【アルファロメオ ジュリア ディーゼル 試乗】スポーツディーゼルの面目躍如…中村孝仁
その長い歴史の中で、アルファロメオはコモンレールディーゼルの先駆者だそうである。そんな話を聞いたのは、日本市場にとってアルファ初のディーゼルモデルが追加されたその発表会でのことだった。そして先行した『ステルヴィオ』のディーゼルに乗った時、さすがにセグメント最強を謳ったそのパフォーマンスはすごいと感じさせてくれた。
◆ステルヴィオ版のデチューンと思うなかれ
てっきり同じエンジンを積んでいると思っていた『ジュリア』だが、実はチューンが異なる。ステルヴィオの210ps、470Nmに対して、ジュリアの方は190ps、450Nmだ。しかし、これでデチューンされたと思うなかれ。何故ならステルヴィオの重量は1820kg。対するジュリアは1600kgで、その差220kg。パワーウェイトレシオではステルヴィオの8.66kg/psに対し、ジュリアは8.42kg/psだから、性能的にはジュリアが上、ということになる。
勿論ステルヴィオと同じエンジンを使えばパワーウェイトレシオは7.62kg/psに跳ね上がるから、そっちの方が刺激的…と思ってしまうのだが、まあそれは無いものねだりである。
例によってエンジンの外部放出音は決して小さくない。でも、横並びにライバルと比較した時、ライバルとは言えないが、例えばマツダの同じ排気量のパワーユニットが明らかに静粛性が高いことを除けば、輸入ディーゼルモデルの外部放出音はどれもこれも大同小異。一方で室内はと言うと、こちらもステルヴィオ同様少なくとも常用域では確かに音を確認できるが、それが気になるかと言うと、ほぼ無し、である。
◆恐ろしくスポーティーな乗り味とハンドリング
試乗は箱根、大観山を起点に箱根周辺及び西湘バイパスを中心に行った。
例によって立ち上がりのゲインが極めて高いステアリング特性は、ディーゼルとなっても変わることはない。それでも体の方がこの初期ゲインの高いステアリングに慣れてしまったのか、まあこれでもいいかな?と思えてしまう。そんなわけだから、箱根の山野を駆け巡ると、恐ろしくスポーティーな乗り味とハンドリングを堪能できる。
しかもこうした状況ではエンジンは常に吠えているわけで、1750rpmでいきなりマックストルクを迎えてしまうエンジンの性格を勘案すれば、ほぼすべての領域でマックストルクに近い状況を作り出しているわけだから、その強烈な加速感は押して知るべき。因みにジュリアのトルクカーブは1750rpmまで一気に上り詰め、そこからは緩やかな下降線を辿り、3500rpmを超えるとがくんと下がる。しかしその3500rpmの少し手前から、今度は出力の方がピークパワーに向かってグイグイと上がっている状態だから、まさに3500rpmでトルクと出力がバトンタッチするという印象である。
全くの余談だが、アルファは昔から4気筒エンジンに中途半端な1750ccという排気量を好んで使っていたが、まさかピークトルクの発生回転数まで1750rpmに拘ったのか!と勘繰りたくなる。でもそんなアルファが好きだ。
◆実は最もウェルバランスなジュリアなのでは
箱根の山野を駆け巡って感じたことは、このディーゼル、実は最もウェルバランスなジュリアなのではないかということだ。同じように若干フロントが重い「Q4」でもそれを感じたのだが、要するに少しノーズを重くしてやることで、より優れたバランスになったのでは?ということ。
もっともアルミブロックを使用したエンジンは155kgと軽量で、あまりガソリンエンジンとの差はないのかもしれないが、体感的には非常にウエルバランスである。勿論バッテリーをリアトランクに収めるなど重量配分には周到な措置が取られている。
他社の場合、多くのケースでディーゼル車は同等のガソリン車と比較して20万円前後高いのが普通だが、アルファの場合ディーゼルはジュリアスーパーとほぼ同じ装備を持ちながら、お値段はその13万アップと上げ幅が小さいことも魅力。何よりスポーツディーゼルの名に恥じない運動性能を持ち合わせているから、ディーゼル嫌いの人にも受け入れられるのではないかと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
◆ステルヴィオ版のデチューンと思うなかれ
てっきり同じエンジンを積んでいると思っていた『ジュリア』だが、実はチューンが異なる。ステルヴィオの210ps、470Nmに対して、ジュリアの方は190ps、450Nmだ。しかし、これでデチューンされたと思うなかれ。何故ならステルヴィオの重量は1820kg。対するジュリアは1600kgで、その差220kg。パワーウェイトレシオではステルヴィオの8.66kg/psに対し、ジュリアは8.42kg/psだから、性能的にはジュリアが上、ということになる。
勿論ステルヴィオと同じエンジンを使えばパワーウェイトレシオは7.62kg/psに跳ね上がるから、そっちの方が刺激的…と思ってしまうのだが、まあそれは無いものねだりである。
例によってエンジンの外部放出音は決して小さくない。でも、横並びにライバルと比較した時、ライバルとは言えないが、例えばマツダの同じ排気量のパワーユニットが明らかに静粛性が高いことを除けば、輸入ディーゼルモデルの外部放出音はどれもこれも大同小異。一方で室内はと言うと、こちらもステルヴィオ同様少なくとも常用域では確かに音を確認できるが、それが気になるかと言うと、ほぼ無し、である。
◆恐ろしくスポーティーな乗り味とハンドリング
試乗は箱根、大観山を起点に箱根周辺及び西湘バイパスを中心に行った。
例によって立ち上がりのゲインが極めて高いステアリング特性は、ディーゼルとなっても変わることはない。それでも体の方がこの初期ゲインの高いステアリングに慣れてしまったのか、まあこれでもいいかな?と思えてしまう。そんなわけだから、箱根の山野を駆け巡ると、恐ろしくスポーティーな乗り味とハンドリングを堪能できる。
しかもこうした状況ではエンジンは常に吠えているわけで、1750rpmでいきなりマックストルクを迎えてしまうエンジンの性格を勘案すれば、ほぼすべての領域でマックストルクに近い状況を作り出しているわけだから、その強烈な加速感は押して知るべき。因みにジュリアのトルクカーブは1750rpmまで一気に上り詰め、そこからは緩やかな下降線を辿り、3500rpmを超えるとがくんと下がる。しかしその3500rpmの少し手前から、今度は出力の方がピークパワーに向かってグイグイと上がっている状態だから、まさに3500rpmでトルクと出力がバトンタッチするという印象である。
全くの余談だが、アルファは昔から4気筒エンジンに中途半端な1750ccという排気量を好んで使っていたが、まさかピークトルクの発生回転数まで1750rpmに拘ったのか!と勘繰りたくなる。でもそんなアルファが好きだ。
◆実は最もウェルバランスなジュリアなのでは
箱根の山野を駆け巡って感じたことは、このディーゼル、実は最もウェルバランスなジュリアなのではないかということだ。同じように若干フロントが重い「Q4」でもそれを感じたのだが、要するに少しノーズを重くしてやることで、より優れたバランスになったのでは?ということ。
もっともアルミブロックを使用したエンジンは155kgと軽量で、あまりガソリンエンジンとの差はないのかもしれないが、体感的には非常にウエルバランスである。勿論バッテリーをリアトランクに収めるなど重量配分には周到な措置が取られている。
他社の場合、多くのケースでディーゼル車は同等のガソリン車と比較して20万円前後高いのが普通だが、アルファの場合ディーゼルはジュリアスーパーとほぼ同じ装備を持ちながら、お値段はその13万アップと上げ幅が小さいことも魅力。何よりスポーツディーゼルの名に恥じない運動性能を持ち合わせているから、ディーゼル嫌いの人にも受け入れられるのではないかと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
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