【DS 3 クロスバック 新型試乗】妖艶で上質。意外にも走りは健全、快適だ…島崎七生人
◆ドアを開けた瞬間から、目と気持ちで楽しめる
よく女性が、こだわりの洋菓子店で買ってきたケーキの入った箱を開けた瞬間、「わぁカワイイ、美味しそう!」と声をあげる。『DS 3 クロスバック』もそんな風に、走り出さずともドアを開けた瞬間から、目と気持ちで楽しめる……そんなクルマだと思う。
ご存知のとおり「DS」は今は「シトロエン」とは別の独立したブランド。アヴァンギャルドが持ち味だったシトロエンが“丸く”フレンドリー方向なった一方で、“Different Spirit”が方針のDSブランドは、ブランニューだった『DS 7』以降、ラグジュアリーでこだわりまくった内・外観で、突き抜けた存在感を発散させている。それに続く今回のDS 3 クロスバックもベクトルは同じ。ただしコンパクトなクラスのクルマである分、盛りに盛られたラグジュアリー風味は、一層引き立つ。
◆ユニークで妖艶な内外装デザイン
外観はフロントグリルがあって、ランプ類があって、ライセンスプレートがついて……と、クルマである以上必要不可欠な構成要素で成立している。大開口のグリルはドイツのA社を連想しなくもないが、グリル内部のパターンやヘッドランプ内部の見た目はまるでジュエリーをデザインしているかのよう。“一点鎖線”に見えるシグネチャーランプもユニークだ。
サイド、リヤは次第にプレーン方向だが、サイドのウエストラインに設けられた逆シャークフィン状のアクセントは『シトロエンDS3』時代からのモチーフ。この裏側にはスピーカーが仕込まれている。またクロームで作られた美し過ぎるドアハンドル(!)は、通常は格納されており、キーを持ったオーナーがクルマに近づけば競り出して解錠、ドアミラーの展開などを自動で実行する。こうした上級車レベルの機能が与えられているところがラグジュアリーだ。
インテリアは菱形のデザインモチーフや、センターコンソールの世界一スカしたデザインのパワーウインドスイッチなどに目がいく。赤い点滅ランプが仕込まれた菱形のエンジン始動スイッチなど、押すたびに自分がマジシャンにでもなった気分が味わえそうだ。見た目だけでなく、インパネを始めトリム部分には大幅にソフトな触感のパッドが用いられ、やわらかな感触とが味わえ、硬い樹脂物に対し、室内騒音の反響の低減にも効果を発揮しているかも知れない。
◆走りは至って健全、闊達、快適
18インチを履く試乗車を都心で走らせた印象は、スポーティで快活だがシトッとショックを緩和してくれる点がシトロエン由来を思わせ、コンパクトなクルマだがボディサイズ以上のフラットライドが味わえる。
搭載エンジンは1.2リットルターボ+8速ATの組み合わせで、変速ショックもほとんど気にならず、(駆動力が立ち上がる瞬間に実に些細だがメカ的な共振を誘発させるタメがあるものの)適切なギヤを選んでサクサクとクルマを走らせる。
3気筒エンジンながら加速中、走行中の耳ざわりになるメカニカルノイズは低く抑えられ、クルマのキャラはミステリアスだが、走りは至って健全、闊達、快適だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
よく女性が、こだわりの洋菓子店で買ってきたケーキの入った箱を開けた瞬間、「わぁカワイイ、美味しそう!」と声をあげる。『DS 3 クロスバック』もそんな風に、走り出さずともドアを開けた瞬間から、目と気持ちで楽しめる……そんなクルマだと思う。
ご存知のとおり「DS」は今は「シトロエン」とは別の独立したブランド。アヴァンギャルドが持ち味だったシトロエンが“丸く”フレンドリー方向なった一方で、“Different Spirit”が方針のDSブランドは、ブランニューだった『DS 7』以降、ラグジュアリーでこだわりまくった内・外観で、突き抜けた存在感を発散させている。それに続く今回のDS 3 クロスバックもベクトルは同じ。ただしコンパクトなクラスのクルマである分、盛りに盛られたラグジュアリー風味は、一層引き立つ。
◆ユニークで妖艶な内外装デザイン
外観はフロントグリルがあって、ランプ類があって、ライセンスプレートがついて……と、クルマである以上必要不可欠な構成要素で成立している。大開口のグリルはドイツのA社を連想しなくもないが、グリル内部のパターンやヘッドランプ内部の見た目はまるでジュエリーをデザインしているかのよう。“一点鎖線”に見えるシグネチャーランプもユニークだ。
サイド、リヤは次第にプレーン方向だが、サイドのウエストラインに設けられた逆シャークフィン状のアクセントは『シトロエンDS3』時代からのモチーフ。この裏側にはスピーカーが仕込まれている。またクロームで作られた美し過ぎるドアハンドル(!)は、通常は格納されており、キーを持ったオーナーがクルマに近づけば競り出して解錠、ドアミラーの展開などを自動で実行する。こうした上級車レベルの機能が与えられているところがラグジュアリーだ。
インテリアは菱形のデザインモチーフや、センターコンソールの世界一スカしたデザインのパワーウインドスイッチなどに目がいく。赤い点滅ランプが仕込まれた菱形のエンジン始動スイッチなど、押すたびに自分がマジシャンにでもなった気分が味わえそうだ。見た目だけでなく、インパネを始めトリム部分には大幅にソフトな触感のパッドが用いられ、やわらかな感触とが味わえ、硬い樹脂物に対し、室内騒音の反響の低減にも効果を発揮しているかも知れない。
◆走りは至って健全、闊達、快適
18インチを履く試乗車を都心で走らせた印象は、スポーティで快活だがシトッとショックを緩和してくれる点がシトロエン由来を思わせ、コンパクトなクルマだがボディサイズ以上のフラットライドが味わえる。
搭載エンジンは1.2リットルターボ+8速ATの組み合わせで、変速ショックもほとんど気にならず、(駆動力が立ち上がる瞬間に実に些細だがメカ的な共振を誘発させるタメがあるものの)適切なギヤを選んでサクサクとクルマを走らせる。
3気筒エンジンながら加速中、走行中の耳ざわりになるメカニカルノイズは低く抑えられ、クルマのキャラはミステリアスだが、走りは至って健全、闊達、快適だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
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