだ…岩貞るみこ
◆運転支援技術が必須アイテムとなった時代の軽
軽自動車がファーストカーになる流れが止まらない。若者のクルマ離れと言われるけれど、おじさんたちだってクルマには乗るけれど、クルマにバブル時代と同じような夢や憧れは抱かず、抱いたとしても行動には移さなくなっている。その結果が、軽自動車ファースト。もう、クルマで自分の価値を誇示する時代ではないのだ。
一方、軽自動車を作る方も、昔の価格一本勝負から、遊び心勝負になり、そして今や高齢社会と安全安心へのこだわりから安全支援システム装備で勝負をかけるようになってきた。ダイハツが軽自動車初の被害軽減ブレーキを装着したときは、あまりの注目のなさ、売れなさっぷりにカタログにも載せなかったのにね。
運転支援技術がクルマの必須アイテムとなった今、大きく舵を切ったのが日産『デイズ』である。まあまあ、まあまあ! と、装備を確認するたびに声が出るほどの充実ぶりで、高速道路で車線中央を維持できるようアシスト(あくまでもアシスト!)するプロパイロットも選択できる。さらに、車両に衝撃が加わるとドクターヘリの要請に結びつくD-Call Netまで網羅する(D-Call Netについては、4月11日付けの『岩貞るみこの人道車医』を参照)SOSコールまで選べる。このあたりは、高級車並みの手厚さである。
ここまで舵を振り切れるのは、日産だからだ。日産が持つ乗用車ユーザーから購買層を取り込めるし、逆に日産ブランドだからこそ期待されている部分もある。
◆「自分の居場所が決まる」運転席
デイズの運転席に座ると、まず広い。天井が高いうえにインテリアは広く見える工夫もあるから当然なのだけれど、その割に、上半身の身の置きどころがないような不安感がまるでない。上質なシートの仕立てや背もたれのフィット感もあるけれど、シフトレバーにすっと手が届き、自分の居場所が決まることが、不安を感じない一因だと思う。
左右のサイドミラーとAピラー(フロントウィンドーの窓枠)のあいだには隙間があり、まわりが見えやすいように考えられている。左側のサイドミラーは、Aピラーとのあいだにこの隙間を作るため、右側に比べて30mmちょっと後ろに下げたというけれど、外から見ただけでは言われないと気づかないし、言われたって気づかないくらいだ。
そして、軽自動車には必須のユーティリティボックスもあちこちにあり、細々としたものを整理できる。シフトレバーの脇にあるエアコンの風量を示す表示がこんなに大きい必要があるのかと(しかもいわゆる一等地に)、せこい私は思うけれど、白い表示はデザインとしてきれいだから、ま、いっか。
唯一、残念なのは、軽自動車につきものの「ハンドル遠い説」が、デイズでも解決できなかったことだ。衝突安全性などのからみで、この位置、このやり方しかないのは、わかっているけれど、衝突時の安全性と普段使いのバランスをもう少し、いや、車両価格にある程度上乗せできる(であろう)日産の軽自動車だからこそ、トライして欲しかった。
◆運転が雑な私の、高評価はブレーキである
ロングドライブを見越して静粛性も調整したというだけあって、特にターボ搭載車は、高速の料金所から一気に加速する際、60km/hくらいまでのエンジン音がとても静か。耳への疲労感が少ないのだ。もう一台、試乗したスマートシンプル・ハイブリッドは、同じ条件で走るとターボアシストがないぶん、音量が高めになるし、3気筒エンジンの音に慣れていないと、がっかり感があるけれど、アクセルを踏んだ加速感と音がうまくリンクしているので走りとしては心地よい。
運転が雑な私の、高評価はブレーキである。止まりきる最後の瞬間、いつも前のめりにかっくんと止まって叱られることが多いのだが(誰に?)、これは、かっくんしない! いや、するっちゃするけれど、いつもの叱られるレベルとは段違いに違うのである。これは、ありがたい。ついでに、ペダルを踏み込んだときの角度が、靴のかかとが地べたにつきにくいように踏みやすく調整されているので操作しやすいし、実に女性向きといえる。だって、淡い色の靴のかかとが汚れるの、いやなんだもの。
後部座席も広いし、乗り降りするときのサイドシル(ドアの開口部の敷居みたいなところ)が平になっていて足をかけやすく乗り降りしやすいし、ラゲッジスペースの容量を増やすために、後ろから後部座席を簡単に前にスライドさせられるし、徹底的にユーザーニーズを掘り起こして対応している感じ。なんだかタイアップみたいな原稿になっちゃったけれど、違うからね。いつもは意地悪な私だって、いいものはちゃんと褒めるのだ。
ここ数年、日産は製品とは違うところで注目されることが多いけれど、開発者も商品企画担当者も、現場はコツコツがんばっているのが証明されて、ちょっとうれしいです。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。
(レスポンス 岩貞るみこ)
軽自動車がファーストカーになる流れが止まらない。若者のクルマ離れと言われるけれど、おじさんたちだってクルマには乗るけれど、クルマにバブル時代と同じような夢や憧れは抱かず、抱いたとしても行動には移さなくなっている。その結果が、軽自動車ファースト。もう、クルマで自分の価値を誇示する時代ではないのだ。
一方、軽自動車を作る方も、昔の価格一本勝負から、遊び心勝負になり、そして今や高齢社会と安全安心へのこだわりから安全支援システム装備で勝負をかけるようになってきた。ダイハツが軽自動車初の被害軽減ブレーキを装着したときは、あまりの注目のなさ、売れなさっぷりにカタログにも載せなかったのにね。
運転支援技術がクルマの必須アイテムとなった今、大きく舵を切ったのが日産『デイズ』である。まあまあ、まあまあ! と、装備を確認するたびに声が出るほどの充実ぶりで、高速道路で車線中央を維持できるようアシスト(あくまでもアシスト!)するプロパイロットも選択できる。さらに、車両に衝撃が加わるとドクターヘリの要請に結びつくD-Call Netまで網羅する(D-Call Netについては、4月11日付けの『岩貞るみこの人道車医』を参照)SOSコールまで選べる。このあたりは、高級車並みの手厚さである。
ここまで舵を振り切れるのは、日産だからだ。日産が持つ乗用車ユーザーから購買層を取り込めるし、逆に日産ブランドだからこそ期待されている部分もある。
◆「自分の居場所が決まる」運転席
デイズの運転席に座ると、まず広い。天井が高いうえにインテリアは広く見える工夫もあるから当然なのだけれど、その割に、上半身の身の置きどころがないような不安感がまるでない。上質なシートの仕立てや背もたれのフィット感もあるけれど、シフトレバーにすっと手が届き、自分の居場所が決まることが、不安を感じない一因だと思う。
左右のサイドミラーとAピラー(フロントウィンドーの窓枠)のあいだには隙間があり、まわりが見えやすいように考えられている。左側のサイドミラーは、Aピラーとのあいだにこの隙間を作るため、右側に比べて30mmちょっと後ろに下げたというけれど、外から見ただけでは言われないと気づかないし、言われたって気づかないくらいだ。
そして、軽自動車には必須のユーティリティボックスもあちこちにあり、細々としたものを整理できる。シフトレバーの脇にあるエアコンの風量を示す表示がこんなに大きい必要があるのかと(しかもいわゆる一等地に)、せこい私は思うけれど、白い表示はデザインとしてきれいだから、ま、いっか。
唯一、残念なのは、軽自動車につきものの「ハンドル遠い説」が、デイズでも解決できなかったことだ。衝突安全性などのからみで、この位置、このやり方しかないのは、わかっているけれど、衝突時の安全性と普段使いのバランスをもう少し、いや、車両価格にある程度上乗せできる(であろう)日産の軽自動車だからこそ、トライして欲しかった。
◆運転が雑な私の、高評価はブレーキである
ロングドライブを見越して静粛性も調整したというだけあって、特にターボ搭載車は、高速の料金所から一気に加速する際、60km/hくらいまでのエンジン音がとても静か。耳への疲労感が少ないのだ。もう一台、試乗したスマートシンプル・ハイブリッドは、同じ条件で走るとターボアシストがないぶん、音量が高めになるし、3気筒エンジンの音に慣れていないと、がっかり感があるけれど、アクセルを踏んだ加速感と音がうまくリンクしているので走りとしては心地よい。
運転が雑な私の、高評価はブレーキである。止まりきる最後の瞬間、いつも前のめりにかっくんと止まって叱られることが多いのだが(誰に?)、これは、かっくんしない! いや、するっちゃするけれど、いつもの叱られるレベルとは段違いに違うのである。これは、ありがたい。ついでに、ペダルを踏み込んだときの角度が、靴のかかとが地べたにつきにくいように踏みやすく調整されているので操作しやすいし、実に女性向きといえる。だって、淡い色の靴のかかとが汚れるの、いやなんだもの。
後部座席も広いし、乗り降りするときのサイドシル(ドアの開口部の敷居みたいなところ)が平になっていて足をかけやすく乗り降りしやすいし、ラゲッジスペースの容量を増やすために、後ろから後部座席を簡単に前にスライドさせられるし、徹底的にユーザーニーズを掘り起こして対応している感じ。なんだかタイアップみたいな原稿になっちゃったけれど、違うからね。いつもは意地悪な私だって、いいものはちゃんと褒めるのだ。
ここ数年、日産は製品とは違うところで注目されることが多いけれど、開発者も商品企画担当者も、現場はコツコツがんばっているのが証明されて、ちょっとうれしいです。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。
(レスポンス 岩貞るみこ)
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