【三菱 eKクロス 新型試乗】三菱らしい4WD性能に期待大、乗り心地ならFFか…齋藤聡
◆SUV的タフネスムードを漂わせる「クロス」
三菱『eKクロス(X)』は見るからに『デリカ D:5』の系譜、SUVのタフネスなムードを漂わせたモデルだ。
その一方、クルマの作りは使いやすさを徹底的に突き詰めており、姉妹車の『eKワゴン』同様、細部に至るまで徹底的な作り込が施されている。またアシスト系の装備の充実も特徴の一つ。運転支援系装備の三菱e-アシストや、オプション設定の運転支援システムであるMI-パイロットなど、軽自動車なのに…というか激戦の軽自動車だからなのか、先進装備を満載している。
クルマの作りも根本から設計し直されシート、ハンドル、ペダル形状から見直されている。ボディ自体も、エンジンルームを小型化してホイールベースを65mm延長(先代eKワゴン比)。そのすべてをリヤの足元スペースの拡大に使い広々とした空間を作り出している。
車種ラインアップは、4WDとFFがあり、それぞれにターボと自然吸気エンジンが用意されている。またエンジンはすべてハイブリッドで、2.7馬力/40Nmの出力を持つモーターが組み合わされている。
モーター駆動用のバッテリーをリチウムイオンバッテリーにし、容量を少し大きくしたことで発進から最大30秒間モーターアシストが効き、加速のアシストをしてくれるようになった。軽自動車の加速の線の細いところ=低回転域をモーターでアシストしてくれるわけだ。
◆4WD性能はかなり期待できる
今回試乗したのは「eKクロス 4WDターボ」。4WDシステムはビスカスカップリングを後輪への駆動伝達に使ったタイプ。やはりというか、さすがというべきか、いかにも三菱らしいのはこのビスカスカップリングは粘性の高いシリコンを使ったタイプで、雪道はもちろん雨の日など滑りやすい路面で4WDのもたらす安定性が発揮されそう。
ハンドルを目いっぱい切ってUターンしてみると、効きの強いビスカスカップリング式4WD独特の、前後のタイヤの回転差で引っかかるような動きがみられるのだ。4WDの性能を確認するステージがなかったのが残念だが、走破性、安定性はかなり期待して良さそうだ。
実際のところ、一般道を走らせていてもドシッとした安定感は際立っている。ボディやステアリング回りの剛性感の高さからくるしっかり感も関係しているのだろうが、およそ軽自動車に乗っている感じがしない。
ちなみに、4WDはリヤサスペンションの形式が違っている。FFはトーションビーム式というタイプ。4WDはリヤデフを配置する関係で、トルクアーム式3リンク式となっている。そのため乗り心地に関しては、両車で多少差があるようでFFのほうがよかった。こちらの方が滑らかでスムーズな印象がある。
◆さりげないモーターアシストが頼もしい!
ターボエンジンはさすがに強力だ。しかも発進時にモーターアシストが効くので、アクセルを踏み込んだ瞬間からターボが効きだすまでの少しのタイムラグを、モーターの駆動力が上手にアシストしてくれ、出足から力強い加速が得られるのだ。振動も少なくノイズも良く抑えられている。
ノンターボのハイブリッドにも試乗したが、アクセルを踏みだした瞬間から効くモーター駆動はとても頼もしい。軽自動車の低回転域のトルクの少なさをさりげなくアシストしてくれるので、街中でのストップ&ゴーがとても楽。エンジンの一押しは、このノンターボのハイブリッドかもしれない。
細部に至るまでしっかり作り込まれたeKクロスだが、あえていうなら4WDが気になった。性能自体は期待できそうだが、フリクション感みたいなものが残っていてパワーがクリアに感じにくかった。4WDのシステムによるものなのか、単純な駆動系のアタリの問題なのかわからないが、ちょっと気になった部分ではある。
ともあれ、走るための基本性能であるボディ、エンジン、サスペンションはまったく華奢な印象がなく、軽自動車の枠を超えた性能を持っていると感じた。安定性と走破性は圧倒的に4WDだから、ビスカスカップリングの効きを考えても悪路や雪道を走るなら4WD一択だろう。ただ、乗り心地で選ぶならFFのほうがお薦めできそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★☆
おすすめ度:★★★★☆
齋藤聡|モータージャーナリスト
特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。
(レスポンス 斎藤聡)
三菱『eKクロス(X)』は見るからに『デリカ D:5』の系譜、SUVのタフネスなムードを漂わせたモデルだ。
その一方、クルマの作りは使いやすさを徹底的に突き詰めており、姉妹車の『eKワゴン』同様、細部に至るまで徹底的な作り込が施されている。またアシスト系の装備の充実も特徴の一つ。運転支援系装備の三菱e-アシストや、オプション設定の運転支援システムであるMI-パイロットなど、軽自動車なのに…というか激戦の軽自動車だからなのか、先進装備を満載している。
クルマの作りも根本から設計し直されシート、ハンドル、ペダル形状から見直されている。ボディ自体も、エンジンルームを小型化してホイールベースを65mm延長(先代eKワゴン比)。そのすべてをリヤの足元スペースの拡大に使い広々とした空間を作り出している。
車種ラインアップは、4WDとFFがあり、それぞれにターボと自然吸気エンジンが用意されている。またエンジンはすべてハイブリッドで、2.7馬力/40Nmの出力を持つモーターが組み合わされている。
モーター駆動用のバッテリーをリチウムイオンバッテリーにし、容量を少し大きくしたことで発進から最大30秒間モーターアシストが効き、加速のアシストをしてくれるようになった。軽自動車の加速の線の細いところ=低回転域をモーターでアシストしてくれるわけだ。
◆4WD性能はかなり期待できる
今回試乗したのは「eKクロス 4WDターボ」。4WDシステムはビスカスカップリングを後輪への駆動伝達に使ったタイプ。やはりというか、さすがというべきか、いかにも三菱らしいのはこのビスカスカップリングは粘性の高いシリコンを使ったタイプで、雪道はもちろん雨の日など滑りやすい路面で4WDのもたらす安定性が発揮されそう。
ハンドルを目いっぱい切ってUターンしてみると、効きの強いビスカスカップリング式4WD独特の、前後のタイヤの回転差で引っかかるような動きがみられるのだ。4WDの性能を確認するステージがなかったのが残念だが、走破性、安定性はかなり期待して良さそうだ。
実際のところ、一般道を走らせていてもドシッとした安定感は際立っている。ボディやステアリング回りの剛性感の高さからくるしっかり感も関係しているのだろうが、およそ軽自動車に乗っている感じがしない。
ちなみに、4WDはリヤサスペンションの形式が違っている。FFはトーションビーム式というタイプ。4WDはリヤデフを配置する関係で、トルクアーム式3リンク式となっている。そのため乗り心地に関しては、両車で多少差があるようでFFのほうがよかった。こちらの方が滑らかでスムーズな印象がある。
◆さりげないモーターアシストが頼もしい!
ターボエンジンはさすがに強力だ。しかも発進時にモーターアシストが効くので、アクセルを踏み込んだ瞬間からターボが効きだすまでの少しのタイムラグを、モーターの駆動力が上手にアシストしてくれ、出足から力強い加速が得られるのだ。振動も少なくノイズも良く抑えられている。
ノンターボのハイブリッドにも試乗したが、アクセルを踏みだした瞬間から効くモーター駆動はとても頼もしい。軽自動車の低回転域のトルクの少なさをさりげなくアシストしてくれるので、街中でのストップ&ゴーがとても楽。エンジンの一押しは、このノンターボのハイブリッドかもしれない。
細部に至るまでしっかり作り込まれたeKクロスだが、あえていうなら4WDが気になった。性能自体は期待できそうだが、フリクション感みたいなものが残っていてパワーがクリアに感じにくかった。4WDのシステムによるものなのか、単純な駆動系のアタリの問題なのかわからないが、ちょっと気になった部分ではある。
ともあれ、走るための基本性能であるボディ、エンジン、サスペンションはまったく華奢な印象がなく、軽自動車の枠を超えた性能を持っていると感じた。安定性と走破性は圧倒的に4WDだから、ビスカスカップリングの効きを考えても悪路や雪道を走るなら4WD一択だろう。ただ、乗り心地で選ぶならFFのほうがお薦めできそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★☆
おすすめ度:★★★★☆
齋藤聡|モータージャーナリスト
特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。
(レスポンス 斎藤聡)
最新ニュース
-
-
アキュラの入門SUV『ADX』にスポーティ仕様の「A-Spec」、米国設定
2024.11.19
-
-
-
レクサス『ES』改良新型、新スピンドルグリル採用…広州モーターショー2024
2024.11.19
-
-
-
VW『ティグアン』7年ぶりの新型発売、初のマイルドハイブリッドも 487万1000円から
2024.11.19
-
-
-
「パワーワードすぎる!」史上最強のMモデル、BMW『M5』新型登場にSNSの反応は
2024.11.19
-
-
-
『これはいるのか?』ストリートカーでも使える? ロールバーの選び方と装着のコツ~カスタムHOW TO~
2024.11.19
-
-
-
「クルマファンを増やす」ため茨城のトヨタディーラーが結集! その核となる「茨城ワクドキクラブ」が目指す先
2024.11.19
-
-
-
NISMOフェスティバル、ブランド40周年で富士スピードウェイに歴代レーシングカー集結 12月1日開催
2024.11.19
-
最新ニュース
-
-
アキュラの入門SUV『ADX』にスポーティ仕様の「A-Spec」、米国設定
2024.11.19
-
-
-
レクサス『ES』改良新型、新スピンドルグリル採用…広州モーターショー2024
2024.11.19
-
-
-
VW『ティグアン』7年ぶりの新型発売、初のマイルドハイブリッドも 487万1000円から
2024.11.19
-
-
-
「パワーワードすぎる!」史上最強のMモデル、BMW『M5』新型登場にSNSの反応は
2024.11.19
-
-
-
『これはいるのか?』ストリートカーでも使える? ロールバーの選び方と装着のコツ~カスタムHOW TO~
2024.11.19
-
-
-
「クルマファンを増やす」ため茨城のトヨタディーラーが結集! その核となる「茨城ワクドキクラブ」が目指す先
2024.11.19
-
MORIZO on the Road