【メルセデスベンツ Bクラス 新型試乗】「マルチパフォーマンス・ハッチバック」に進化した…山本シンヤ

メルセデスベンツ Bクラス 新型
◆ファミリー需要を狙う「Bクラス」

メルセデスベンツのコンパクトモデルの中核を成す『Aクラス』の兄貴分『Bクラス』。パーソナルユースがメインのAクラスに対し、後席やラゲッジも重要視しファミリー需要を狙うパッケージングで、居住性や使い勝手の良さは納得ながらも、どこか実用一辺倒なスタイリングで“華”の無さが気になっていた。

3代目となる新型は「ちょっと背の高いハッチバック」と言うキャラクターはそのままに、Aクラスよりも若干優しめながらもスポーティ&スタイリッシュなデザインを採用。


インテリアは10.25インチの高精度ワイドスクリーンやタービンルックの送風口などインパネ周りはAクラスとほぼ共通のデザイン&操作系で、「ハイ、メルセデス」で話題のMBUXも採用されている。Bクラスの特徴である室内空間は更に強化されており、室内幅/頭上空間/足元スペースは拡大。更にウインドエリアの拡大により数値以上の解放感もポイントだ。ラゲッジルームは40:20:40の分割可倒シートを活用すると455~1540L(VDA方式)まで変化。大きな開口部とフラットな床面も相まって、様々なライフスタイルにも対応可能だ。

◆洗練度では“A”の先を行くかも!?


エンジンは136ps/200Nmを発揮するコンパクト&軽量な1.4Lターボ「M282」に7速DCTを組み合わせだ。数値以上の力強さと軽快で小気味よいフィーリングを感じる一方で、スポーティだが若干ノイジーで音質にも雑味を感じるサウンドとノーマルモードでもややビジーなシフトスケジュールなどは、もう少し穏やかでもいいと感じた。

そういう意味では、若干遅れて導入される2Lターボのディーゼルターボ(150ps/320Nm)のほうがBクラスのキャラクターにはマッチしているような気がした。

フットワーク系は今回試乗したモデルがスポーツコンフォートサスペンションやダイレクトステアリング、18インチタイヤ&アルミホイールなどを装着したスポーティな味付けの「AMGライン」だった事もあり、荒れた路面では硬めでゴツゴツと感じるので好みは分かれるかもしれないが、目線は常にフラットに保たれているので不快に感じることはない。

更に全高やヒップポイントの高さを感じさせない俊敏性の高いハンドリングはAクラス譲り……いや、むしろ乗り味に粗さがあるAクラスよりも、知見や熟成が進んだBクラスのほうが洗練度と言う意味では高いかも!? ただ、タイヤの銘柄によってロードノイズに若干差あるのと、路面の継ぎ目や段差を乗り越える際のリアサスの吸収の仕方など、進化の余地もあるように感じた。

◆早急に「インテリジェントドライブ」を標準装備にするべき


アクティブディスタントアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付)&アクティブステアアリングアシストを含めた運転支援機能「インテリジェントドライブ」は『Sクラス』同等のシステムだが、残念な事に全車オプション(B180:24万5000円、B200d:25万円)。これは早急に標準装備にすべきだ!!

そろそろ結論に行こう。先代は「見た目はAクラス、実用性はBクラス」と言われ選択を悩むこともあったが、新型は歴代モデルで評価された居住性/機能性に加え、Aクラス譲りのデザインや走りを手に入れたことで、ある意味「マルチパフォーマンスハッチバック」と言っていいと思う。これなら用途やライフスタイルに合わせて選択して問題ない。その証拠に発売開始から1ヶ月で600台を超える受注があったそうだ。

■5つ星評価

パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★☆
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★



山本シンヤ|自動車評論家
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発、自動車雑誌の編集長/編集次長など経て2013年に独立。元エンジニア/元編集者の経験を活かし、「造り手」と「使い手」のかけ橋となるように、双方の気持ちを“解りやすく上手"に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動を行なっている。世界のモーターショーなどの海外取材で経験した「世界の自動車事情」、元エンジニアの経験を活かした「最先端技術」、編集者時代に培った「ドライビングメカニズム」などを得意とするが、モータースポーツや旧車事情、B級ネタもカバーするなど、ジャンルは「広く深く」。エンジニアの心を開かせ「本音」を引き出させる能力(!?)にも長けている。

(レスポンス 山本シンヤ)

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