【VW ポロ TSI R-Line 新型試乗】クルマの出来は素晴らしい!のに、ナビだけは残念…中村孝仁
◆ノーマルとGTIの間を埋める「R-Line」
VW『ポロ』に「R-Line(Rライン)」と呼ばれるモデルが追加された。従来の3気筒エンジンのベースグレードと、最上級の「GTI」の間を埋めるモデルと理解すればよい。
この場合、ではエンジンは一体どっち寄り?というのが一番気になるところではある。結論から言えば、個人的にはGTI寄りと感じた。ズバリそれは4気筒であること。しかも排気量が1.5リットルターボであること等々。このエンジン、VWの最新鋭エンジンで、EA211 TSI evoと名付けられたものだ。
具体的には可変ジオメトリーターボに圧縮比12.5という高圧縮比を持ち、燃料噴射圧も350バールと驚異的に高い。そして最後は可変気筒システムを持つ。パワーだって150ps、250Nm。これに7速の乾式クラッチを持つDSGが組み合わされる。
いわゆるツインクラッチ方式のDSGはデビューした時、これは間違いなく未来の主力トランスミッションになると、勇んで当時の『ゴルフ』を購入した。あれから10年以上たって、市場のトランスミッション図式がどうなったかというと、やはり主力はステップAT、即ちフルオートマチックである。DSGをはじめとするツインクラッチのDCTは、スポーツモデルに対しては極めて有効な手段ではあるものの、渋滞などを日常的に走るノーマル車(という表現も変だが)に対しては、その発進時の違和感が拭いきれず、あまり勢力を伸ばしていない。
ポロRラインの場合もアクセルの踏み方にもよるが、時々えっ!?というような発進をすることがある。ただ、それは全体から見たらほんの些細なネガ要素でしかなく、走りとしては正直言って素晴らしいと諸手をあげて評価したい。
◆スポーティーな感覚の走りを連想するが
VWの常とう手段として、街中では徹底して早い段階でギアを引き上げていくから、スピードが40km/h程度でもすでに5速に入っていることがしばしば。だから都市部ではほぼ常にエンジンは1500rpmを超えるようなことがなく、至って静かだし、そこからの加速もいきなり最大トルクの領域に飛び込むため、実にスムーズにそして強力な加速が得られる。
Rラインというと少しスポーティーな感覚の走りを連想されるかもしれないが、乗り心地も含めてこのクルマの走りはスポーティーでは決してない。とても素直で日常的に使うに便利、快適である。どこがスポーティーかというと、例えばルーフにスポイラーが付いていたり、リアエンドの両端にツインエクゾーストが顔をのぞかせていたり、あるいは45という扁平率を持つ17インチのタイヤが装着された結構派手目のホイールを履いていたりする容姿の部分だけ。
スタイリングも正直言ってVWらしい地味さでまとめられている。それにしても先代と外観はほとんど区別が付かず、ボディのベルトラインにアクセントが付けられ、その先端部にRラインのロゴが入っていなければ、すれ違ってもニューモデルと先代の区別が付かないほどだ。
新しい直4ユニットは、これまた健気で、従来のVWエンジンと乗っている限りでは違いが判らない。つまり、ドラスティックにパワフルになったり、あるいはエンジン音が変わったり、静かになったりという違いがない。でも燃費はVWによれば最大10%向上しているそうだし、クリーン化も果たしているはず。要するに2030年には電機以外はダメよと言われる欧州でも生き延びられるクリーンさと省燃費を実現したものになっている、まあ、黒子に徹したエンジンともいえる。
◆インフォテイメント系の使いづらさに課題
そんな健気なポロなのだが、2018年に市場に登場した割に残念だったのが、本来一番進化していなければいけないはずのインフォテイメント系の使いづらさだ。とりわけダメだったのがナビゲーション。以前から設定の難しさを指摘させてもらったが、これは相変わらず。
しかもあろうことか地図そのものが古い!こちらが知っている道だから良いものの、本来右方向に行かなくては行けないところを左方向に行けと指示された。確かに数年前は左に行かなければ高速には入れなかったが、それはもうだいぶ前の話でいまだにこれはいかがなものか。特に東京オリンピックを控えて、道路もめまぐるしく変わっている。クルマ以前にこうした不出来で評価を下げるのは如何にも勿体ない話である。
一つ良かったことは、以前は使えなかったApple CarPlayでヤフーカーナビが使えるようになっていたこと。ナビに不信を持って以後、ヤフーカーナビに頼る結果になった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
(レスポンス 中村 孝仁)
VW『ポロ』に「R-Line(Rライン)」と呼ばれるモデルが追加された。従来の3気筒エンジンのベースグレードと、最上級の「GTI」の間を埋めるモデルと理解すればよい。
この場合、ではエンジンは一体どっち寄り?というのが一番気になるところではある。結論から言えば、個人的にはGTI寄りと感じた。ズバリそれは4気筒であること。しかも排気量が1.5リットルターボであること等々。このエンジン、VWの最新鋭エンジンで、EA211 TSI evoと名付けられたものだ。
具体的には可変ジオメトリーターボに圧縮比12.5という高圧縮比を持ち、燃料噴射圧も350バールと驚異的に高い。そして最後は可変気筒システムを持つ。パワーだって150ps、250Nm。これに7速の乾式クラッチを持つDSGが組み合わされる。
いわゆるツインクラッチ方式のDSGはデビューした時、これは間違いなく未来の主力トランスミッションになると、勇んで当時の『ゴルフ』を購入した。あれから10年以上たって、市場のトランスミッション図式がどうなったかというと、やはり主力はステップAT、即ちフルオートマチックである。DSGをはじめとするツインクラッチのDCTは、スポーツモデルに対しては極めて有効な手段ではあるものの、渋滞などを日常的に走るノーマル車(という表現も変だが)に対しては、その発進時の違和感が拭いきれず、あまり勢力を伸ばしていない。
ポロRラインの場合もアクセルの踏み方にもよるが、時々えっ!?というような発進をすることがある。ただ、それは全体から見たらほんの些細なネガ要素でしかなく、走りとしては正直言って素晴らしいと諸手をあげて評価したい。
◆スポーティーな感覚の走りを連想するが
VWの常とう手段として、街中では徹底して早い段階でギアを引き上げていくから、スピードが40km/h程度でもすでに5速に入っていることがしばしば。だから都市部ではほぼ常にエンジンは1500rpmを超えるようなことがなく、至って静かだし、そこからの加速もいきなり最大トルクの領域に飛び込むため、実にスムーズにそして強力な加速が得られる。
Rラインというと少しスポーティーな感覚の走りを連想されるかもしれないが、乗り心地も含めてこのクルマの走りはスポーティーでは決してない。とても素直で日常的に使うに便利、快適である。どこがスポーティーかというと、例えばルーフにスポイラーが付いていたり、リアエンドの両端にツインエクゾーストが顔をのぞかせていたり、あるいは45という扁平率を持つ17インチのタイヤが装着された結構派手目のホイールを履いていたりする容姿の部分だけ。
スタイリングも正直言ってVWらしい地味さでまとめられている。それにしても先代と外観はほとんど区別が付かず、ボディのベルトラインにアクセントが付けられ、その先端部にRラインのロゴが入っていなければ、すれ違ってもニューモデルと先代の区別が付かないほどだ。
新しい直4ユニットは、これまた健気で、従来のVWエンジンと乗っている限りでは違いが判らない。つまり、ドラスティックにパワフルになったり、あるいはエンジン音が変わったり、静かになったりという違いがない。でも燃費はVWによれば最大10%向上しているそうだし、クリーン化も果たしているはず。要するに2030年には電機以外はダメよと言われる欧州でも生き延びられるクリーンさと省燃費を実現したものになっている、まあ、黒子に徹したエンジンともいえる。
◆インフォテイメント系の使いづらさに課題
そんな健気なポロなのだが、2018年に市場に登場した割に残念だったのが、本来一番進化していなければいけないはずのインフォテイメント系の使いづらさだ。とりわけダメだったのがナビゲーション。以前から設定の難しさを指摘させてもらったが、これは相変わらず。
しかもあろうことか地図そのものが古い!こちらが知っている道だから良いものの、本来右方向に行かなくては行けないところを左方向に行けと指示された。確かに数年前は左に行かなければ高速には入れなかったが、それはもうだいぶ前の話でいまだにこれはいかがなものか。特に東京オリンピックを控えて、道路もめまぐるしく変わっている。クルマ以前にこうした不出来で評価を下げるのは如何にも勿体ない話である。
一つ良かったことは、以前は使えなかったApple CarPlayでヤフーカーナビが使えるようになっていたこと。ナビに不信を持って以後、ヤフーカーナビに頼る結果になった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
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