【メルセデスベンツ Aクラスディーゼル 試乗】このクラスでは、抜群の仕上がり…工藤貴宏

メルセデスベンツ Aクラス 新型(A200d クリーンディーゼル搭載モデル)
◆エンジンフィールにまず驚かされる!

えええっ! そうなの?

『Aクラス』では日本初導入となったディーゼルエンジン搭載車に乗って驚いたのは、エンジンのフィーリングだ。

とにかく滑らか。昨今のディーゼルエンジンはかつてとは比べられないほど洗練された昨フィーリングだが、その中でもAクラスに搭載されたユニットは4気筒としてはトップを争うレベルにある出来の良さを感じた。回転を上げていくフィーリングも、ディーゼルらしいザラザラとした感覚がなく心地よいのだ。

音も、エンジンをかけて停車時こそディーゼルらしいガラガラとしたエンジン音がわずかに聞こえてくるものの、スタートしてしまえばまったく耳に入らない。

フィーリングと音の両面において、このクラスでは抜群の仕上がりと断言できる。

◆多くのメカニズムが投入された“クリーンディーゼル”

実はこのエンジンは、大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)を削減するために尿素SCRに加えて、EGRを低圧と高圧の2系統用意。またPMと呼ばれる細かいススを除去するためのDPFにもSCRコーティングを施してNOxを除去し、尿素SCRによる処理の尿素水が車外に排出されるのを防ぐ機構を追加することで従来より多くの尿素水を噴射できるようにするなど、排出ガスのクリーン化のためのメカニズムが多く投入されている。

この徹底的な排ガス浄化システムにより排出ガスに余裕が生まれたため、ドライバビリティを高めることができたのだと推測する。

◆意識せずとも伸びる燃費に良好な乗り心地

燃費にも驚かされた。試乗では東京近郊の高速道路を中心に50kmほど走ってみたが、車載燃費計は約20km/Lという優れた数値。燃費を意識せず走ってこれだけ伸びるのだから素晴らしい。

そして印象的だったのが、乗り心地の良さ。今回試乗した「A200d」は、かつて乗ったガソリンエンジンの「A180」よりも乗り心地がソフトだった。路面からの衝撃がしっかりといなされるのを感じたのだ。これは「A180」からのサスペンションの変更によるものなのか、それとも車両重量バランスとのマッチングの結果なのかは定かではない。

しかし結論として、ディーゼルエンジン自体に魅力を感じる人はもちろん、ガソリン車の乗り心地に素直に納得できなかった人もディーゼルに試乗してみることをお勧めする。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

工藤貴宏|モータージャーナリスト
小学校高学年から自動車雑誌を読みはじめ、1日でも早く運転したくて18歳誕生日の翌日には仮免許を取得したクルマ好き。大学在学中から自動車雑誌でアルバイトを始め、自動車専門誌編集部在籍後、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。愛車はフランス製ホットハッチと、ディーゼルエンジンを積んだSUV。

(レスポンス 工藤貴宏)

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