【ボルボ V60クロスカントリー 新型試乗】“なんちゃってSUV”とはひと味ちがう…丸山誠
◆絶妙なサイズと価格設定
今年4月にフルモデルチェンジされたばかりのボルボ『V60クロスカントリー』だが、6月に一部仕様が変更された。
その変更内容は安全装備関係のみ。360度ビューカメラをベースグレード「T5 AWD」にも標準化し、運転支援機能のBLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)にステアリング・アシスト機能を追加。パイロット・アシスト(車線維持支援機能)はステアリングのバイブレーションで一時解除を知らせる新機能追加の3点。
試乗車は「T5 AWD PRO」で車両価格は649万円だが、オプションのサンルーフやプレミアムオーディオなどが装備されているため709.9万円と700万円をオーバー。
ライバルはアウディ『A4オールロードクワトロ』と同『A6オールロードクワトロ』。サイズ的にはA4オールロードクワトロよりやや大きく、本国で発表されたばかりの新型A6オールロードクワトロより小さい。価格的にはA4オールロードクワトロの658万円に近く、日本に上陸していないA6オールロードクワトロはベースの『A6アバント』が1041万円だから、それ以上の価格になることが予想される。そう考えるとA4オールロードクワトロより安いV60クロスカントリーの価格設定は絶妙だといえる。
◆なんちゃってSUVとは違う実力
フェンダープロテクターとサイドシルプロテクターを装備したスタイリングは、SUVとは違ったクロスカントリーならではの躍動感がある。ラフロード走破性向上のために車高が高められているのもそう感じさせるポイントだ。
車高を高くしたといっても全高は1505mmと低く抑えられているから、マンションの駐車場や古いタワー式立体駐車場に入ることが可能。都市部ではこうした駐車場の制約があるためSUVを購入できないというユーザーも、このモデルを選んでいるという。
人気の理由はスタイリングやサイズだけではない。本格的なラフロードを走れるポテンシャルを備えているからだ。
現在はなんちゃってSUVが存在していて、最低地上高がベース車よりわずかに高いだけということもある。クロスカントリーは走破性能を考えて最低地上高210mmを確保しているから、SUVと比べてもかなりのロードクリアランスといっていいだろう。未舗装路の林道でも下まわりを打つことを気にせず、リラックスして走ることができる。
◆トレーラーをトーイングする姿も似合う
AWDということもあって車両重量は1.8トンをオーバーしているが走りは軽快そのものだ。試乗時は大人3人乗車だったが、T5の2リットルターボは254ps/350Nmを発揮しているため、高速道路の追い越しもラクラクこなす。ダイナミックレンジをセレクトして高速コーナーで車両の挙動を確かめると、車高が高くなっているにもかかわらずロール自体が小さく、Gを溜め込んだまま車線変更をしても安心感が高い。操舵に対して挙動がとても自然だからロングドライブでも疲れにくいはずだ。
市街地や高速道路での乗り心地はフラットライドな感じで上質。基本的にソフトだが抑えがよく効いている感じで、ワゴンにありがちなピッチングはまったくない。3人乗車のため運転を交代して後席にも座ったが、高速道路のジョイントを通過しても突き上げ感がなく、荷室からのロードノイズもうまく消されていて快適な居住空間だった。
オプション装備にトレーラーをけん引するためのトゥバーを設定しているのもうれしい点だ。欧州では当然の装備だが日本でトゥバーを設定しているモデルは少ない。それも設定しているトゥバーは欧州で人気の折りたたみタイプで、荷室内のスイッチによって出し入れできる。取り付け費込みで約19万円という価格は安いといっていいだろう。
車両側ももちろんトーイング(けん引)に対応していて、トレーラーの尾灯チェック機能やけん引時に車両が蛇行するスネーキング現象を抑えるトレーラー・スタビリティ・アシスタントが搭載されている。キャンピングトレーラーやボートトレーラーをトーイングする姿が似合う一台だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
(レスポンス 丸山 誠)
今年4月にフルモデルチェンジされたばかりのボルボ『V60クロスカントリー』だが、6月に一部仕様が変更された。
その変更内容は安全装備関係のみ。360度ビューカメラをベースグレード「T5 AWD」にも標準化し、運転支援機能のBLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)にステアリング・アシスト機能を追加。パイロット・アシスト(車線維持支援機能)はステアリングのバイブレーションで一時解除を知らせる新機能追加の3点。
試乗車は「T5 AWD PRO」で車両価格は649万円だが、オプションのサンルーフやプレミアムオーディオなどが装備されているため709.9万円と700万円をオーバー。
ライバルはアウディ『A4オールロードクワトロ』と同『A6オールロードクワトロ』。サイズ的にはA4オールロードクワトロよりやや大きく、本国で発表されたばかりの新型A6オールロードクワトロより小さい。価格的にはA4オールロードクワトロの658万円に近く、日本に上陸していないA6オールロードクワトロはベースの『A6アバント』が1041万円だから、それ以上の価格になることが予想される。そう考えるとA4オールロードクワトロより安いV60クロスカントリーの価格設定は絶妙だといえる。
◆なんちゃってSUVとは違う実力
フェンダープロテクターとサイドシルプロテクターを装備したスタイリングは、SUVとは違ったクロスカントリーならではの躍動感がある。ラフロード走破性向上のために車高が高められているのもそう感じさせるポイントだ。
車高を高くしたといっても全高は1505mmと低く抑えられているから、マンションの駐車場や古いタワー式立体駐車場に入ることが可能。都市部ではこうした駐車場の制約があるためSUVを購入できないというユーザーも、このモデルを選んでいるという。
人気の理由はスタイリングやサイズだけではない。本格的なラフロードを走れるポテンシャルを備えているからだ。
現在はなんちゃってSUVが存在していて、最低地上高がベース車よりわずかに高いだけということもある。クロスカントリーは走破性能を考えて最低地上高210mmを確保しているから、SUVと比べてもかなりのロードクリアランスといっていいだろう。未舗装路の林道でも下まわりを打つことを気にせず、リラックスして走ることができる。
◆トレーラーをトーイングする姿も似合う
AWDということもあって車両重量は1.8トンをオーバーしているが走りは軽快そのものだ。試乗時は大人3人乗車だったが、T5の2リットルターボは254ps/350Nmを発揮しているため、高速道路の追い越しもラクラクこなす。ダイナミックレンジをセレクトして高速コーナーで車両の挙動を確かめると、車高が高くなっているにもかかわらずロール自体が小さく、Gを溜め込んだまま車線変更をしても安心感が高い。操舵に対して挙動がとても自然だからロングドライブでも疲れにくいはずだ。
市街地や高速道路での乗り心地はフラットライドな感じで上質。基本的にソフトだが抑えがよく効いている感じで、ワゴンにありがちなピッチングはまったくない。3人乗車のため運転を交代して後席にも座ったが、高速道路のジョイントを通過しても突き上げ感がなく、荷室からのロードノイズもうまく消されていて快適な居住空間だった。
オプション装備にトレーラーをけん引するためのトゥバーを設定しているのもうれしい点だ。欧州では当然の装備だが日本でトゥバーを設定しているモデルは少ない。それも設定しているトゥバーは欧州で人気の折りたたみタイプで、荷室内のスイッチによって出し入れできる。取り付け費込みで約19万円という価格は安いといっていいだろう。
車両側ももちろんトーイング(けん引)に対応していて、トレーラーの尾灯チェック機能やけん引時に車両が蛇行するスネーキング現象を抑えるトレーラー・スタビリティ・アシスタントが搭載されている。キャンピングトレーラーやボートトレーラーをトーイングする姿が似合う一台だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
(レスポンス 丸山 誠)
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