【ボルボ ポールスター パフォーマンス 試乗】あくまで実用、だけど攻めたくなるチューニング…木下隆之
「ポールスター」でチューニングしたボルボ『XC40 T5』と『V60 T5D』をドライブ。それぞれ、心地よい性能の向上を確認できたので報告しよう。
◆ミドルレンジの最大トルクが大幅パワーアップ
1996年、スウェーデン国内のツーリングカー選手権から始まったポールスターの歴史。ボルボのパフォーマンスブランドとして、レースで培われたテクノロジーを様々な路面、条件で走行する市販車へと伝承している。
現在、「ポールスター・パフォーマンス・ソフトウェア」の名前で、ボルボが誇る高い安全性能や排ガス、燃費に影響を及ぼすことなく、より高いドライビングプレジャーとパフォーマンスを可能にするソフトウェアチューニングが提供されている。パワートレイン全体のアップグレードとエンジンとギアボックスのソフトウェア変更により、スロットルレスポンスやギアシフトスピード、エンジンパフォーマンスなどを向上させる。
センターコンソールのモニターで階層を巡り、スポーツモードを「ポールスター」にアジャストする。すると同時に、計器内に「ポールスターの文字が点灯。まずは気分が高揚するのを意識した。
走りはじめてまず意識させられたのは、低回転トルクの太さである。XC40の最高出力は252ps、ポールスター仕様のそれは255ps。数字にするとその差ほとんどない。だが、低回転域からハーフススロットルで加速するような実用域では圧倒的なトルク差を実感できるのだ。そう思って資料をめくると、ミドルレンジの最大トルクが350Nmから400Nmに引き上げられていたことを知った。なるほどである。
V60においても同様で、最高出力は254psから261psへと、ほとんど誤差程度の7psしか変化はない。だが、実用域では174psから200psへと大幅にパワーアップしているのだ。力強さの源は、ブーストアップに違いない。低回転トルクの溢れ方は、プーストアップ特有の力強さである。それゆえにレスポンス遅れがなくはないのだが、それを補って余りあるトルクアップが刺激的だった。
◆コーナー出口の加速が違う
それに加えて、スロットルレスポンスの鋭さも頼もしい。変速スピードもアップテンポになるようで、アクセル操作とパドル操作を絡ませたドライビングに躍動感が加わるのを自覚した。特徴的なのは、ギアを高回転キープモードにスイッチすることである。例えばコーナーを前にアクセルオフをした場合、安易なシフトアップは行われない。強いエンジンブレーキが確保されることで、コーナリング中の姿勢コントロールがしやすい。そればかりか、コーナーをクリアした後の加速がもたつかないのである。
ポールスター仕様は、決して過激に速く走るための仕様ではない。あくまで実用域での力強さを意識した性能調整である。だが、時にはワインディングを攻め込みたくなるのだろうなぁ。そう思った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
木下隆之|モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。
(レスポンス 木下隆之)
◆ミドルレンジの最大トルクが大幅パワーアップ
1996年、スウェーデン国内のツーリングカー選手権から始まったポールスターの歴史。ボルボのパフォーマンスブランドとして、レースで培われたテクノロジーを様々な路面、条件で走行する市販車へと伝承している。
現在、「ポールスター・パフォーマンス・ソフトウェア」の名前で、ボルボが誇る高い安全性能や排ガス、燃費に影響を及ぼすことなく、より高いドライビングプレジャーとパフォーマンスを可能にするソフトウェアチューニングが提供されている。パワートレイン全体のアップグレードとエンジンとギアボックスのソフトウェア変更により、スロットルレスポンスやギアシフトスピード、エンジンパフォーマンスなどを向上させる。
センターコンソールのモニターで階層を巡り、スポーツモードを「ポールスター」にアジャストする。すると同時に、計器内に「ポールスターの文字が点灯。まずは気分が高揚するのを意識した。
走りはじめてまず意識させられたのは、低回転トルクの太さである。XC40の最高出力は252ps、ポールスター仕様のそれは255ps。数字にするとその差ほとんどない。だが、低回転域からハーフススロットルで加速するような実用域では圧倒的なトルク差を実感できるのだ。そう思って資料をめくると、ミドルレンジの最大トルクが350Nmから400Nmに引き上げられていたことを知った。なるほどである。
V60においても同様で、最高出力は254psから261psへと、ほとんど誤差程度の7psしか変化はない。だが、実用域では174psから200psへと大幅にパワーアップしているのだ。力強さの源は、ブーストアップに違いない。低回転トルクの溢れ方は、プーストアップ特有の力強さである。それゆえにレスポンス遅れがなくはないのだが、それを補って余りあるトルクアップが刺激的だった。
◆コーナー出口の加速が違う
それに加えて、スロットルレスポンスの鋭さも頼もしい。変速スピードもアップテンポになるようで、アクセル操作とパドル操作を絡ませたドライビングに躍動感が加わるのを自覚した。特徴的なのは、ギアを高回転キープモードにスイッチすることである。例えばコーナーを前にアクセルオフをした場合、安易なシフトアップは行われない。強いエンジンブレーキが確保されることで、コーナリング中の姿勢コントロールがしやすい。そればかりか、コーナーをクリアした後の加速がもたつかないのである。
ポールスター仕様は、決して過激に速く走るための仕様ではない。あくまで実用域での力強さを意識した性能調整である。だが、時にはワインディングを攻め込みたくなるのだろうなぁ。そう思った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
木下隆之|モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。
(レスポンス 木下隆之)
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