【日産 デイズ 新型試乗】軽の勢力図が一気に書き換えられる予感…丸山誠
◆勢力図が一気に書き換えられる予感
新型『デイズ』が登場するまでは、販売台数でトップを疾走するホンダ『N-BOX』が総合力でトップクラスだと認識していた。
新型デイズに試乗すると、この勢力図が一気に書き換えられる可能性があると考えるようになった。そう実感させたのは、日産得意のプロパイロットの採用。N-BOXはホンダセンシングの先進安全装備で人気を集めているが、デイズはN-BOXより機能をより高めているのが特徴。その機能でもっとも差を実感するのがプロパイロットによるACCでの走行だ。
高速道で停止と発進を繰り返す渋滞に遭遇すると、デイズは低速追従から停止保持まで全速域をカバーしてドライビングをアシストしてくれる。その作動は実にスムーズで追従時の減速は緩やかで、ストップ寸前のブレーキ調整もショックがなく見事だ。N-BOXもACCを装備するが、約30km/h以下で制御が解除されてしまうため、低速域の追従や発進停止を繰り返す渋滞路では使えない。この差が大きなポイントとなる。
デイズはコンパクトカーでもまだ装着車が少ない全速域追従制御のACCを装備したことが、商品力の大きな魅力につながっている。プロパイロットの操作方法は『セレナ』や『エクストレイル』などと同じで、ステアリングスイッチだけで簡単に操作可能。行楽地へのドライブやお盆などの帰省時のロングドライブで、ドライバーの負担を軽減してくれる頼もしいアシスト機能だ。
◆日産の本気度がわかるプロパイロットとエンジン
デイズのプロパイロットはそれだけではなく、カーブに合わせてステアリング操作をアシストしてくれるレーンキープ機能も備えている。実際の高速道路とカーブがややきつい首都高速を走ると、その実力の高さがわかる。緩いカーブならステアリングに手を添えているだけでクルマは曲がっていってくれ、そのときのステアリングの動きはスムーズ。
レーンキープ機能を搭載したクルマの中には、操だがスムーズではなくソーイング気味の制御が気になるモデルもあるが、デイズはスムーズで違和感がほとんどない。ただし、アシスト機能のため首都高速のようなカーブがきついところでは制御がキャンセルされるし、車線をカメラで認識できない場合も当然キャンセルされる。
先代デイズのNAエンジン車は、低回転域のトルクが細いため加速がいま一歩だったが、新型はパワートレーン系を含むすべてを一新したために走りがいい。ルノーが基本設計した800ccエンジンを660ccにスケールダウンさせたわけだが、開発と生産は日産が担当。日本の道路環境に合わせて設計開発した。
余談だが日産は新規の軽自動車開発が初めてだったため、開発目標を決めるため日産と三菱の合弁会社であるNMKVに当時の軽自動車全種類を購入してもらったという。その軽自動車を日産が調査して目標を定めたというから、日産の本気度がわかる。
◆次期「デイズルークス」にも期待できる
NAでも市街地走行での加速は、マイルドハイブリッドのECOモーターがアシストするためスムーズで加速感に不満がない。更に首都高速などの合流で加速する場合は、新開発のCVTがステップ制御されるため加速感がリニアに感じられる。ターボはパワー感があり気持ちのいい加速感が味わえる。ターボもECOモーターを使っているが、エンジン自体がパワフルなためアシスト感はほぼない。ターボも加速時にアクセルを深く踏み込むとステップ制御されるため、CVTにありがちなラバーバンドフィールは小さい。
室内スペースがロングホイールベース化によって、とても広いのもデイズの特徴。ホイールベースの長さはN-BOXにはわずかに届かないものの、足元の余裕は十分。後席は170mmもスライドするため後端にセットして足を組んでも前席に当たるようなことがない。日産では上級セダンの『フーガ』並みの後席のゆとり、と表現しているが、それを納得できる広さだ。
荷室に大きな荷物を積むため、後席をスライドして前端にしても足元には余裕がある。男性が後席に座ると着座位置がやや低く感じるが、これには理由がある。日産は軽自動車を開発するため軽自動車ユーザーをかなりリサーチしたという。その結果、後席は女性や子供が座ることが多いことが判明。座席位置が低めで、シートクッションの先端が斜めにデザインしてあるのは、女性や子供が着座しても疲れないという配慮だ。デイズは後席が一体型だが、来春登場予定の『デイズルークス』は左右分割スライドを採用するらしい。
N-BOXはスライドドアのスパーハイトワゴンで、デイズはスイングドアのハイトワゴンという違いはあるが、ドアの違いを無視できるライフスタイルであればプロパイロット付きのデイズをオススメする。この出来なら次期デイズルークスも期待できるから、そちらを待つのもいいだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
(レスポンス 丸山 誠)
新型『デイズ』が登場するまでは、販売台数でトップを疾走するホンダ『N-BOX』が総合力でトップクラスだと認識していた。
新型デイズに試乗すると、この勢力図が一気に書き換えられる可能性があると考えるようになった。そう実感させたのは、日産得意のプロパイロットの採用。N-BOXはホンダセンシングの先進安全装備で人気を集めているが、デイズはN-BOXより機能をより高めているのが特徴。その機能でもっとも差を実感するのがプロパイロットによるACCでの走行だ。
高速道で停止と発進を繰り返す渋滞に遭遇すると、デイズは低速追従から停止保持まで全速域をカバーしてドライビングをアシストしてくれる。その作動は実にスムーズで追従時の減速は緩やかで、ストップ寸前のブレーキ調整もショックがなく見事だ。N-BOXもACCを装備するが、約30km/h以下で制御が解除されてしまうため、低速域の追従や発進停止を繰り返す渋滞路では使えない。この差が大きなポイントとなる。
デイズはコンパクトカーでもまだ装着車が少ない全速域追従制御のACCを装備したことが、商品力の大きな魅力につながっている。プロパイロットの操作方法は『セレナ』や『エクストレイル』などと同じで、ステアリングスイッチだけで簡単に操作可能。行楽地へのドライブやお盆などの帰省時のロングドライブで、ドライバーの負担を軽減してくれる頼もしいアシスト機能だ。
◆日産の本気度がわかるプロパイロットとエンジン
デイズのプロパイロットはそれだけではなく、カーブに合わせてステアリング操作をアシストしてくれるレーンキープ機能も備えている。実際の高速道路とカーブがややきつい首都高速を走ると、その実力の高さがわかる。緩いカーブならステアリングに手を添えているだけでクルマは曲がっていってくれ、そのときのステアリングの動きはスムーズ。
レーンキープ機能を搭載したクルマの中には、操だがスムーズではなくソーイング気味の制御が気になるモデルもあるが、デイズはスムーズで違和感がほとんどない。ただし、アシスト機能のため首都高速のようなカーブがきついところでは制御がキャンセルされるし、車線をカメラで認識できない場合も当然キャンセルされる。
先代デイズのNAエンジン車は、低回転域のトルクが細いため加速がいま一歩だったが、新型はパワートレーン系を含むすべてを一新したために走りがいい。ルノーが基本設計した800ccエンジンを660ccにスケールダウンさせたわけだが、開発と生産は日産が担当。日本の道路環境に合わせて設計開発した。
余談だが日産は新規の軽自動車開発が初めてだったため、開発目標を決めるため日産と三菱の合弁会社であるNMKVに当時の軽自動車全種類を購入してもらったという。その軽自動車を日産が調査して目標を定めたというから、日産の本気度がわかる。
◆次期「デイズルークス」にも期待できる
NAでも市街地走行での加速は、マイルドハイブリッドのECOモーターがアシストするためスムーズで加速感に不満がない。更に首都高速などの合流で加速する場合は、新開発のCVTがステップ制御されるため加速感がリニアに感じられる。ターボはパワー感があり気持ちのいい加速感が味わえる。ターボもECOモーターを使っているが、エンジン自体がパワフルなためアシスト感はほぼない。ターボも加速時にアクセルを深く踏み込むとステップ制御されるため、CVTにありがちなラバーバンドフィールは小さい。
室内スペースがロングホイールベース化によって、とても広いのもデイズの特徴。ホイールベースの長さはN-BOXにはわずかに届かないものの、足元の余裕は十分。後席は170mmもスライドするため後端にセットして足を組んでも前席に当たるようなことがない。日産では上級セダンの『フーガ』並みの後席のゆとり、と表現しているが、それを納得できる広さだ。
荷室に大きな荷物を積むため、後席をスライドして前端にしても足元には余裕がある。男性が後席に座ると着座位置がやや低く感じるが、これには理由がある。日産は軽自動車を開発するため軽自動車ユーザーをかなりリサーチしたという。その結果、後席は女性や子供が座ることが多いことが判明。座席位置が低めで、シートクッションの先端が斜めにデザインしてあるのは、女性や子供が着座しても疲れないという配慮だ。デイズは後席が一体型だが、来春登場予定の『デイズルークス』は左右分割スライドを採用するらしい。
N-BOXはスライドドアのスパーハイトワゴンで、デイズはスイングドアのハイトワゴンという違いはあるが、ドアの違いを無視できるライフスタイルであればプロパイロット付きのデイズをオススメする。この出来なら次期デイズルークスも期待できるから、そちらを待つのもいいだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
(レスポンス 丸山 誠)
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