【トヨタ スープラ 新型試乗】「RZ」は想像を超えたジェントルな走り…島崎七生人
◆わずか24台の超稀少な「RZ」に試乗
試乗車は外板色が“マットストームグレーメタリック”の「RZ」。本年度生産分24台限定、しかも抽選販売という超稀少車だった。ボディ色でいうとカラフルな試乗車も並ぶなかで、シュールでミュータントのようなスタイルを引き立てる色だ……と感じた。
一方でインテリアはBMW『Z4』と基礎は同じはずだが、共通項はほとんど散見されない。意外にも今回に限ってはZ4よりも大人びた雰囲気に思える。シフター、コマンドダイヤル等も専用であり、ステアリングもZ4がBMW流のグリップが太く握るのが精一杯の感もあるところ、『スープラ』は面で断面の内側を削いであり、そこに親指の腹を当てながらしっかりと操作ができる形状だ。
インパネ自体も水平基調の落ち着いたデザインで、メーターはアナログ表示式のタコメーターを中心に据え、その回りに必要最小限の情報が整理して配置される。ドライバーの左右は、さり気なくニーパッドの役割を果たす形状になっている。ハイバック形状のシートはホールド性の高い形状と硬過ぎないクッションのバランスが絶妙で、スポーツカーのシートらしい役目を果たしてくれるものだ。
フロントガラス上端(サイドウインド上端も)が低く、乗り込むと包まれ感が強い。が、シート後方はタワーバー越しにトランクまで“抜けて”おり、このため2シーターながら閉じこめられ感はない。とはいえ、天地に低いフロントスクリーン越しに左右のフェンダーの盛り上がりを視野に入れながら眺める前方の視界は、タイトなレーシングカーのような雰囲気も味わえる。
◆想像を超えるジェントルさが素晴らしい
そして走りだが、スポーティでありながら想像を超えるジェントルさが素晴らしいと感じた。ボディ剛性の高さはクルマを走らせてすぐに実感するが、それ以上に足回りの洗練された仕事ぶりは注目に値する。
低速から山道までのいかなる状況でも、スポーツカーらしいしなやかな身のこなしと、入力の大小にかかわらず低級なショックを一切伝えない、洗練された乗り味が楽しめる。これには、外部油圧バルブを用いたモンロー&オーリンズのアダプティブバリアブルサスペンションや鍛造ホイールが相当、貢献しているのではないかと思える。
車検証上で前/後=780/740kgの重量配分だが、山道ではドライバーは決して力まずとも、後輪に軸足を置きながらキレイに曲がっていく、気持ちのいいハンドリングが楽しめる。
340ps/51.0kgf・mの性能を発揮する3リットルの直6エンジンは、後方から低く心地いいボリュームの排気音を聞かせながら、アクセルワークにとても素直に反応してくれる。低速時や中間加速も望みどおりに反応してくれ、高回転域の伸びも申し分ない。
また乗り心地とともに、走行中の室内の静粛性の高さも新しいスポーツカーらしく、ロードノイズも気にならない。なので、RZ(とSZ-R)に標準のJBLプレミアムサウンドシステムの12スピーカーも実に有意義で、ごく簡単に記せば、伸びのいい高音、メリハリの利いた中音、背後の2本のサブウーファーが引き締める芯のある低音など、ホームのJBL同等の上質で自然な音場空間が堪能できるようになっている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
試乗車は外板色が“マットストームグレーメタリック”の「RZ」。本年度生産分24台限定、しかも抽選販売という超稀少車だった。ボディ色でいうとカラフルな試乗車も並ぶなかで、シュールでミュータントのようなスタイルを引き立てる色だ……と感じた。
一方でインテリアはBMW『Z4』と基礎は同じはずだが、共通項はほとんど散見されない。意外にも今回に限ってはZ4よりも大人びた雰囲気に思える。シフター、コマンドダイヤル等も専用であり、ステアリングもZ4がBMW流のグリップが太く握るのが精一杯の感もあるところ、『スープラ』は面で断面の内側を削いであり、そこに親指の腹を当てながらしっかりと操作ができる形状だ。
インパネ自体も水平基調の落ち着いたデザインで、メーターはアナログ表示式のタコメーターを中心に据え、その回りに必要最小限の情報が整理して配置される。ドライバーの左右は、さり気なくニーパッドの役割を果たす形状になっている。ハイバック形状のシートはホールド性の高い形状と硬過ぎないクッションのバランスが絶妙で、スポーツカーのシートらしい役目を果たしてくれるものだ。
フロントガラス上端(サイドウインド上端も)が低く、乗り込むと包まれ感が強い。が、シート後方はタワーバー越しにトランクまで“抜けて”おり、このため2シーターながら閉じこめられ感はない。とはいえ、天地に低いフロントスクリーン越しに左右のフェンダーの盛り上がりを視野に入れながら眺める前方の視界は、タイトなレーシングカーのような雰囲気も味わえる。
◆想像を超えるジェントルさが素晴らしい
そして走りだが、スポーティでありながら想像を超えるジェントルさが素晴らしいと感じた。ボディ剛性の高さはクルマを走らせてすぐに実感するが、それ以上に足回りの洗練された仕事ぶりは注目に値する。
低速から山道までのいかなる状況でも、スポーツカーらしいしなやかな身のこなしと、入力の大小にかかわらず低級なショックを一切伝えない、洗練された乗り味が楽しめる。これには、外部油圧バルブを用いたモンロー&オーリンズのアダプティブバリアブルサスペンションや鍛造ホイールが相当、貢献しているのではないかと思える。
車検証上で前/後=780/740kgの重量配分だが、山道ではドライバーは決して力まずとも、後輪に軸足を置きながらキレイに曲がっていく、気持ちのいいハンドリングが楽しめる。
340ps/51.0kgf・mの性能を発揮する3リットルの直6エンジンは、後方から低く心地いいボリュームの排気音を聞かせながら、アクセルワークにとても素直に反応してくれる。低速時や中間加速も望みどおりに反応してくれ、高回転域の伸びも申し分ない。
また乗り心地とともに、走行中の室内の静粛性の高さも新しいスポーツカーらしく、ロードノイズも気にならない。なので、RZ(とSZ-R)に標準のJBLプレミアムサウンドシステムの12スピーカーも実に有意義で、ごく簡単に記せば、伸びのいい高音、メリハリの利いた中音、背後の2本のサブウーファーが引き締める芯のある低音など、ホームのJBL同等の上質で自然な音場空間が堪能できるようになっている。
■5つ星評価
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(レスポンス 島崎七生人)
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