【メルセデスベンツ Bクラス 新型試乗】7年の進化、乗り心地の良さに驚いた…中村孝仁
先代のメルセデスベンツ『Bクラス』が登場したのは2012年だそうだから、7年ぶりのモデルチェンジである。
ドイツの高級車ブランド、メルセデスとBMWが似たような時期に似たようなファミリーモデル、即ちBクラスとBMWの『2シリーズアクティブツアラー』を市場投入した。その時思ったことは、やはり高級車ブランドがファミリーカーを作るとへんてこなことになる…ということだった。
どちらのモデルも日常的な使い勝手を重視しているのは当然のことだが、どこかに高級車ブランドとしての特徴を醸し出そうと何となく無理をしていて、同じようなファミリーカーを作らせたら一日の長があるVWとは違うな…と感じさせたことだ。どちらのモデルもVW『ゴルフトゥーラン』と比較してデザイン的に馴染まない。そこへ行くとトゥーランは外連味がなく、とてもシンプルで素直な印象に映った。
◆7年の進化を感じるエクステリア&インテリア
7年たってまずメルセデスがBクラスをフルチェンジした。今回感じたのは少しだけではあるけれど、馴染んだのかな?ということ。特にそれがスタイルに表れていたように思う。今回はスポーティーさを意識したデザインで、前後のライト類は上下に細く作り全体的にスポーティーなイメージを強調したそうだ。サイドのキャラクターラインにしてもゴテゴテ感を出さずにスマートにしたという。
特に個人的に感じられたことは、バランスの良さだ。先代は妙にタイヤサイズの小ささを感じ、広さを出そうとするあまり、上屋とのバランスが悪かった。それがニューモデルでは綺麗にバランスしていて、不自然なイメージはない。
そしてインテリアを覗き込んで、7年という時間が長足の進歩を遂げていることを感じずにはいられなかった。それがインパネである。新しいBクラスは完全に『Aクラス』のそれと軌を一にしている。勿論パッセンジャー側ダッシュボードのデザインは異なっているものの、巨大なディスプレイ型のメーターやインフォテイメントのデザインは完全に同じだし、タービンデザインのベンチレーターも同じである。これ、個人的にはとてもモダンに映り、好きである。
もっともモダン過ぎるものはどうしても陳腐化するのも早いから、そのあたりは少し気になるところ。しかし、コンテンポラリーな従来型メーターデザインからは完全に脱却し、新しい姿に挑戦するメルセデスのこの意気込みは大いに買いたい。
◆Aクラスゆずりのパワートレイン、そのパフォーマンスは
今回試乗したのはベーシックな『B180』。他にAMGラインのチョイスもあったが、まずは素の180の方が良かろうということで、ノーマル車をチョイスした。AMGラインは外見でもフロントエンドはグリルやアンダーグリルのデザインが異なり、タイヤサイズもノーマルの17インチから18インチに引き上げられている。このタイヤの差が気になって敢えて17インチをチョイスしたのだが、結論から言って18インチになっても気になる乗り心地の差はない。
パワーユニットはこれもAクラス譲りの1.4リットルターボ(M282)。これにB180の場合は7速のDCTが組み合わされる。因みに後発のディーゼルユニットを積んだ『B200d』は8速DCTとなる。スムーズで軽快なフィールを持つエンジンはAクラス同様で、先代より排気量ダウンしているにもかかわらず、技術の進歩はパワーを引き上げ、少なくとも1人乗車で走る限り、パフォーマンスには全く不満がない。
東京のど真ん中ともいえる青山から目指したのは千葉県木更津。首都高に乗り、そこからアクアラインを通るルートである。首都高までの一般道はやはり渋滞が当然の道のりだが、DCTの繋がり具合は若干の不満点はあるものの、及第点をつけられるレベル。とりわけ発進に関しては実にうまい味付けをしている。
この点だけ見ればATと遜色ないと感じられるのだが、7速もあって少し素早い加速をしようとするとダウンシフトして一気に速度を上げるのだが、この時のトルク変動はかなり大きくて、印象としては1速はスタート専用なのではないかというイメージがあった。
◆驚かされたのはその乗り心地の良さ
試乗車はACCが付いたレーダーセーフティーパッケージを装備していた。ACCの他にもアクティブレーンキープアシストやアクティブブレーキアシストなどがパッケージとなっていて、24万5000円のオプションだが、導入されるモデルほぼすべてについているということで、無しをチョイスするのは難しそうだし、是非ともつけたいオプションでもある。
驚かされたのはその乗り心地の良さだ。とにかくフラット感が強く同時に高さのあるバンプを乗り上げたような時でも足の付き方が非常に良い。昔のフランス車のように足が地について離れない印象であった。17インチ、18インチ共に装着タイヤはブリヂストンのトゥランザ。因みにホイールベースはAクラスと変わらないそうだから、僅かな開発タイミングの違いで、このシャシーがここまで熟成されたことを意味している。
というわけでその乗り心地から、多様な安全装備、斬新なインテリアデザイン等々、新しいBクラスはそのスタイリングも含め大きく進化していた。フロントシート背後に付いたプラスチッキーなトレイテーブルがなくなったのも、メルセデスというブランドにとっては良い選択だと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
(レスポンス 中村 孝仁)
ドイツの高級車ブランド、メルセデスとBMWが似たような時期に似たようなファミリーモデル、即ちBクラスとBMWの『2シリーズアクティブツアラー』を市場投入した。その時思ったことは、やはり高級車ブランドがファミリーカーを作るとへんてこなことになる…ということだった。
どちらのモデルも日常的な使い勝手を重視しているのは当然のことだが、どこかに高級車ブランドとしての特徴を醸し出そうと何となく無理をしていて、同じようなファミリーカーを作らせたら一日の長があるVWとは違うな…と感じさせたことだ。どちらのモデルもVW『ゴルフトゥーラン』と比較してデザイン的に馴染まない。そこへ行くとトゥーランは外連味がなく、とてもシンプルで素直な印象に映った。
◆7年の進化を感じるエクステリア&インテリア
7年たってまずメルセデスがBクラスをフルチェンジした。今回感じたのは少しだけではあるけれど、馴染んだのかな?ということ。特にそれがスタイルに表れていたように思う。今回はスポーティーさを意識したデザインで、前後のライト類は上下に細く作り全体的にスポーティーなイメージを強調したそうだ。サイドのキャラクターラインにしてもゴテゴテ感を出さずにスマートにしたという。
特に個人的に感じられたことは、バランスの良さだ。先代は妙にタイヤサイズの小ささを感じ、広さを出そうとするあまり、上屋とのバランスが悪かった。それがニューモデルでは綺麗にバランスしていて、不自然なイメージはない。
そしてインテリアを覗き込んで、7年という時間が長足の進歩を遂げていることを感じずにはいられなかった。それがインパネである。新しいBクラスは完全に『Aクラス』のそれと軌を一にしている。勿論パッセンジャー側ダッシュボードのデザインは異なっているものの、巨大なディスプレイ型のメーターやインフォテイメントのデザインは完全に同じだし、タービンデザインのベンチレーターも同じである。これ、個人的にはとてもモダンに映り、好きである。
もっともモダン過ぎるものはどうしても陳腐化するのも早いから、そのあたりは少し気になるところ。しかし、コンテンポラリーな従来型メーターデザインからは完全に脱却し、新しい姿に挑戦するメルセデスのこの意気込みは大いに買いたい。
◆Aクラスゆずりのパワートレイン、そのパフォーマンスは
今回試乗したのはベーシックな『B180』。他にAMGラインのチョイスもあったが、まずは素の180の方が良かろうということで、ノーマル車をチョイスした。AMGラインは外見でもフロントエンドはグリルやアンダーグリルのデザインが異なり、タイヤサイズもノーマルの17インチから18インチに引き上げられている。このタイヤの差が気になって敢えて17インチをチョイスしたのだが、結論から言って18インチになっても気になる乗り心地の差はない。
パワーユニットはこれもAクラス譲りの1.4リットルターボ(M282)。これにB180の場合は7速のDCTが組み合わされる。因みに後発のディーゼルユニットを積んだ『B200d』は8速DCTとなる。スムーズで軽快なフィールを持つエンジンはAクラス同様で、先代より排気量ダウンしているにもかかわらず、技術の進歩はパワーを引き上げ、少なくとも1人乗車で走る限り、パフォーマンスには全く不満がない。
東京のど真ん中ともいえる青山から目指したのは千葉県木更津。首都高に乗り、そこからアクアラインを通るルートである。首都高までの一般道はやはり渋滞が当然の道のりだが、DCTの繋がり具合は若干の不満点はあるものの、及第点をつけられるレベル。とりわけ発進に関しては実にうまい味付けをしている。
この点だけ見ればATと遜色ないと感じられるのだが、7速もあって少し素早い加速をしようとするとダウンシフトして一気に速度を上げるのだが、この時のトルク変動はかなり大きくて、印象としては1速はスタート専用なのではないかというイメージがあった。
◆驚かされたのはその乗り心地の良さ
試乗車はACCが付いたレーダーセーフティーパッケージを装備していた。ACCの他にもアクティブレーンキープアシストやアクティブブレーキアシストなどがパッケージとなっていて、24万5000円のオプションだが、導入されるモデルほぼすべてについているということで、無しをチョイスするのは難しそうだし、是非ともつけたいオプションでもある。
驚かされたのはその乗り心地の良さだ。とにかくフラット感が強く同時に高さのあるバンプを乗り上げたような時でも足の付き方が非常に良い。昔のフランス車のように足が地について離れない印象であった。17インチ、18インチ共に装着タイヤはブリヂストンのトゥランザ。因みにホイールベースはAクラスと変わらないそうだから、僅かな開発タイミングの違いで、このシャシーがここまで熟成されたことを意味している。
というわけでその乗り心地から、多様な安全装備、斬新なインテリアデザイン等々、新しいBクラスはそのスタイリングも含め大きく進化していた。フロントシート背後に付いたプラスチッキーなトレイテーブルがなくなったのも、メルセデスというブランドにとっては良い選択だと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
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