【トヨタ RAV4 新型試乗】これ1台で何でもこなせます…中村孝仁
◆単独だと世界一売れているクルマ
トヨタ自動車の試乗会は、試乗後に毎回メーカーエンジニアとの懇談会がセッティングされる。まあ、他のメーカーも似たようなものだが…。今回は4人のエンジニアに囲まれてお話をすることになった。
「確かRAV4って、世界で4番目に売れているクルマですよね?」と振ったところ、同社MS製品企画ZD主幹の松本和彦氏から、「いえ、昨年3位に上がりました」と。さらに加えて、「上位2車はカローラとフォードFシリーズですが、どちらも複数のボディバリエーションがあって、単独ボディバリエーションということだと世界一です」ときた。そうかぁ、RAV4って、そういや5ドアのボディしかないよなぁ。単独だと世界一かぁ…と話しながら一人感慨にふけってしまった。
SUVなどという枠を飛び越えて、世界で最も売れているクルマである。そんなクルマのモデルチェンジは難しい。今回発表されたモデルは5代目だが、実は日本市場に4代目は導入されていない。だからRAV4としてはほぼ3年ぶりの日本市場復帰となるわけだ。
◆オンロードでは申し分なしのスムーズな走り
売れているクルマだけにかけられるリソースも大きいのか、ニューモデルはプラットフォームからエンジン、トランスミッションのすべてを一新。驚いたことに4WDシステムだけで3種も用意している。同一車種に異なる3種の4WDシステムを用意するのは、ジープ以外に知らなかった。それだけ力が入っているといって良いだろう。
今回試乗したのは、よりオフロードのイメージを強調した「アドベンチャー」というグレード。組み合わされたエンジンは2リットルのダイナミックフォースと呼ばれるエンジンだ。そしてトランスミッションはというと、CVTなのだがダイレクトシフトCVTと名付けられたもの。以前からCVTはそのアクセルに対するレスポンスを油圧に委ねることから、どうも1テンポ遅れる感があって、個人的には好きになれないトランスミッションだったのだが、今回のこれ、その仕上がり感は相当なものだ。
プラットフォーム自体は基本的にTNGAで、このクルマの場合は『カムリ』と基本を共用している。だからエンジンラインナップも基本的にはカムリのそれだ。オンロードを走る限り、本当にスムーズだし、音振対策もしっかりされていてほとんど文句のつけようがない。というわけなので、このクルマに装備された「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を試すべく、用意されたオフロードコースに向かう。
◆ナチュラルにダートを駆け抜ける「ダイナミックトルクベクタリングAWD」
ここではその差を体感するために、ほかの2種の4WDと乗り比べをすることになった。コースはモーグルと上り下り坂、それにサークルのまあドリフト旋回を楽しめるようなダートコースの3か所だ。モーグルや上り下りでは、その走り自体に大きな差は生まれない。ところがこれをダートのドリフトコースに持ち込むと、トルクベクタリングの効果が明白になる。
トルク配分は前後50:50なのだが、リアの左右駆動配分は状況に応じて0:100から100:0に変化する。つまり片側のタイヤが状況に応じて全くトルクが伝わらない状況にまで持って行けるということ。これをこうしたダートコースで試すとどうなるか。
どの4WDの場合も走り方は同じ。ほぼ40km/h程度で旋回手前まで行き、そこからグッとアクセルを入れてパワーをかける。トルクベクタリング以外のモデルだと、当然ながらカウンターステアをあてながら方向をコントロールする必要があるのだが、このトルクベクタリング機構の付いた4WDの場合は踏み込んでいくと積極的にクルマの向きを変えてくれるから、カウンターステアはほとんど必要がない。実にナチュラルにダートコースを走り抜けることが出来る。
内装外装の質感も高いし、2リットルエンジンの場合171psに207Nmという性能だが、今回は一般道だけのオンロード試乗だったので、高速上の追い越しの際などのトルク感などは不明だが、ほぼ必要十分という手応え。ラゲッジスペースも広いし、まさにこれ1台ですべてこなせるクルマという印象が強かった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
(レスポンス 中村 孝仁)
トヨタ自動車の試乗会は、試乗後に毎回メーカーエンジニアとの懇談会がセッティングされる。まあ、他のメーカーも似たようなものだが…。今回は4人のエンジニアに囲まれてお話をすることになった。
「確かRAV4って、世界で4番目に売れているクルマですよね?」と振ったところ、同社MS製品企画ZD主幹の松本和彦氏から、「いえ、昨年3位に上がりました」と。さらに加えて、「上位2車はカローラとフォードFシリーズですが、どちらも複数のボディバリエーションがあって、単独ボディバリエーションということだと世界一です」ときた。そうかぁ、RAV4って、そういや5ドアのボディしかないよなぁ。単独だと世界一かぁ…と話しながら一人感慨にふけってしまった。
SUVなどという枠を飛び越えて、世界で最も売れているクルマである。そんなクルマのモデルチェンジは難しい。今回発表されたモデルは5代目だが、実は日本市場に4代目は導入されていない。だからRAV4としてはほぼ3年ぶりの日本市場復帰となるわけだ。
◆オンロードでは申し分なしのスムーズな走り
売れているクルマだけにかけられるリソースも大きいのか、ニューモデルはプラットフォームからエンジン、トランスミッションのすべてを一新。驚いたことに4WDシステムだけで3種も用意している。同一車種に異なる3種の4WDシステムを用意するのは、ジープ以外に知らなかった。それだけ力が入っているといって良いだろう。
今回試乗したのは、よりオフロードのイメージを強調した「アドベンチャー」というグレード。組み合わされたエンジンは2リットルのダイナミックフォースと呼ばれるエンジンだ。そしてトランスミッションはというと、CVTなのだがダイレクトシフトCVTと名付けられたもの。以前からCVTはそのアクセルに対するレスポンスを油圧に委ねることから、どうも1テンポ遅れる感があって、個人的には好きになれないトランスミッションだったのだが、今回のこれ、その仕上がり感は相当なものだ。
プラットフォーム自体は基本的にTNGAで、このクルマの場合は『カムリ』と基本を共用している。だからエンジンラインナップも基本的にはカムリのそれだ。オンロードを走る限り、本当にスムーズだし、音振対策もしっかりされていてほとんど文句のつけようがない。というわけなので、このクルマに装備された「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を試すべく、用意されたオフロードコースに向かう。
◆ナチュラルにダートを駆け抜ける「ダイナミックトルクベクタリングAWD」
ここではその差を体感するために、ほかの2種の4WDと乗り比べをすることになった。コースはモーグルと上り下り坂、それにサークルのまあドリフト旋回を楽しめるようなダートコースの3か所だ。モーグルや上り下りでは、その走り自体に大きな差は生まれない。ところがこれをダートのドリフトコースに持ち込むと、トルクベクタリングの効果が明白になる。
トルク配分は前後50:50なのだが、リアの左右駆動配分は状況に応じて0:100から100:0に変化する。つまり片側のタイヤが状況に応じて全くトルクが伝わらない状況にまで持って行けるということ。これをこうしたダートコースで試すとどうなるか。
どの4WDの場合も走り方は同じ。ほぼ40km/h程度で旋回手前まで行き、そこからグッとアクセルを入れてパワーをかける。トルクベクタリング以外のモデルだと、当然ながらカウンターステアをあてながら方向をコントロールする必要があるのだが、このトルクベクタリング機構の付いた4WDの場合は踏み込んでいくと積極的にクルマの向きを変えてくれるから、カウンターステアはほとんど必要がない。実にナチュラルにダートコースを走り抜けることが出来る。
内装外装の質感も高いし、2リットルエンジンの場合171psに207Nmという性能だが、今回は一般道だけのオンロード試乗だったので、高速上の追い越しの際などのトルク感などは不明だが、ほぼ必要十分という手応え。ラゲッジスペースも広いし、まさにこれ1台ですべてこなせるクルマという印象が強かった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
(レスポンス 中村 孝仁)
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